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2章 神よ、感謝します。けど、ちょっと違う叶ったけどちょっと違うんです。
81話 告白イベント(返事/本番)
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「いってきます」
「オリアーナ、オルネッラ…気をつけるんだぞ……」
父親の心配ぶりがひどい。まあそれもそうだろう、彼は当時知らなかったオリアーナの社交界での孤立やらがあった手前、また何か私達が辛い思いをするのではと思うのはわかる。
幸いなのは彼が自身の保身や体裁を気にせず純粋に娘二人を心配してるところだろう。過剰ではあるが。
「いつも二人で歩いてたのに不思議な感じだね」
「ええ、そうですね」
オリアーナ(見た目オルネッラ)はやや緊張した面持ちながらも背筋を伸ばして綺麗に歩いている。肩に力が入ってるな、朝一緒にヨガ追加してだいぶほぐしたんだけど。
それにしても徒歩通学をOKしてくれて良かった。前はわんこなテゾーロだったから付き合ってくれてたのかと思ってたけど、人に中身が戻っても同じらしい。完全なわんこに戻ったテゾーロも何故かついてきてるけど、よしとしよう。賢い子だから待つことも帰る事も出来るだろうし。
「オリアーナ、チアキ」
「エステル! トット!」
「お早う御座います。先日はお忙しい中、」
「オリアーナ、そんな畏まらなくてもいいんだよ」
「そうね、今まではお話出来なかったけど、私もサルヴァトーレもオリアーナと親しい仲だと思っているわ」
「ああ、遠慮する事はない」
「はい……」
エステルトットは天使で神だから当然の姿。この懐の深さを見よ。今日も眩しい2人だわ。
朝から目の保養とはこのこと。念願のオリアーナわんこ脱却、オルネッラも美人だし、そもそも中身がオリアーナだと顔つきが違うから、私が出会った時に見たオリアーナの表情そのままだ。いいねえ、ここ瞬時に保養地になるの。
「で、二人に比べて小さい輩が多いったら」
「チアキ、輩はいけないわ」
「許して」
こっちを見てはひそひそひそ。いつぞやの初めて社交界を思い出す。
まったくいい度胸だ。オリアーナはかつてのこともあってか少し固くなっている。それもそうだ、大人びてるけどまだ10代、件のことは彼女にとってトラウマものだろう。
「オリアーナ」
「…はい」
「胸張っていこうか」
「……はい」
あー!可愛いなー!オリアーナが微笑んだ!微笑んだんだよ!
好き…トゥルーエンドの先のボーナストラックをプレイしてる感じ。本当好き。
けど癒しを感じてる場合でもない、オリアーナがいくらここ最近メンタル的なものが回復して自殺志願者を脱したとはいえ、最初の一歩から安定に入るまでは緊張の連続だろう。こうして傍にいて支えになる事が出来れば本望ですな、その安心した微笑み本当尊い。
「はあああ罪深いいい」
「相変わらずね」
「ああ」
「ここ最近はいつもに増してこのような様子です」
うむうむと頷き合う三人、なによそこで結託しちゃって。やっとチアキのことが分かる方とお話できるわあとか言ってる。なに、私のこと好きとか皆で話す系なの?デレは私本人の前でお願いします。
「チアキの様子を見てたら、自分が緊張しているのが馬鹿馬鹿しくなりました」
「おう」
顔つきも変わり、感じる雰囲気に自信が見られれば、他人はそれを敏感に感じとる。
そのおかげで周囲のひそひそもそこまで長く続かなかった。もっとも話しかけてくる人物は数えるほどだったけど。まあ周囲が慣れてそこそこ会話するようになるのもすぐだろう。今日はこっちもあっちも様子見といったところ、徐々に変化していくだろうから静観してても問題ない。
「チアキ、私」
「うん?」
「エドアルドの所へ行ってきます」
「是非どうぞ」
遠慮がちに中庭奥へ進んでいくオリアーナを追いかける。
え?昨日ディエゴに滔々とストーカーについて話したって?違う違う、これは純粋なオリアーナへ対する心配という気持ちから動いているのですよ。断じて付き纏っていない。
え?覗きは良くないって?違うこれは通学したてのオリアーナがエドアルドに上手く伝えられるか心配なだけ、何かあれば私フォローに入れるし、そうフォロー入る為にも近くにいないとね、ね!
