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45話 外堀埋めてきてる
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「エール!」
「死亡ふらぐ以外で私たちを阻むものはないはずです」
そうだろうか? 私とエールでは違うものが多すぎる。
「身分は関係ありません」
シレとソミアの為に法律に手を加えたし。そもそも今は互いに侯爵だし。
「国が違っても問題ありません」
ヴォックスとユースティーツィアは国が敵同士だったけど乗り越えた。というか国家連合設立で敵同士になるのを避けたとも言える。
年齢差はそもそもない。あってもサクとクラスのカプがどうにかしてしまった。
「というか、全部私が関わってる?」
「そうですね。今は助かってます」
墓穴掘った? でもエールが最大難関死亡ふらぐであることは変わらない。マーロン家は危険だ。
「死亡ふらぐの内容をアチェンディーテ公爵令息と分かりあってて妬きました」
「妬く必要ないとこよ」
「私だけがフラルの特別でありたい」
ぎゅっと抱き締める腕の力が強まった。肩口にエールが顔を埋める。
「エール、そんなことで焼きもちやいたの」
「私にとっては重要な所ですよ」
「うーん……」
困ったわね。小説の内容がとか本来あるべき未来の話をするものじゃない。第一かなりの情報量だから簡単に話せる話でもないからなあ。本編と外伝二つ、あわせて三十万字超えてるしね。
「外堀を埋めてきてはいるんですけど」
「は?」
この男、ここにきて何を暴露してるの?
「私、剣の腕そこそこでしたでしょう?」
「うん、強かったね」
「ユラレ伯爵令嬢に教えを乞いました」
「なんですって?」
ユースティーツィアとお近づきになれるやつじゃん。何故私を呼ばなかった。ユツィの剣捌き見たいんですけど!
「第二皇子殿下とユラレ伯爵令嬢御二人から正式に私とフラルの間を応援して頂けることになりました」
「なんて?!」
「あと第三皇子殿下と」
「ソミアたそも?」
「ええ」
ソミアとのお茶会で説得したのはエールだ。ソミアは律儀だからそういうとこでお礼しちゃう子だろう。可愛いからよしだけど今は困る。
「イグニス様と兄様はもっと前から応援してくれてましたよ」
「折角だからきくわ。いつから?」
「フラルを二人と対面させた時からです」
隣室に誘い出して退路を塞いできたやつかしら?
「隣室に連れていくとなった時、渋ったのがいけなかったですね。それで私の気持ちがバレました」
「イグニス様はまだしもマーロン兄がよく認めたわね」
得たいの知れない身分のない人間を弟が好きってなったら心配で止めると思う。
「なので兄様は当初様子見でした。はっきり応援すると言ってくれたのは、フラルが才能を発揮し成果をあげてからですね」
だからマーロン兄はいつも私にぐいぐい質問してきてたのかしら。弟に色目使う奴を試してやるわ的な。色目使ってないけど。
「マジア侯爵夫妻からは婚姻の了承を得てますし」
「進みすぎてる」
外堀埋めすぎて怖いわ。
「ではフラルは私以外の人間と婚姻したいと?」
「いやそれはいないけど……」
全てがうまくいったら故郷に戻るつもりだった。そこで余生をすごして一人静かに死んでいく。静かにいけるなら一人でもいいと思った。少なくとも小説の中の死に方と比べれば格段にマシだろう。
「そもそもエール以外の男性と関わったことない」
フリーの男性限定でね。
なので結局比べることができない。
「そうしましたから」
似たような言葉を何度か聞いた気がする。まあお近づきになりたくて来られても推しカプと死亡フラグのことばかりで対応できないだろうな。そういった意味では助かったのかもしれない。
ついでに今更誰かと結婚する為に一から関係築くのも手間だななんて思ってしまった。私ってばだいぶ枯れているわね。
「ほら、私でおさまるとこおさまってもよいのでは?」
「誘導しないで」
「……ふふ」
再度首筋に顔を埋めてあろうことか唇寄せてきた。名前を呼ぶとまた笑う。
「このまま並んで昼寝しましょうか」
「お断りよ」
楽しそうに笑う。機嫌が直ったからよしとするしかない。
にしても色々勝手に話が進んでて怖いし、推しカプと会うなら私を呼んでほしいんだけど?
