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2章 神よ、感謝します。けど、ちょっと違う叶ったけどちょっと違うんです。
90話 ぐったりディエゴ、胸中お察しします
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「勉強熱心? まあ家族旅行は長いし父親も後から行く組だったから調度よかったのかな?」
「ただ指名するにしても臨時講義にする必要はなかったのよ。話題になった日取りから考えても通常のカリキュラムに導入はできたはずなの」
「わざわざ臨時講義にしたかったってこと?」
「普段の講義を詰める事は避けたかったのかもしれない。別で時間をとり、じっくり学ばせてやりたいと思ってもおかしくはないさ」
「ふむ……わかった、ありがとう」
相変わらず仕入れと分析が速いね。しかもこれで王族としての仕事もしてるんだから、キャラ設定からして盛りすぎだよ。有能すぎる2人のおかげで国が安泰すぎてどうしたらいい、シーズン2販売はいつだ。
「この後、調度この時の講義の決定権を持っていた方に直接話を伺うわ」
「誰?」
「ネウトラーレ候爵夫人だ」
「あの人先生なの?」
どうやらこちらでいうとこの教育委員会の会長さんみたいなもののようだ。同時学園の理事長のような存在らしい。となると当時のオルネッラと話していた可能性もあるのか。生きたオルネッラのことを知ってる人がいるなら、そろそろ訊きに回ってもいいかもしれない。
「私も一緒に行ける?」
「ごめんなさい、チアキ。夫人は私とサルヴァトーレ二人でと仰っているの」
「そっか、OK。後で話聞かせて」
「ああ」
二人を見送る。
さすがに社交界の重鎮、アポイントをとるのも大変だから、急な要望変更はしないほうがいいだろう。
本当、新規事業の時に夫人たらやたら予定埋まっててアポイントとれなかったからな…あの人色んな事に手だし過ぎ。忙しくないと死んでしまうタイプの人間は早々動きを止めない。私の社畜ぶりが可愛いレベルだ。
「……オリアーナが戻るまで暇だな」
中庭、ここ直近で覗きがばれているけど、二人のいちゃいちゃを見に行くとしよう。
告白イベント(返事/本番)の見逃し配信がない今、きっとかわりのご褒美がやってくる。それがきっと今起きているであろう恋人達のいちゃいちゃだ、それしかない。
「おや」
いざ突撃と言わんばかりに進むとすぐに見慣れた頭が芝生の中から見えた。
「ディエゴ」
「…………ああ、君か」
先日までの勢いはどこへやら、ぐったりした様子で芝生に横になっている。
「具合悪いの?」
「いや……その、今日はやたら、令嬢方に話し掛けられて……」
「ああ」
横になったまま動かない。そっとしといてあげるのがよさそうかな。
きっと私に突撃ない分も彼にいってる可能性がある。色々話題になった過去のボコボコタイムに加え、未だ醜聞を信じてる者もいる手前、私に直接訊いてくる猛者はいなかった。
となると、ディエゴに来るのは妥当、ついでに女生徒はイケメンにお近づきになれてウハウハに違いない。
「じゃ、私はこれで」
「待て」
「一人で休みたくないの?」
「チアキの事だ、またエドアルドとオリアーナの様子を覗きに行くのだろう?」
「ぎく」
ややお疲れといった目線をもらうが、中身は少し飽きれ模様。何故私の行動が読まれているのか。
彼には一度覗いているのを知られている。お陰様で失敗したけど、私は諦めていないんだぞ。
「こちらに」
ぽんぽんと隣を手で叩く。渋々芝生の上に腰を下ろした。大変不服である事の意思表示だ。
「オリアーナにチアキが覗きに行こうとしてたら止めるよう言われている」
「そんなオリアーナったら!」
「覗きはやめておけ」
オリアーナ、デレ多めになったのに覗きだめとかなんなの。あ、間近で見てもいいってこと?
