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2章 神よ、感謝します。けど、ちょっと違う叶ったけどちょっと違うんです。
85話 ボコボコタイムのない社交界、ダンスパーティに行く
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「チアキ、次の祝日に社交界があります」
「うん」
「ダンスを主にしたものです」
「ダンスパーティー……え、パリピ的な? それ、私行く必要ある?」
遊びの要素が強ければ若者、つまり学生がメインになってくる。商談に響かなそうなら、今はオリアーナもいることだし私が無理して行く必要もないだろう。それにパリピは苦手、クラブとかそういうのは得意ではない。
いかにも嫌そうな顔をしていたのか、オリアーナが小首を傾げて破壊力あるポーズを披露した。そして私の言った事を加味した上で、きちんと説明をしてくれた。
「年齢層は幅広く商談相手に限らず、爵位のある者や王陛下から称号を賜った方々、ネウトラーレ候爵夫人もいらっしゃいます」
「イケオジに社交界の重鎮が……」
クラブでフィーバータイムではなさそうだ。どちらかといえば宮廷晩餐会のライト版に近そう。
新規事業に目処がついてからも何度か顔を合わせてはいたけど……ううむ、行った方がいいか悩むところ。
「チアキ」
「何?」
「私はずっとチアキと社交界に行きたいと思っていました」
「え?!」
少し伏し目がちに、今までは、と続けるオリアーナ、美人の睫毛はやっぱり長い。
いきなりの本音告白に私のテンションはぐぐんと上がった。一緒に行きたかったとか、聞き捨てならない。
「今までは中庭で待つだけでしたので……だから、チアキと一緒に行って社交界を楽しみたいのです」
「喜んでー! 喜んで行きます!」
「有難う御座います」
一緒に行ってほしいなら早く言ってよ。喜んで行くに決まってるじゃん。
父親はその日、王陛下に呼び出されてるから私達がガラッシア家代表みたいな形になるらしいけど?
そんなんオリアーナいるから何も問題ないし、仕掛けてくる阿呆はもういないだろうから、私は美人見ながら美味しいお酒でも飲むとしよう。
そしてオリアーナのデレを存分に堪能しよう。私と一緒に社交界行けて嬉しいですなオリアーナを!
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
「ふへえ、相変わらず美しく眩しいね二人とも」
「ありがとう、チアキ」
「ああ、今日は二人して似た形にしたのか?」
「そうなんだよ、トット! オリアーナとお揃いよ、おそろ!」
「チアキ、顔が」
父親が張りきって新規注文してたよ、この驚きたるや。オルネッラ(中身オリアーナ)の久しぶりの社交界復帰にやる気を出したらしい。
そのまま同じというわけではないけれど、色合いや細かいデザインは同じという可愛いことしてきた。父親、君はいい仕事をした。今や同年齢で双子のようになったガラッシア家姉妹にぴったりだよ。
「オリアーナ!」
「エドアルド」
ハニーフェイスがめかしこんでオリアーナの元へ……ああ幼馴染本当よかったねえ。てか、エドアルドのお迎えで向かっても良かったんじゃないの、オリアーナ。エスコートするエドアルドに微笑みかけながら一緒に歩くオリアーナを見て癒されたい。
「あら、お話していたの?」
「大事なイベントがあったからね」
見逃したけど。配信ないけど。
絶望に遠い目をする私をスルーして、ハニーフェイスがエステルトットに話しかける。ああ、めかしこんで髪もセットしてあるから、よしよしはできないなあ。
「お二人はご存知だったんですね」
「ああ」
「今、御存知なのは」
「えと、エドアルドとディエゴだね。父とクラーレは遅れてる」
ディエゴが私をオルネッラと思い込んでいたのは解消した旨も伝えておく。
なにせオリアーナが全部話した挙げ句、それをまま信じたのだから。素直すぎるよ……オルネッラ見た目がキャラ作って嘘ついてるという考えに至らないとは。まあオリアーナにそんな疑いかけたら私のボコボコ対象に昇格だけども。
「良かったわね、チアキ」
「何故良いのか」
「オリアーナの言う通りなのよ。少しはこの世界での生活を楽しんでも良いのではないかしら?」
「美男美女を眺めてるだけで幸せだし、かなり楽しんでるんだよ?」
今みたいにね。
美男美女に囲まれたこの状況、眩しさに目を閉じてしまう……まさに照明いらず。しかもこの輝きが今日踊るのか、私なんで気乗りしてなかった、結果的には来てるからいいけど、推し達のダンスシーン見られるとかイベントじゃんか。うわあ来てよかった。最前列でお願いします。
「ソラーレ候爵令息に返事はしたのか?」
「あ、してないね」
「私は彼を応援します」
「オリアーナはその一点張りだね」
誠実にお断りをしよう。今私はオルネッラのことで頭がいっぱいなので、他のことにかまけてる余裕がありません的な形で。私は器用じゃないので同時並行できませんとも。そうだ、仕事が忙しくてと断る男性の大方割合はお断りですの意味らしいし、いい返し方に違いない。
近いうちにオルネッラを取り戻せれば彼も通常トゥルーエンドを迎えるだろうし。その間、鑑賞用で見てることは許してね、よし。オルネッラ取り戻す云々を濁しながら応えてみよう。
「その様子では」
「サルヴァトーレ……いいのよ、このままで」
「そうか」
時間が必要なの、とエステル。なんだ、私の脳内覗いたの?
