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20話 フィクタ、帝国城入城が決まる
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「和平方向を示す大会……親善試合と」
「国際平和騎士団の設立」
「ふふふ、だからフィクタちゃん好きなんだよねえ」
イグニスが嬉しそうだ。
新たな騎士団については国家連合設立と平行してやってく長期プランの形になる。
双子と帝国含めたこの大陸の騎士たちが平和な世の中になったら解体されて路頭に迷うかもしれない。加えて、世界を守ることイコール私を守ることだと双子に言い聞かせて私の専属護衛から遠く関係のない所でいい給与貰って生活してもらう為の職業斡旋というところね。
「親善試合は早めにお願いしたいです。目標は一年以内」
「現皇帝が焦る中の開催は刺激させるだけでは?」
「逆にそれが狙いです」
外伝一つ目のヒーロー・ヴォックスとヒロイン・ユースティーツィアの褒賞による婚約と、皇帝の失脚をセットにする。
現皇帝は和平よりの皇弟が表に出てくるのをよしとしない。各国友好の印として親善試合があれば武力一筋の皇帝が侵略に動く可能性がある。武力で他国に手を出そうとした瞬間に国際法により拘束が可能。そのまま代替わりになれば御の字だ。
「フィクタが十四歳、ヴォックスとユースティーツィアは十三歳。薔薇イベントはすぎてるし丁度いいはず。自覚があれば王女殿下もユツィたやの味方で後押ししてくれる。やれるな……」
「フィクタ、会議中です」
「おっと」
騎士学院理事長と帝国代表ストリクテを中心に周囲が盛り上がっている間に推しカプのことを考えすぎていた。いけない声に出てるなんて。二つ目の外伝ヒロイン・ソミアみたく常に表に出ないようになりたい。
「ごめん」
「いいえ。ただ兄やイグニス様の耳に入ると離してくれませんよ」
「そうだろうねえ」
新しいおもちゃヤッハーになるだろうな。未来の話なんて予知だわ震えるみたいな反応にはならず、なにを根拠にその言葉が出たのか的な問い詰めが多そう。国家反逆罪で死亡フラグを回収してしまわないよう気を付けないと……とは言いつつも既にスレスレだから説得力がない。
「双子の為と第二皇子殿下の為ですか」
「そうだね。護衛お断りなのと、第二皇子殿下とユラレ伯爵令嬢が結ばれる為にやるしかないってこと」
キリッとした顔をして決めてもマーロン弟もといエールは微笑んでいるだけだ。
そういえば私が十四だと、第三皇子は十二歳で、本編ヒロインのクラスが十歳……おや十歳?
「フィクタ?」
「サクたんとクラスんは十歳差じゃない?」
「はい?」
「イグニス様!」
「ん? なあに?」
これは由々しき事態だ。
「イグニス様のとこに御子は?!」
「あれ、話したっけ。春に生まれたけど」
「よ、よかった……」
本編ヒーロー・サク。イリスサークラ・ソンニウム・アチェンディーテ。
小説通りでも生まれてるから大丈夫だと思っていたけど、妙な物語の修正力がかからなくて本当よかった。
「なら奥様と御子様の元にいた方がいいのでは?」
「安全第一でイルミナルクスにいるから大丈夫だよ~」
フィクタが動かなければサクの母親、つまりイグニスの妻を人質に国外へ呼び出し事故と見せかけ手にかけるなんてことはないと思うけど少し心配ね。
「イルミナルクスから出たらだめですよ」
「随分過保護だね~。勿論そのつもり」
まあ二人に手出したら容赦しないけどさあと笑うイグニスの瞳は全く笑ってなかった。
「もうさあうちの奥さん可愛すぎるし子供も可愛したまらないよねえ~! 本当はずっと引っ付いていたいんだけど、奥さんに怒られちゃって~」
あ、サクの親だわ。過保護甘やかしの気配がする。
「あと、話が纏まったんだけど」
「はい」
「ストリクテ」
「はい。フィクタ嬢、今更遅いところではありますが、今回の親善試合開催に向け、我が主、ウニバーシタス帝国皇弟お呼び第三皇子殿下に一度顔合わせを願いたいのです」
「……ん?」
なんで?
ストリクテが代表で来てるんだよね?
「フィクタちゃんの功績だからね! 皇帝にばれないようテンプスモーベリ総合学院の宰相研修というかお仕事見学って名目で来てもらう感じ」
やめてよ。
ウニバーシタス帝国、ポステーロス城なんて死亡フラグど真ん中の場所だよ。小説においては本編ヒーロー・ヒロインが出逢った運命の場所、即ち聖地だけど、かつて自分が軟禁され裁かれた場所に行きたいと思う? 無理でしょ。
「謹んで辞退させて頂きます」
「ごめんねえ。皇弟にはオッケーしちゃってる」
「はい?」
今なんて? にっこにこのイグニスに対し、マーロン侯爵は瞳を閉じて沈黙、ストリクテは少し申し訳なさそうにしていて、両理事長は呆れているのか眉を下げてイグニスを見ていた。
「来月行くよ!」
「な、勝手すぎます!」
「知ってる! そうでもしないとフィクタちゃん連れて行けないと思って」
私がここにいる面子と関わりたくないと言った意味を貴族と関わりたくないと捉えているのだろう。まあ死亡フラグはもれなく皆貴族だから仕方ないんだけど、一番行きたくないところへよくも……ああこれが修正力? 本来いるべき場所に行かない私への強制力?