パソコン画面見るレベルの近さで見ててもいいってことなの?
「二人で過ごしたいのだから、そっとしておけばいい」
「何故ディエゴまで私の思考を読む?」
「こういう時の君の考える事は何となく分かるさ」
「なんてことだ……」
今日は諦めよう。次はディエゴがいないエリアを通って二人のとこへ行くしかないな。
仕方なしに、ここでオリアーナを待つことを決めた私は、折角なのでのんびりすることに決めた。芝生の上に寝転がって空を見上げれば、今日は綺麗な晴天だ。
隣にはぐったり気味のディエゴだけど、ここなら静かで心豊かに過ごせるのかもしれない。
「疲れてるんだよね、少し黙る?」
「いや、話してる方が気が紛れる」
「ふうん? どうだったの、ご令嬢達の突撃は」
「ああ…」
彼が私と踊ってしまった事がイコール私も踊れるということに変換してぐいぐいに誘って来る子、やぶへびで私とディエゴの仲をぐいぐい探る子、はては私の方がディエゴ好きなのとぐいぐい告白に来る子と多伎にわたる。ここの女性陣みんな強いな。
「ふふ、面白い」
「……笑うな。大変だったんだぞ」
「胸中お察しします」
「……楽しんでるな」
「もちろん」
笑いを取りに来ましたか、ディエゴよ。内容がコメディすぎる、週刊誌のラブコメものでありそう。複数の女性からモテるハーレムもの、主人公はその気なしタイプだけど無自覚にヒロイン達を落としていく系統で。
私の様子を見ていつものことだと諦めたようだった。浅く溜息を吐いて話を変える為の前置きをしてきた。というか最近溜息多いね、ディエゴ。幸せの為にも溜息は避けた方がいい。
「…オルネッラの話をしても?」
「いいよ」
むしろ歓迎と言ったら、また訝しんできそうだから言わない。オルネッラの人となりを知りたいし、僅かな情報も求むな今は大変助かる話だ。
けど、わざわざ許可を得て話す事だろうか。そういうところはディエゴ律儀だよね。
「ただ指名するにしても臨時講義にする必要はなかったのよ。話題になった日取りから考えても通常のカリキュラムに導入はできたはずなの」
「わざわざ臨時講義にしたかったってこと?」
「普段の講義を詰める事は避けたかったのかもしれない。別で時間をとり、じっくり学ばせてやりたいと思ってもおかしくはないさ」
「ふむ……わかった、ありがとう」
相変わらず仕入れと分析が速いね。しかもこれで王族としての仕事もしてるんだから、キャラ設定からして盛りすぎだよ。有能すぎる2人のおかげで国が安泰すぎてどうしたらいい、シーズン2販売はいつだ。
「この後、調度この時の講義の決定権を持っていた方に直接話を伺うわ」
「誰?」
「ネウトラーレ候爵夫人だ」
「あの人先生なの?」
どうやらこちらでいうとこの教育委員会の会長さんみたいなもののようだ。同時学園の理事長のような存在らしい。となると当時のオルネッラと話していた可能性もあるのか。生きたオルネッラのことを知ってる人がいるなら、そろそろ訊きに回ってもいいかもしれない。
「私も一緒に行ける?」
「ごめんなさい、チアキ。夫人は私とサルヴァトーレ二人でと仰っているの」
「そっか、OK。後で話聞かせて」
「ああ」
二人を見送る。
さすがに社交界の重鎮、アポイントをとるのも大変だから、急な要望変更はしないほうがいいだろう。
本当、新規事業の時に夫人たらやたら予定埋まっててアポイントとれなかったからな…あの人色んな事に手だし過ぎ。忙しくないと死んでしまうタイプの人間は早々動きを止めない。私の社畜ぶりが可愛いレベルだ。
「……オリアーナが戻るまで暇だな」
中庭、ここ直近で覗きがばれているけど、二人のいちゃいちゃを見に行くとしよう。