「死亡ふらぐ以外で私たちを阻むものはないはずです」
そうだろうか? 私とエールでは違うものが多すぎる。
「身分は関係ありません」
シレとソミアの為に法律に手を加えたし。そもそも今は互いに侯爵だし。
「国が違っても問題ありません」
ヴォックスとユースティーツィアは国が敵同士だったけど乗り越えた。というか国家連合設立で敵同士になるのを避けたとも言える。
年齢差はそもそもない。あってもサクとクラスのカプがどうにかしてしまった。
「というか、全部私が関わってる?」
「そうですね。今は助かってます」
墓穴掘った? でもエールが最大難関死亡ふらぐであることは変わらない。マーロン家は危険だ。
「死亡ふらぐの内容をアチェンディーテ公爵令息と分かりあってて妬きました」
「妬く必要ないとこよ」
「私だけがフラルの特別でありたい」
ぎゅっと抱き締める腕の力が強まった。肩口にエールが顔を埋める。
「エール、そんなことで焼きもちやいたの」
「私にとっては重要な所ですよ」
「うーん……」
困ったわね。小説の内容がとか本来あるべき未来の話をするものじゃない。第一かなりの情報量だから簡単に話せる話でもないからなあ。本編と外伝二つ、あわせて三十万字超えてるしね。
「外堀を埋めてきてはいるんですけど」
「は?」
この男、ここにきて何を暴露してるの?
「私、剣の腕そこそこでしたでしょう?」
「うん、強かったね」
「ユラレ伯爵令嬢に教えを乞いました」
「なんですって?」
ユースティーツィアとお近づきになれるやつじゃん。何故私を呼ばなかった。ユツィの剣捌き見たいんですけど!
「第二皇子殿下とユラレ伯爵令嬢御二人から正式に私とフラルの間を応援して頂けることになりました」
「なんて?!」
「あと第三皇子殿下と」
「ソミアたそも?」
「ええ」
ソミアとのお茶会で説得したのはエールだ。ソミアは律儀だからそういうとこでお礼しちゃう子だろう。可愛いからよしだけど今は困る。
「イグニス様と兄様はもっと前から応援してくれてましたよ」
「折角だからきくわ。いつから?」
「フラルを二人と対面させた時からです」
隣室に誘い出して退路を塞いできたやつかしら?
「隣室に連れていくとなった時、渋ったのがいけなかったですね。それで私の気持ちがバレました」
「イグニス様はまだしもマーロン兄がよく認めたわね」
得たいの知れない身分のない人間を弟が好きってなったら心配で止めると思う。
「なので兄様は当初様子見でした。はっきり応援すると言ってくれたのは、フラルが才能を発揮し成果をあげてからですね」
だからマーロン兄はいつも私にぐいぐい質問してきてたのかしら。弟に色目使う奴を試してやるわ的な。色目使ってないけど。
「マジア侯爵夫妻からは婚姻の了承を得てますし」
「進みすぎてる」
外堀埋めすぎて怖いわ。
「ではフラルは私以外の人間と婚姻したいと?」
「いやそれはいないけど……」
全てがうまくいったら故郷に戻るつもりだった。そこで余生をすごして一人静かに死んでいく。静かにいけるなら一人でもいいと思った。少なくとも小説の中の死に方と比べれば格段にマシだろう。
「そもそもエール以外の男性と関わったことない」
フリーの男性限定でね。
なので結局比べることができない。
「そうしましたから」
似たような言葉を何度か聞いた気がする。まあお近づきになりたくて来られても推しカプと死亡フラグのことばかりで対応できないだろうな。そういった意味では助かったのかもしれない。
ついでに今更誰かと結婚する為に一から関係築くのも手間だななんて思ってしまった。私ってばだいぶ枯れているわね。
「ほら、私でおさまるとこおさまってもよいのでは?」
「誘導しないで」
「……ふふ」
再度首筋に顔を埋めてあろうことか唇寄せてきた。名前を呼ぶとまた笑う。
「このまま並んで昼寝しましょうか」
「お断りよ」
楽しそうに笑う。機嫌が直ったからよしとするしかない。
にしても色々勝手に話が進んでて怖いし、推しカプと会うなら私を呼んでほしいんだけど?
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