60 / 82
60話 密室密着系ラッキースケベ つづき
しおりを挟む
もう一度みじろいだら私の太股がエフィの足の間に入ってしまった。挙げ句、長物の掃除用具が傾いてエフィの服を引っ掻けたせいで腹筋が丸見えになる。
目線、目線逸らそう。
「は、はやく出よ」
「待て、だから動くな」
「開ける」
戸に手を伸ばして身体をよじれば、また変な風にエフィとくっつく。
やっぱり開かない。ラッキースケベ終わってよ。もう充分だよ。
「くそ」
「え?」
ぐいっと肩を掴まれ、戸から手が離れる。
抵抗すると動くなとまた言われて、エフィの胸に正面からしなだれかかる体勢で抱きしめられた。
「抱きしめれば大丈夫だろ」
「せめてここから出ようよ」
両手をエフィの胸に添えて見上げると、エフィが唸る。目の毒だと言われ、見下ろしていた視線を逸らした。
エフィの鼓動が速い。私の鼓動も自分の頭に響くぐらい速い。聞こえてるんだろうなと思うと辛かった。
「エフィ」
「こら、動くなと」
エフィが見下ろした時、目線がずれて別の場所を見た。
身体がより密着してる場所、押し付けられた私の胸を見ている。
再度エフィを見たら、目が合って気まずいとばかりにまた逸らされる。
「……エフィ」
「……」
「……」
「……」
「思っていたよりも大きかった」
「っ、蒸し返すな!」
朝ちゅんやらかした時も私は寝ぼけてエフィに身体を寄せていたから、こうして胸も押し付けていたんだろうなと思ったんだけど。
「エフィは大きい方が好きなの」
「そういう事をここできくな!」
件の台詞を男三人で話してた時は満更でもない声音だったくせに。
思っていたよりも大きくて嬉しかったみたいなニュアンスだと思ってたけど。
「取り巻きの女性たちは巨乳ばっかりだった」
「胸の話はやめろ!」
「じゃあ小さい方がいい?」
「俺は好きな人の胸なら大きさは特に、いやだからきくな!」
エフィがテンパってる。ラッキースケベでここまで動揺するのは久しぶりな気がした。
被害を被ったことに申し訳なさはあるんだけど、それ以前に焦るエフィが可愛いなと思ってしまう。最近はラッキースケベに慣れて、なんてことない風にすぐ抱きしめてくるから、恥ずかしいのは私だけだと思っていた。
今のエフィの恥ずかしがってる様はいつも余裕のない私には少し嬉しい。
「ふふふ」
「~~っ!」
顔を左に向けてエフィの胸を枕にしたら、エフィが短く悲鳴をあげた。
まだお互い、心臓の音が速い。
「エフィの胸かたい」
「そ、それはそうだろ」
いや男性でも柔らかい胸の人はいるし、一部の人は雄っぱいというものがあるんだから。エフィはどちらかというと雄っぱいの方かな?
まあこの話は今する必要ないか。エフィに話さなきゃいけないことは他にあるし。
「ん?」
「どうした」
胸の話で盛り上がっていて誤魔化せてたのに、告白の返事を思い出したら、また意識してしまう。
お互いの息がかかるくらい近くて、狭くて密着してるからか身体も熱くて。
恥ずかしさに逃げ出したいのは変わらないけど、エフィに抱きしめられてるのは気持ちいいなと思ってしまう。あたたかいし、いつものつけてる香水の匂いにすっかり慣れてしまって、好きになってしまって、妙に安心してしまっている。
こんな場所で告白の返事してもエフィは喜ぶのかな。
「……あー、ここか」
「え、ここ?」
「!」
「!」
アステリとカロの声が通る。
扉を開けて中へ入ってきた。
「え、エフィ、早く出なきゃ」
物置開けてこの状態を見られるのはきつい。アステリなら十中八九笑うでしょ。
「待て」
手を掛けると今度はすんなり開いた。よかった、やっとラッキースケベは終わったんだ。
「あ、」
「イリニ!」
狭いとこ身体を傾けてまで戸を開けたら、無理な体勢だからか、バランスを崩した。
エフィが慌てて私の腰に腕をよせるけど、抵抗虚しく二人して掃除用具と一緒に床へダイブした。
「お、いたいた」
「本当だ~」
「……」
「……」
またしてもエフィを押し倒してエフィの身体の上に乗るという失態をしでかした。
今回はぐりぐりしてないけど、それでも恥ずかしい体勢なのは変わらない。
「いちゃつくの終わったか?」
「い、いちゃついてなんか!」
「へーへー、ラッキースケベだろ?」
「……」
「まあ前よりはよくなったか」
アステリの言葉にエフィがそうだなと小さく応えて起き上がる。どういう会話なの。
エフィってば膝の上で座る形になった私の腰を捕らえて離そうとしないし。
「戻るか?」
「ああ……イリニはそれでいいか?」
「う、うん、かまわないけど」
そのまま一緒に立ち上がって埃を払う。汚れは大丈夫そう。
「あー、マリッサ呼ぶか?」
「汚れてる?」
「いや汚れてねえが」
「ま~、乱れてるよね~」
「!」
アステリとカロが交互に言う。
エフィをちらっと見れば、そういえば掃除用具引っ掻けたせいで服が乱れていた。
まあつまり私も同じということで。
「……お願いします」
