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1章 新興国のツンデレショタっ子は魔女に懐かない
21話 噂に聞いた魔女様とは大違いでした
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「クラスは毎日どのぐらいからここにいる?」
「時間?」
「おう」
「サクが行ってすぐかな。ユツィと一緒に騎士様診て回るの」
その日の遠征帰還の人数にもよるけど、普段の鍛練でそう怪我はないし持病の経過観察や処方も頻繁にあるわけではない。
なにもないとユツィに話にきてるってのはあるけどね。勿論邪魔にならない範囲で。
「こんなに男が多い場所に単身で?」
「ユツィがいるよ?」
「そういう問題じゃない」
なにかあればドラゴンとフェンリルが助けてくれることもサクは知っている。けど納得できないらしい。
「サクこれから毎日ここに来るんでしょ?」
「ああ」
ヴォックス騎士団長自ら剣の扱いを教えてくれることになった。サクってば余程強くなりたいらしい。城内の蔵書チェックもいつもより多くなったし、シレから魔法も学んでいると聞いたから、明らかにオーバーワークな気がする。
「無理しないでね?」
「無理じゃない」
「んー?」
返事のニュアンスが違う気がした。けどサクは俺が来るまで待ってろと言って少し照れたからよしとした。待っててほしいんだあ、可愛い。
今日も早速訓練に来てて私とユツィはその姿を眺めながら見学した。
「あれで第一皇太子の言うこと捻り上げてきたんだからすごいよねえ」
「見た所太刀筋もいいですし体幹もしっかりしています。このまま腕を上げたら素晴らしい騎士になるでしょう」
「それで頭もいいんじゃ、文武両道になっちゃうね」
「ええ」
六歳とは思えない。
そして相変わらず第一皇太子と穏便にいかないのどうにかならないかな。
ヴォックスから話を聞いたユツィが会合の内容を全部話してくれる。相変わらず論破してるらしい。
「魔女様」
「はい」
名を呼ばれ顔を向けると、帝都警備の騎士が二人、ヴォックスの隊の騎士に連れられて治癒を求めてやってきた。
「酔っ払い同士のいざこざを仲裁した際にどつかれ倒されてしまい」
転んだ先がゴミ置き場で切ってしまったと。少し深かったらしい。場所を変えようかと思ったけど、騎士がここで構わないと言うので、横に座る形で傷を癒した。
「これが、治癒……」
「他に気になる所はありますか?」
「すごい!」
もう一人も軽い内出血と切り傷だったけど治した。話を聞くと日々の疲れで警備騎士たちの間で微熱を出したり、鼻が出たりする人も多いらしい。当たり障りない風邪にきく薬草を煎じたものを渡した。お湯を注いで飲めるものにしたから取り入れやすいだろう。お代は一切いらないと伝えると街の騎士二人はこれでもかと驚く。
「ありがとうございます!」
薬草を渡す時にそのまま薬ごと両手を握られた。余程感激したらしく、目がきらっきらに輝いている。
「ええと……」
「噂に聞いた魔女様とは大違いでした! こんなによくしてくださり!」
「ええ?」
そもそも帝都の警備をする騎士は城の中に気軽に入れない。今回はヴォックスの隊の騎士と馴染みがあったからいれてもらえて、そのままこちらにこられたけど普段はこうして私の治癒を受けられず、ちょっとしたことは自分でどうにかしないといけないらしい。
街医者も数が少なく、騎士であっても身分によっては診てもらえないとか。
「魔女様は騎士団長の言う通りの方でした」
「噂など嘘にすぎず、奇跡の力で治癒し分け隔てなく治療をしてくださる優しい方だと……真実本当でした!」
奇跡ではない。誇張されてるね?
「ヴォックスなに言ったの……」
「それよりもそろそろ手を離してやりなさい」
「ふはっ失礼を!」
ユツィないす。お陰で手が自由になった。
挙げ句帝都における魔女の私は極悪非道で、扱う治癒魔法は第一皇太子妃である聖女を模した紛い物で効果はなく、代わりに高額な治療費を請求されるとか。あるいは新薬の実験だと毒を飲まされ殺されるとか。嘘の内容がなかなかひどい。
「水が通れば変わると言う者もいますが……我々はその前に医者を増やしてほしいです」
街の治安を守ることもそうだし、衛生面が悪いと病気も流行る。そこをどうにかしてほしいようだった。そしたら水はやっぱり正解で、衛生面と同時進行すればいい。
直近の医者の増員かあ。
「今度そちらに往診に伺いましょうか?」
「え?!」
あ、でも私基本城出られないかな?
どの程度の制限かかってるか知らなかった。確認しにいけば即否定されそうだし、勝手に出たら怒られるだろうな。
「月二回ぐらいならよろしいかと」
「ユツィ?」
いけるの? と目で問えば微笑んで頷いてくれる。できるんだ。最近待遇がどんどんよくなっていってる気がする。
話をまとめ、改めて連絡することを伝えて街の騎士たちと別れた。
「私も参ります」
「ユツィが?」
「私以外の適任がいないでしょう」
「副団長のお仕事は?」
「問題ありません。月に二回行けるよう仕事をこなせば良いだけです」
胸張って行く気満々をアピールされる。ユツィもサクに劣らず私についていきたいタイプよね。サクは否定するけどユツィは肯定する。味方がいるのは嬉しいから大歓迎だ。
「おい」
「あ、サク。お疲れ、さま?」
訓練を終えたサクとヴォックスが戻ってきた。けどサクの期限がすこぶる悪い。目据わってるよ?
「時間?」
「おう」
「サクが行ってすぐかな。ユツィと一緒に騎士様診て回るの」
その日の遠征帰還の人数にもよるけど、普段の鍛練でそう怪我はないし持病の経過観察や処方も頻繁にあるわけではない。
なにもないとユツィに話にきてるってのはあるけどね。勿論邪魔にならない範囲で。
「こんなに男が多い場所に単身で?」
「ユツィがいるよ?」
「そういう問題じゃない」
なにかあればドラゴンとフェンリルが助けてくれることもサクは知っている。けど納得できないらしい。
「サクこれから毎日ここに来るんでしょ?」
「ああ」
ヴォックス騎士団長自ら剣の扱いを教えてくれることになった。サクってば余程強くなりたいらしい。城内の蔵書チェックもいつもより多くなったし、シレから魔法も学んでいると聞いたから、明らかにオーバーワークな気がする。
「無理しないでね?」
「無理じゃない」
「んー?」
返事のニュアンスが違う気がした。けどサクは俺が来るまで待ってろと言って少し照れたからよしとした。待っててほしいんだあ、可愛い。
今日も早速訓練に来てて私とユツィはその姿を眺めながら見学した。
「あれで第一皇太子の言うこと捻り上げてきたんだからすごいよねえ」
「見た所太刀筋もいいですし体幹もしっかりしています。このまま腕を上げたら素晴らしい騎士になるでしょう」
「それで頭もいいんじゃ、文武両道になっちゃうね」
「ええ」
六歳とは思えない。
そして相変わらず第一皇太子と穏便にいかないのどうにかならないかな。
ヴォックスから話を聞いたユツィが会合の内容を全部話してくれる。相変わらず論破してるらしい。
「魔女様」
「はい」
名を呼ばれ顔を向けると、帝都警備の騎士が二人、ヴォックスの隊の騎士に連れられて治癒を求めてやってきた。
「酔っ払い同士のいざこざを仲裁した際にどつかれ倒されてしまい」
転んだ先がゴミ置き場で切ってしまったと。少し深かったらしい。場所を変えようかと思ったけど、騎士がここで構わないと言うので、横に座る形で傷を癒した。
「これが、治癒……」
「他に気になる所はありますか?」
「すごい!」
もう一人も軽い内出血と切り傷だったけど治した。話を聞くと日々の疲れで警備騎士たちの間で微熱を出したり、鼻が出たりする人も多いらしい。当たり障りない風邪にきく薬草を煎じたものを渡した。お湯を注いで飲めるものにしたから取り入れやすいだろう。お代は一切いらないと伝えると街の騎士二人はこれでもかと驚く。
「ありがとうございます!」
薬草を渡す時にそのまま薬ごと両手を握られた。余程感激したらしく、目がきらっきらに輝いている。
「ええと……」
「噂に聞いた魔女様とは大違いでした! こんなによくしてくださり!」
「ええ?」
そもそも帝都の警備をする騎士は城の中に気軽に入れない。今回はヴォックスの隊の騎士と馴染みがあったからいれてもらえて、そのままこちらにこられたけど普段はこうして私の治癒を受けられず、ちょっとしたことは自分でどうにかしないといけないらしい。
街医者も数が少なく、騎士であっても身分によっては診てもらえないとか。
「魔女様は騎士団長の言う通りの方でした」
「噂など嘘にすぎず、奇跡の力で治癒し分け隔てなく治療をしてくださる優しい方だと……真実本当でした!」
奇跡ではない。誇張されてるね?
「ヴォックスなに言ったの……」
「それよりもそろそろ手を離してやりなさい」
「ふはっ失礼を!」
ユツィないす。お陰で手が自由になった。
挙げ句帝都における魔女の私は極悪非道で、扱う治癒魔法は第一皇太子妃である聖女を模した紛い物で効果はなく、代わりに高額な治療費を請求されるとか。あるいは新薬の実験だと毒を飲まされ殺されるとか。嘘の内容がなかなかひどい。
「水が通れば変わると言う者もいますが……我々はその前に医者を増やしてほしいです」
街の治安を守ることもそうだし、衛生面が悪いと病気も流行る。そこをどうにかしてほしいようだった。そしたら水はやっぱり正解で、衛生面と同時進行すればいい。
直近の医者の増員かあ。
「今度そちらに往診に伺いましょうか?」
「え?!」
あ、でも私基本城出られないかな?
どの程度の制限かかってるか知らなかった。確認しにいけば即否定されそうだし、勝手に出たら怒られるだろうな。
「月二回ぐらいならよろしいかと」
「ユツィ?」
いけるの? と目で問えば微笑んで頷いてくれる。できるんだ。最近待遇がどんどんよくなっていってる気がする。
話をまとめ、改めて連絡することを伝えて街の騎士たちと別れた。
「私も参ります」
「ユツィが?」
「私以外の適任がいないでしょう」
「副団長のお仕事は?」
「問題ありません。月に二回行けるよう仕事をこなせば良いだけです」
胸張って行く気満々をアピールされる。ユツィもサクに劣らず私についていきたいタイプよね。サクは否定するけどユツィは肯定する。味方がいるのは嬉しいから大歓迎だ。
「おい」
「あ、サク。お疲れ、さま?」
訓練を終えたサクとヴォックスが戻ってきた。けどサクの期限がすこぶる悪い。目据わってるよ?
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