「よしよし」
エステルトットは教授に呼び出されて一時的にいない。これは好機だ。やっと、やっと見られる。
告白イベント(返事/本番)が!
「エドアルド」
「オルネッラ……」
なんでここにと戸惑うエドアルドに対し、いつもここで話を聴いてましたからとオリアーナ。
芝生の上に二人座ってるだけで絵になるのに、会話とこれから起こることがドラマだよ、イベントだよ。
「私です、オリアーナです」
「え?」
「急な事ですぐには信じてもらえないかもしれません。ですが、」
「君」
「ヒュッ」
声をかけられ振り向けばディエゴがいた。ええい、どうしてこのタイミングで現れるのか!一番いいとこなのに!
「ちょ、立ってないで座って! 屈んで! ばれる!」
「……何をしている」
「今一番大事なとこだから黙ってて!」
茂みの間から覗けば、オリアーナったらエドアルドの手を取って訴えてるじゃない。その手を取る瞬間見たかった!てか手をとるとか積極的だね。戻ってきて行動力増したの?いや元々行動力ある子だったのかな?女性からぐいぐいいくのやぶさかじゃない、大歓迎です。
そんな私がウッハウハに盛り上がっていると、ディエゴが私の視線を追って呆れたように溜息を吐いた。
「ああ、二人を見ているのか」
「しっ! 聞こえないでしょ!」
「はあ、覗くのはどうなんだ……」
今はディエゴにかまってる場合じゃない。私のご褒美タイムを邪魔しないで。
「君に話があるんだが」
「後にして!」
無碍に即答すると隣から苛立った雰囲気を感じた。覗きがどうとか関係ない、私は見たいイベントを優先する。
「オリアーナ、オルネッラ…気をつけるんだぞ……」
父親の心配ぶりがひどい。まあそれもそうだろう、彼は当時知らなかったオリアーナの社交界での孤立やらがあった手前、また何か私達が辛い思いをするのではと思うのはわかる。
幸いなのは彼が自身の保身や体裁を気にせず純粋に娘二人を心配してるところだろう。過剰ではあるが。
「いつも二人で歩いてたのに不思議な感じだね」
「ええ、そうですね」
オリアーナ(見た目オルネッラ)はやや緊張した面持ちながらも背筋を伸ばして綺麗に歩いている。肩に力が入ってるな、朝一緒にヨガ追加してだいぶほぐしたんだけど。
それにしても徒歩通学をOKしてくれて良かった。前はわんこなテゾーロだったから付き合ってくれてたのかと思ってたけど、人に中身が戻っても同じらしい。完全なわんこに戻ったテゾーロも何故かついてきてるけど、よしとしよう。賢い子だから待つことも帰る事も出来るだろうし。
「オリアーナ、チアキ」
「エステル! トット!」
「お早う御座います。先日はお忙しい中、」
「オリアーナ、そんな畏まらなくてもいいんだよ」
「そうね、今まではお話出来なかったけど、私もサルヴァトーレもオリアーナと親しい仲だと思っているわ」
「ああ、遠慮する事はない」
「はい……」
エステルトットは天使で神だから当然の姿。この懐の深さを見よ。今日も眩しい2人だわ。
朝から目の保養とはこのこと。念願のオリアーナわんこ脱却、オルネッラも美人だし、そもそも中身がオリアーナだと顔つきが違うから、私が出会った時に見たオリアーナの表情そのままだ。いいねえ、ここ瞬時に保養地になるの。
「で、二人に比べて小さい輩が多いったら」
「チアキ、輩はいけないわ」
「許して」
こっちを見てはひそひそひそ。いつぞやの初めて社交界を思い出す。
まったくいい度胸だ。オリアーナはかつてのこともあってか少し固くなっている。それもそうだ、大人びてるけどまだ10代、件のことは彼女にとってトラウマものだろう。
「オリアーナ」
「…はい」
「胸張っていこうか」
「……はい」
あー!可愛いなー!オリアーナが微笑んだ!微笑んだんだよ!
好き…トゥルーエンドの先のボーナストラックをプレイしてる感じ。本当好き。
けど癒しを感じてる場合でもない、オリアーナがいくらここ最近メンタル的なものが回復して自殺志願者を脱したとはいえ、最初の一歩から安定に入るまでは緊張の連続だろう。こうして傍にいて支えになる事が出来れば本望ですな、その安心した微笑み本当尊い。
「はあああ罪深いいい」
「相変わらずね」
「ああ」
「ここ最近はいつもに増してこのような様子です」
うむうむと頷き合う三人、なによそこで結託しちゃって。やっとチアキのことが分かる方とお話できるわあとか言ってる。なに、私のこと好きとか皆で話す系なの?デレは私本人の前でお願いします。
「チアキの様子を見てたら、自分が緊張しているのが馬鹿馬鹿しくなりました」
「おう」
顔つきも変わり、感じる雰囲気に自信が見られれば、他人はそれを敏感に感じとる。
そのおかげで周囲のひそひそもそこまで長く続かなかった。もっとも話しかけてくる人物は数えるほどだったけど。まあ周囲が慣れてそこそこ会話するようになるのもすぐだろう。今日はこっちもあっちも様子見といったところ、徐々に変化していくだろうから静観してても問題ない。
「チアキ、私」
「うん?」
「エドアルドの所へ行ってきます」
「是非どうぞ」
遠慮がちに中庭奥へ進んでいくオリアーナを追いかける。
え?昨日ディエゴに滔々とストーカーについて話したって?違う違う、これは純粋なオリアーナへ対する心配という気持ちから動いているのですよ。断じて付き纏っていない。
え?覗きは良くないって?違うこれは通学したてのオリアーナがエドアルドに上手く伝えられるか心配なだけ、何かあれば私フォローに入れるし、そうフォロー入る為にも近くにいないとね、ね!
「よしよし」
エステルトットは教授に呼び出されて一時的にいない。これは好機だ。やっと、やっと見られる。
告白イベント(返事/本番)が!
「エドアルド」
「オルネッラ……」
なんでここにと戸惑うエドアルドに対し、いつもここで話を聴いてましたからとオリアーナ。
芝生の上に二人座ってるだけで絵になるのに、会話とこれから起こることがドラマだよ、イベントだよ。
「私です、オリアーナです」
「え?」
「急な事ですぐには信じてもらえないかもしれません。ですが、」
「君」
「ヒュッ」
声をかけられ振り向けばディエゴがいた。ええい、どうしてこのタイミングで現れるのか!一番いいとこなのに!
「ちょ、立ってないで座って! 屈んで! ばれる!」
「……何をしている」
「今一番大事なとこだから黙ってて!」
茂みの間から覗けば、オリアーナったらエドアルドの手を取って訴えてるじゃない。その手を取る瞬間見たかった!てか手をとるとか積極的だね。戻ってきて行動力増したの?いや元々行動力ある子だったのかな?女性からぐいぐいいくのやぶさかじゃない、大歓迎です。
そんな私がウッハウハに盛り上がっていると、ディエゴが私の視線を追って呆れたように溜息を吐いた。
「ああ、二人を見ているのか」
「しっ! 聞こえないでしょ!」
「はあ、覗くのはどうなんだ……」
今はディエゴにかまってる場合じゃない。私のご褒美タイムを邪魔しないで。
「君に話があるんだが」
「後にして!」
無碍に即答すると隣から苛立った雰囲気を感じた。覗きがどうとか関係ない、私は見たいイベントを優先する。
応援ありがとうございます!
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