その後、私を見たマリッサが悲鳴をあげて、あの獣シメる! と瞳を狂気に染めて突撃しそうになるのを止める羽目になったのは別の話。
目線、目線逸らそう。
「は、はやく出よ」
「待て、だから動くな」
「開ける」
戸に手を伸ばして身体をよじれば、また変な風にエフィとくっつく。
やっぱり開かない。ラッキースケベ終わってよ。もう充分だよ。
「くそ」
「え?」
ぐいっと肩を掴まれ、戸から手が離れる。
抵抗すると動くなとまた言われて、エフィの胸に正面からしなだれかかる体勢で抱きしめられた。
「抱きしめれば大丈夫だろ」
「せめてここから出ようよ」
両手をエフィの胸に添えて見上げると、エフィが唸る。目の毒だと言われ、見下ろしていた視線を逸らした。
エフィの鼓動が速い。私の鼓動も自分の頭に響くぐらい速い。聞こえてるんだろうなと思うと辛かった。
「エフィ」
「こら、動くなと」
エフィが見下ろした時、目線がずれて別の場所を見た。
身体がより密着してる場所、押し付けられた私の胸を見ている。
再度エフィを見たら、目が合って気まずいとばかりにまた逸らされる。
「……エフィ」
「……」
「……」
「……」
「思っていたよりも大きかった」
「っ、蒸し返すな!」
朝ちゅんやらかした時も私は寝ぼけてエフィに身体を寄せていたから、こうして胸も押し付けていたんだろうなと思ったんだけど。
「エフィは大きい方が好きなの」
「そういう事をここできくな!」
件の台詞を男三人で話してた時は満更でもない声音だったくせに。
思っていたよりも大きくて嬉しかったみたいなニュアンスだと思ってたけど。
「取り巻きの女性たちは巨乳ばっかりだった」
「胸の話はやめろ!」
「じゃあ小さい方がいい?」
「俺は好きな人の胸なら大きさは特に、いやだからきくな!」
エフィがテンパってる。ラッキースケベでここまで動揺するのは久しぶりな気がした。
被害を被ったことに申し訳なさはあるんだけど、それ以前に焦るエフィが可愛いなと思ってしまう。最近はラッキースケベに慣れて、なんてことない風にすぐ抱きしめてくるから、恥ずかしいのは私だけだと思っていた。
今のエフィの恥ずかしがってる様はいつも余裕のない私には少し嬉しい。
「ふふふ」
「~~っ!」
顔を左に向けてエフィの胸を枕にしたら、エフィが短く悲鳴をあげた。
まだお互い、心臓の音が速い。
「エフィの胸かたい」
「そ、それはそうだろ」
いや男性でも柔らかい胸の人はいるし、一部の人は雄っぱいというものがあるんだから。エフィはどちらかというと雄っぱいの方かな?
まあこの話は今する必要ないか。エフィに話さなきゃいけないことは他にあるし。
「ん?」
「どうした」
胸の話で盛り上がっていて誤魔化せてたのに、告白の返事を思い出したら、また意識してしまう。
お互いの息がかかるくらい近くて、狭くて密着してるからか身体も熱くて。
恥ずかしさに逃げ出したいのは変わらないけど、エフィに抱きしめられてるのは気持ちいいなと思ってしまう。あたたかいし、いつものつけてる香水の匂いにすっかり慣れてしまって、好きになってしまって、妙に安心してしまっている。
こんな場所で告白の返事してもエフィは喜ぶのかな。
「……あー、ここか」
「え、ここ?」
「!」
「!」
アステリとカロの声が通る。
扉を開けて中へ入ってきた。
「え、エフィ、早く出なきゃ」
物置開けてこの状態を見られるのはきつい。アステリなら十中八九笑うでしょ。
「待て」
手を掛けると今度はすんなり開いた。よかった、やっとラッキースケベは終わったんだ。
「あ、」
「イリニ!」
狭いとこ身体を傾けてまで戸を開けたら、無理な体勢だからか、バランスを崩した。
エフィが慌てて私の腰に腕をよせるけど、抵抗虚しく二人して掃除用具と一緒に床へダイブした。
「お、いたいた」
「本当だ~」
「……」
「……」
またしてもエフィを押し倒してエフィの身体の上に乗るという失態をしでかした。
今回はぐりぐりしてないけど、それでも恥ずかしい体勢なのは変わらない。
「いちゃつくの終わったか?」
「い、いちゃついてなんか!」
「へーへー、ラッキースケベだろ?」
「……」
「まあ前よりはよくなったか」
アステリの言葉にエフィがそうだなと小さく応えて起き上がる。どういう会話なの。
エフィってば膝の上で座る形になった私の腰を捕らえて離そうとしないし。
「戻るか?」
「ああ……イリニはそれでいいか?」
「う、うん、かまわないけど」
そのまま一緒に立ち上がって埃を払う。汚れは大丈夫そう。
「あー、マリッサ呼ぶか?」
「汚れてる?」
「いや汚れてねえが」
「ま~、乱れてるよね~」
「!」
アステリとカロが交互に言う。
エフィをちらっと見れば、そういえば掃除用具引っ掻けたせいで服が乱れていた。
まあつまり私も同じということで。
「……お願いします」
その後、私を見たマリッサが悲鳴をあげて、あの獣シメる! と瞳を狂気に染めて突撃しそうになるのを止める羽目になったのは別の話。
0
お気に入りに追加
61
あなたにおすすめの小説