告白イベント(返事/本番)の見逃し配信がない今、きっとかわりのご褒美がやってくる。それがきっと今起きているであろう恋人達のいちゃいちゃだ、それしかない。
「おや」
いざ突撃と言わんばかりに進むとすぐに見慣れた頭が芝生の中から見えた。
「ディエゴ」
「…………ああ、君か」
先日までの勢いはどこへやら、ぐったりした様子で芝生に横になっている。
「具合悪いの?」
「いや……その、今日はやたら、令嬢方に話し掛けられて……」
「ああ」
横になったまま動かない。そっとしといてあげるのがよさそうかな。
きっと私に突撃ない分も彼にいってる可能性がある。色々話題になった過去のボコボコタイムに加え、未だ醜聞を信じてる者もいる手前、私に直接訊いてくる猛者はいなかった。
となると、ディエゴに来るのは妥当、ついでに女生徒はイケメンにお近づきになれてウハウハに違いない。
「じゃ、私はこれで」
「待て」
「一人で休みたくないの?」
「チアキの事だ、またエドアルドとオリアーナの様子を覗きに行くのだろう?」
「ぎく」
ややお疲れといった目線をもらうが、中身は少し飽きれ模様。何故私の行動が読まれているのか。
彼には一度覗いているのを知られている。お陰様で失敗したけど、私は諦めていないんだぞ。
「こちらに」
ぽんぽんと隣を手で叩く。渋々芝生の上に腰を下ろした。大変不服である事の意思表示だ。
「オリアーナにチアキが覗きに行こうとしてたら止めるよう言われている」
「そんなオリアーナったら!」
「覗きはやめておけ」
オリアーナ、デレ多めになったのに覗きだめとかなんなの。あ、間近で見てもいいってこと?
パソコン画面見るレベルの近さで見ててもいいってことなの?
「二人で過ごしたいのだから、そっとしておけばいい」
「何故ディエゴまで私の思考を読む?」
「こういう時の君の考える事は何となく分かるさ」
「なんてことだ……」
今日は諦めよう。次はディエゴがいないエリアを通って二人のとこへ行くしかないな。
仕方なしに、ここでオリアーナを待つことを決めた私は、折角なのでのんびりすることに決めた。芝生の上に寝転がって空を見上げれば、今日は綺麗な晴天だ。
隣にはぐったり気味のディエゴだけど、ここなら静かで心豊かに過ごせるのかもしれない。
「疲れてるんだよね、少し黙る?」
「いや、話してる方が気が紛れる」
「ふうん? どうだったの、ご令嬢達の突撃は」
「ああ…」
彼が私と踊ってしまった事がイコール私も踊れるということに変換してぐいぐいに誘って来る子、やぶへびで私とディエゴの仲をぐいぐい探る子、はては私の方がディエゴ好きなのとぐいぐい告白に来る子と多伎にわたる。ここの女性陣みんな強いな。
「ふふ、面白い」
「……笑うな。大変だったんだぞ」
「胸中お察しします」
「……楽しんでるな」
「もちろん」
笑いを取りに来ましたか、ディエゴよ。内容がコメディすぎる、週刊誌のラブコメものでありそう。複数の女性からモテるハーレムもの、主人公はその気なしタイプだけど無自覚にヒロイン達を落としていく系統で。
私の様子を見ていつものことだと諦めたようだった。浅く溜息を吐いて話を変える為の前置きをしてきた。というか最近溜息多いね、ディエゴ。幸せの為にも溜息は避けた方がいい。
「…オルネッラの話をしても?」
「いいよ」
むしろ歓迎と言ったら、また訝しんできそうだから言わない。オルネッラの人となりを知りたいし、僅かな情報も求むな今は大変助かる話だ。
けど、わざわざ許可を得て話す事だろうか。そういうところはディエゴ律儀だよね。
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