「……親善試合の開催を確約して頂けますか」
「勿論」
汚い言葉で罵りたくなった。たぶんここにいる面子の頭の中にはあったはずのイベントだ。
皇帝の失脚と代替わりに向け、膠着状態の打破には丁度いい。
「……分かりました」
ポステーロス城に関する修正力と死亡フラグの回避をどうするか。悩みどころね。
「国際平和騎士団の設立」
「ふふふ、だからフィクタちゃん好きなんだよねえ」
イグニスが嬉しそうだ。
新たな騎士団については国家連合設立と平行してやってく長期プランの形になる。
双子と帝国含めたこの大陸の騎士たちが平和な世の中になったら解体されて路頭に迷うかもしれない。加えて、世界を守ることイコール私を守ることだと双子に言い聞かせて私の専属護衛から遠く関係のない所でいい給与貰って生活してもらう為の職業斡旋というところね。
「親善試合は早めにお願いしたいです。目標は一年以内」
「現皇帝が焦る中の開催は刺激させるだけでは?」
「逆にそれが狙いです」
外伝一つ目のヒーロー・ヴォックスとヒロイン・ユースティーツィアの褒賞による婚約と、皇帝の失脚をセットにする。
現皇帝は和平よりの皇弟が表に出てくるのをよしとしない。各国友好の印として親善試合があれば武力一筋の皇帝が侵略に動く可能性がある。武力で他国に手を出そうとした瞬間に国際法により拘束が可能。そのまま代替わりになれば御の字だ。
「フィクタが十四歳、ヴォックスとユースティーツィアは十三歳。薔薇イベントはすぎてるし丁度いいはず。自覚があれば王女殿下もユツィたやの味方で後押ししてくれる。やれるな……」
「フィクタ、会議中です」
「おっと」
騎士学院理事長と帝国代表ストリクテを中心に周囲が盛り上がっている間に推しカプのことを考えすぎていた。いけない声に出てるなんて。二つ目の外伝ヒロイン・ソミアみたく常に表に出ないようになりたい。
「ごめん」
「いいえ。ただ兄やイグニス様の耳に入ると離してくれませんよ」
「そうだろうねえ」
新しいおもちゃヤッハーになるだろうな。未来の話なんて予知だわ震えるみたいな反応にはならず、なにを根拠にその言葉が出たのか的な問い詰めが多そう。国家反逆罪で死亡フラグを回収してしまわないよう気を付けないと……とは言いつつも既にスレスレだから説得力がない。
「双子の為と第二皇子殿下の為ですか」
「そうだね。護衛お断りなのと、第二皇子殿下とユラレ伯爵令嬢が結ばれる為にやるしかないってこと」
キリッとした顔をして決めてもマーロン弟もといエールは微笑んでいるだけだ。
そういえば私が十四だと、第三皇子は十二歳で、本編ヒロインのクラスが十歳……おや十歳?
「フィクタ?」
「サクたんとクラスんは十歳差じゃない?」
「はい?」
「イグニス様!」
「ん? なあに?」
これは由々しき事態だ。
「イグニス様のとこに御子は?!」
「あれ、話したっけ。春に生まれたけど」
「よ、よかった……」
本編ヒーロー・サク。イリスサークラ・ソンニウム・アチェンディーテ。
小説通りでも生まれてるから大丈夫だと思っていたけど、妙な物語の修正力がかからなくて本当よかった。
「なら奥様と御子様の元にいた方がいいのでは?」
「安全第一でイルミナルクスにいるから大丈夫だよ~」
フィクタが動かなければサクの母親、つまりイグニスの妻を人質に国外へ呼び出し事故と見せかけ手にかけるなんてことはないと思うけど少し心配ね。
「イルミナルクスから出たらだめですよ」
「随分過保護だね~。勿論そのつもり」
まあ二人に手出したら容赦しないけどさあと笑うイグニスの瞳は全く笑ってなかった。
「もうさあうちの奥さん可愛すぎるし子供も可愛したまらないよねえ~! 本当はずっと引っ付いていたいんだけど、奥さんに怒られちゃって~」
あ、サクの親だわ。過保護甘やかしの気配がする。
「あと、話が纏まったんだけど」
「はい」
「ストリクテ」
「はい。フィクタ嬢、今更遅いところではありますが、今回の親善試合開催に向け、我が主、ウニバーシタス帝国皇弟お呼び第三皇子殿下に一度顔合わせを願いたいのです」
「……ん?」
なんで?
ストリクテが代表で来てるんだよね?
「フィクタちゃんの功績だからね! 皇帝にばれないようテンプスモーベリ総合学院の宰相研修というかお仕事見学って名目で来てもらう感じ」
やめてよ。
ウニバーシタス帝国、ポステーロス城なんて死亡フラグど真ん中の場所だよ。小説においては本編ヒーロー・ヒロインが出逢った運命の場所、即ち聖地だけど、かつて自分が軟禁され裁かれた場所に行きたいと思う? 無理でしょ。
「謹んで辞退させて頂きます」
「ごめんねえ。皇弟にはオッケーしちゃってる」
「はい?」
今なんて? にっこにこのイグニスに対し、マーロン侯爵は瞳を閉じて沈黙、ストリクテは少し申し訳なさそうにしていて、両理事長は呆れているのか眉を下げてイグニスを見ていた。
「来月行くよ!」
「な、勝手すぎます!」
「知ってる! そうでもしないとフィクタちゃん連れて行けないと思って」
私がここにいる面子と関わりたくないと言った意味を貴族と関わりたくないと捉えているのだろう。まあ死亡フラグはもれなく皆貴族だから仕方ないんだけど、一番行きたくないところへよくも……ああこれが修正力? 本来いるべき場所に行かない私への強制力?
「……親善試合の開催を確約して頂けますか」
「勿論」
汚い言葉で罵りたくなった。たぶんここにいる面子の頭の中にはあったはずのイベントだ。
皇帝の失脚と代替わりに向け、膠着状態の打破には丁度いい。
「……分かりました」
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