オルネッラのことは時間かけてもやりきるけどさ。確かに時間はほしい。
「チアキ」
おお、話をしてたら現れた。颯爽と、またいい笑顔で。
ツンデレ何処へいった。
「うん」
「ダンスを主にしたものです」
「ダンスパーティー……え、パリピ的な? それ、私行く必要ある?」
遊びの要素が強ければ若者、つまり学生がメインになってくる。商談に響かなそうなら、今はオリアーナもいることだし私が無理して行く必要もないだろう。それにパリピは苦手、クラブとかそういうのは得意ではない。
いかにも嫌そうな顔をしていたのか、オリアーナが小首を傾げて破壊力あるポーズを披露した。そして私の言った事を加味した上で、きちんと説明をしてくれた。
「年齢層は幅広く商談相手に限らず、爵位のある者や王陛下から称号を賜った方々、ネウトラーレ候爵夫人もいらっしゃいます」
「イケオジに社交界の重鎮が……」
クラブでフィーバータイムではなさそうだ。どちらかといえば宮廷晩餐会のライト版に近そう。
新規事業に目処がついてからも何度か顔を合わせてはいたけど……ううむ、行った方がいいか悩むところ。
「チアキ」
「何?」
「私はずっとチアキと社交界に行きたいと思っていました」
「え?!」
少し伏し目がちに、今までは、と続けるオリアーナ、美人の睫毛はやっぱり長い。
いきなりの本音告白に私のテンションはぐぐんと上がった。一緒に行きたかったとか、聞き捨てならない。
「今までは中庭で待つだけでしたので……だから、チアキと一緒に行って社交界を楽しみたいのです」
「喜んでー! 喜んで行きます!」
「有難う御座います」
一緒に行ってほしいなら早く言ってよ。喜んで行くに決まってるじゃん。
父親はその日、王陛下に呼び出されてるから私達がガラッシア家代表みたいな形になるらしいけど?
そんなんオリアーナいるから何も問題ないし、仕掛けてくる阿呆はもういないだろうから、私は美人見ながら美味しいお酒でも飲むとしよう。
そしてオリアーナのデレを存分に堪能しよう。私と一緒に社交界行けて嬉しいですなオリアーナを!
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「ふへえ、相変わらず美しく眩しいね二人とも」
「ありがとう、チアキ」
「ああ、今日は二人して似た形にしたのか?」
「そうなんだよ、トット! オリアーナとお揃いよ、おそろ!」
「チアキ、顔が」
父親が張りきって新規注文してたよ、この驚きたるや。オルネッラ(中身オリアーナ)の久しぶりの社交界復帰にやる気を出したらしい。
そのまま同じというわけではないけれど、色合いや細かいデザインは同じという可愛いことしてきた。父親、君はいい仕事をした。今や同年齢で双子のようになったガラッシア家姉妹にぴったりだよ。
「オリアーナ!」
「エドアルド」
ハニーフェイスがめかしこんでオリアーナの元へ……ああ幼馴染本当よかったねえ。てか、エドアルドのお迎えで向かっても良かったんじゃないの、オリアーナ。エスコートするエドアルドに微笑みかけながら一緒に歩くオリアーナを見て癒されたい。
「あら、お話していたの?」
「大事なイベントがあったからね」
見逃したけど。配信ないけど。
絶望に遠い目をする私をスルーして、ハニーフェイスがエステルトットに話しかける。ああ、めかしこんで髪もセットしてあるから、よしよしはできないなあ。
「お二人はご存知だったんですね」
「ああ」
「今、御存知なのは」
「えと、エドアルドとディエゴだね。父とクラーレは遅れてる」
ディエゴが私をオルネッラと思い込んでいたのは解消した旨も伝えておく。
なにせオリアーナが全部話した挙げ句、それをまま信じたのだから。素直すぎるよ……オルネッラ見た目がキャラ作って嘘ついてるという考えに至らないとは。まあオリアーナにそんな疑いかけたら私のボコボコ対象に昇格だけども。
「良かったわね、チアキ」
「何故良いのか」
「オリアーナの言う通りなのよ。少しはこの世界での生活を楽しんでも良いのではないかしら?」
「美男美女を眺めてるだけで幸せだし、かなり楽しんでるんだよ?」
今みたいにね。
美男美女に囲まれたこの状況、眩しさに目を閉じてしまう……まさに照明いらず。しかもこの輝きが今日踊るのか、私なんで気乗りしてなかった、結果的には来てるからいいけど、推し達のダンスシーン見られるとかイベントじゃんか。うわあ来てよかった。最前列でお願いします。
「ソラーレ候爵令息に返事はしたのか?」
「あ、してないね」
「私は彼を応援します」
「オリアーナはその一点張りだね」
誠実にお断りをしよう。今私はオルネッラのことで頭がいっぱいなので、他のことにかまけてる余裕がありません的な形で。私は器用じゃないので同時並行できませんとも。そうだ、仕事が忙しくてと断る男性の大方割合はお断りですの意味らしいし、いい返し方に違いない。
近いうちにオルネッラを取り戻せれば彼も通常トゥルーエンドを迎えるだろうし。その間、鑑賞用で見てることは許してね、よし。オルネッラ取り戻す云々を濁しながら応えてみよう。
「その様子では」
「サルヴァトーレ……いいのよ、このままで」
「そうか」
時間が必要なの、とエステル。なんだ、私の脳内覗いたの?
オルネッラのことは時間かけてもやりきるけどさ。確かに時間はほしい。
「チアキ」
おお、話をしてたら現れた。颯爽と、またいい笑顔で。
ツンデレ何処へいった。
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