絶対に間違えないから
mahiro
恋愛
あれは事故だった。
けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。
だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。
何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。
どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。
私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。

【完結】婚約者様、王女様を優先するならお好きにどうぞ
曽根原ツタ
恋愛
オーガスタの婚約者が王女のことを優先するようになったのは――彼女の近衛騎士になってからだった。
婚約者はオーガスタとの約束を、王女の護衛を口実に何度も破った。
美しい王女に付きっきりな彼への不信感が募っていく中、とある夜会で逢瀬を交わすふたりを目撃したことで、遂に婚約解消を決意する。
そして、その夜会でたまたま王子に会った瞬間、前世の記憶を思い出し……?
――病弱な王女を優先したいなら、好きにすればいいですよ。私も好きにしますので。


まだ20歳の未亡人なので、この後は好きに生きてもいいですか?
せいめ
恋愛
政略結婚で愛することもなかった旦那様が魔物討伐中の事故で亡くなったのが1年前。
喪が明け、子供がいない私はこの家を出て行くことに決めました。
そんな時でした。高額報酬の良い仕事があると声を掛けて頂いたのです。
その仕事内容とは高貴な身分の方の閨指導のようでした。非常に悩みましたが、家を出るのにお金が必要な私は、その仕事を受けることに決めたのです。
閨指導って、そんなに何度も会う必要ないですよね?しかも、指導が必要には見えませんでしたが…。
でも、高額な報酬なので文句は言いませんわ。
家を出る資金を得た私は、今度こそ自由に好きなことをして生きていきたいと考えて旅立つことに決めました。
その後、新しい生活を楽しんでいる私の所に現れたのは……。
まずは亡くなったはずの旦那様との話から。
ご都合主義です。
設定は緩いです。
誤字脱字申し訳ありません。
主人公の名前を途中から間違えていました。
アメリアです。すみません。

【完結】赤ちゃんが生まれたら殺されるようです
白崎りか
恋愛
もうすぐ赤ちゃんが生まれる。
ドレスの上から、ふくらんだお腹をなでる。
「はやく出ておいで。私の赤ちゃん」
ある日、アリシアは見てしまう。
夫が、ベッドの上で、メイドと口づけをしているのを!
「どうして、メイドのお腹にも、赤ちゃんがいるの?!」
「赤ちゃんが生まれたら、私は殺されるの?」
夫とメイドは、アリシアの殺害を計画していた。
自分たちの子供を跡継ぎにして、辺境伯家を乗っ取ろうとしているのだ。
ドラゴンの力で、前世の記憶を取り戻したアリシアは、自由を手に入れるために裁判で戦う。
※1話と2話は短編版と内容は同じですが、設定を少し変えています。

この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。
鶯埜 餡
恋愛
ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。
しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが
婚約破棄してくださって結構です
二位関りをん
恋愛
伯爵家の令嬢イヴには同じく伯爵家令息のバトラーという婚約者がいる。しかしバトラーにはユミアという子爵令嬢がいつもべったりくっついており、イヴよりもユミアを優先している。そんなイヴを公爵家次期当主のコーディが優しく包み込む……。
※表紙にはAIピクターズで生成した画像を使用しています
踏み台令嬢はへこたれない
IchikoMiyagi
恋愛
「婚約破棄してくれ!」
公爵令嬢のメルティアーラは婚約者からの何度目かの申し出を受けていたーー。
春、学院に入学しいつしかついたあだ名は踏み台令嬢。……幸せを運んでいますのに、その名付けはあんまりでは……。
そう思いつつも学院生活を満喫していたら、噂を聞きつけた第三王子がチラチラこっちを見ている。しかもうっかり婚約者になってしまったわ……?!?
これは無自覚に他人の踏み台になって引っ張り上げる主人公が、たまにしょげては踏ん張りながらやっぱり周りを幸せにしたりやっと自分も幸せになったりするかもしれない物語。
「わたくし、甘い砂を吐くのには慣れておりますの」
ーー踏み台令嬢は今日も誰かを幸せにする。
なろうでも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる