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60話 密室密着系ラッキースケベ つづき
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もう一度みじろいだら私の太股がエフィの足の間に入ってしまった。挙げ句、長物の掃除用具が傾いてエフィの服を引っ掻けたせいで腹筋が丸見えになる。
目線、目線逸らそう。
「は、はやく出よ」
「待て、だから動くな」
「開ける」
戸に手を伸ばして身体をよじれば、また変な風にエフィとくっつく。
やっぱり開かない。ラッキースケベ終わってよ。もう充分だよ。
「くそ」
「え?」
ぐいっと肩を掴まれ、戸から手が離れる。
抵抗すると動くなとまた言われて、エフィの胸に正面からしなだれかかる体勢で抱きしめられた。
「抱きしめれば大丈夫だろ」
「せめてここから出ようよ」
両手をエフィの胸に添えて見上げると、エフィが唸る。目の毒だと言われ、見下ろしていた視線を逸らした。
エフィの鼓動が速い。私の鼓動も自分の頭に響くぐらい速い。聞こえてるんだろうなと思うと辛かった。
「エフィ」
「こら、動くなと」
エフィが見下ろした時、目線がずれて別の場所を見た。
身体がより密着してる場所、押し付けられた私の胸を見ている。
再度エフィを見たら、目が合って気まずいとばかりにまた逸らされる。
「……エフィ」
「……」
「……」
「……」
「思っていたよりも大きかった」
「っ、蒸し返すな!」
朝ちゅんやらかした時も私は寝ぼけてエフィに身体を寄せていたから、こうして胸も押し付けていたんだろうなと思ったんだけど。
「エフィは大きい方が好きなの」
「そういう事をここできくな!」
件の台詞を男三人で話してた時は満更でもない声音だったくせに。
思っていたよりも大きくて嬉しかったみたいなニュアンスだと思ってたけど。
「取り巻きの女性たちは巨乳ばっかりだった」
「胸の話はやめろ!」
「じゃあ小さい方がいい?」
「俺は好きな人の胸なら大きさは特に、いやだからきくな!」
エフィがテンパってる。ラッキースケベでここまで動揺するのは久しぶりな気がした。
被害を被ったことに申し訳なさはあるんだけど、それ以前に焦るエフィが可愛いなと思ってしまう。最近はラッキースケベに慣れて、なんてことない風にすぐ抱きしめてくるから、恥ずかしいのは私だけだと思っていた。
今のエフィの恥ずかしがってる様はいつも余裕のない私には少し嬉しい。
「ふふふ」
「~~っ!」
顔を左に向けてエフィの胸を枕にしたら、エフィが短く悲鳴をあげた。
まだお互い、心臓の音が速い。
「エフィの胸かたい」
「そ、それはそうだろ」
いや男性でも柔らかい胸の人はいるし、一部の人は雄っぱいというものがあるんだから。エフィはどちらかというと雄っぱいの方かな?
まあこの話は今する必要ないか。エフィに話さなきゃいけないことは他にあるし。
「ん?」
「どうした」
胸の話で盛り上がっていて誤魔化せてたのに、告白の返事を思い出したら、また意識してしまう。
お互いの息がかかるくらい近くて、狭くて密着してるからか身体も熱くて。
恥ずかしさに逃げ出したいのは変わらないけど、エフィに抱きしめられてるのは気持ちいいなと思ってしまう。あたたかいし、いつものつけてる香水の匂いにすっかり慣れてしまって、好きになってしまって、妙に安心してしまっている。
こんな場所で告白の返事してもエフィは喜ぶのかな。
「……あー、ここか」
「え、ここ?」
「!」
「!」
アステリとカロの声が通る。
扉を開けて中へ入ってきた。
「え、エフィ、早く出なきゃ」
物置開けてこの状態を見られるのはきつい。アステリなら十中八九笑うでしょ。
「待て」
手を掛けると今度はすんなり開いた。よかった、やっとラッキースケベは終わったんだ。
「あ、」
「イリニ!」
狭いとこ身体を傾けてまで戸を開けたら、無理な体勢だからか、バランスを崩した。
エフィが慌てて私の腰に腕をよせるけど、抵抗虚しく二人して掃除用具と一緒に床へダイブした。
「お、いたいた」
「本当だ~」
「……」
「……」
またしてもエフィを押し倒してエフィの身体の上に乗るという失態をしでかした。
今回はぐりぐりしてないけど、それでも恥ずかしい体勢なのは変わらない。
「いちゃつくの終わったか?」
「い、いちゃついてなんか!」
「へーへー、ラッキースケベだろ?」
「……」
「まあ前よりはよくなったか」
アステリの言葉にエフィがそうだなと小さく応えて起き上がる。どういう会話なの。
エフィってば膝の上で座る形になった私の腰を捕らえて離そうとしないし。
「戻るか?」
「ああ……イリニはそれでいいか?」
「う、うん、かまわないけど」
そのまま一緒に立ち上がって埃を払う。汚れは大丈夫そう。
「あー、マリッサ呼ぶか?」
「汚れてる?」
「いや汚れてねえが」
「ま~、乱れてるよね~」
「!」
アステリとカロが交互に言う。
エフィをちらっと見れば、そういえば掃除用具引っ掻けたせいで服が乱れていた。
まあつまり私も同じということで。
「……お願いします」
その後、私を見たマリッサが悲鳴をあげて、あの獣シメる! と瞳を狂気に染めて突撃しそうになるのを止める羽目になったのは別の話。
目線、目線逸らそう。
「は、はやく出よ」
「待て、だから動くな」
「開ける」
戸に手を伸ばして身体をよじれば、また変な風にエフィとくっつく。
やっぱり開かない。ラッキースケベ終わってよ。もう充分だよ。
「くそ」
「え?」
ぐいっと肩を掴まれ、戸から手が離れる。
抵抗すると動くなとまた言われて、エフィの胸に正面からしなだれかかる体勢で抱きしめられた。
「抱きしめれば大丈夫だろ」
「せめてここから出ようよ」
両手をエフィの胸に添えて見上げると、エフィが唸る。目の毒だと言われ、見下ろしていた視線を逸らした。
エフィの鼓動が速い。私の鼓動も自分の頭に響くぐらい速い。聞こえてるんだろうなと思うと辛かった。
「エフィ」
「こら、動くなと」
エフィが見下ろした時、目線がずれて別の場所を見た。
身体がより密着してる場所、押し付けられた私の胸を見ている。
再度エフィを見たら、目が合って気まずいとばかりにまた逸らされる。
「……エフィ」
「……」
「……」
「……」
「思っていたよりも大きかった」
「っ、蒸し返すな!」
朝ちゅんやらかした時も私は寝ぼけてエフィに身体を寄せていたから、こうして胸も押し付けていたんだろうなと思ったんだけど。
「エフィは大きい方が好きなの」
「そういう事をここできくな!」
件の台詞を男三人で話してた時は満更でもない声音だったくせに。
思っていたよりも大きくて嬉しかったみたいなニュアンスだと思ってたけど。
「取り巻きの女性たちは巨乳ばっかりだった」
「胸の話はやめろ!」
「じゃあ小さい方がいい?」
「俺は好きな人の胸なら大きさは特に、いやだからきくな!」
エフィがテンパってる。ラッキースケベでここまで動揺するのは久しぶりな気がした。
被害を被ったことに申し訳なさはあるんだけど、それ以前に焦るエフィが可愛いなと思ってしまう。最近はラッキースケベに慣れて、なんてことない風にすぐ抱きしめてくるから、恥ずかしいのは私だけだと思っていた。
今のエフィの恥ずかしがってる様はいつも余裕のない私には少し嬉しい。
「ふふふ」
「~~っ!」
顔を左に向けてエフィの胸を枕にしたら、エフィが短く悲鳴をあげた。
まだお互い、心臓の音が速い。
「エフィの胸かたい」
「そ、それはそうだろ」
いや男性でも柔らかい胸の人はいるし、一部の人は雄っぱいというものがあるんだから。エフィはどちらかというと雄っぱいの方かな?
まあこの話は今する必要ないか。エフィに話さなきゃいけないことは他にあるし。
「ん?」
「どうした」
胸の話で盛り上がっていて誤魔化せてたのに、告白の返事を思い出したら、また意識してしまう。
お互いの息がかかるくらい近くて、狭くて密着してるからか身体も熱くて。
恥ずかしさに逃げ出したいのは変わらないけど、エフィに抱きしめられてるのは気持ちいいなと思ってしまう。あたたかいし、いつものつけてる香水の匂いにすっかり慣れてしまって、好きになってしまって、妙に安心してしまっている。
こんな場所で告白の返事してもエフィは喜ぶのかな。
「……あー、ここか」
「え、ここ?」
「!」
「!」
アステリとカロの声が通る。
扉を開けて中へ入ってきた。
「え、エフィ、早く出なきゃ」
物置開けてこの状態を見られるのはきつい。アステリなら十中八九笑うでしょ。
「待て」
手を掛けると今度はすんなり開いた。よかった、やっとラッキースケベは終わったんだ。
「あ、」
「イリニ!」
狭いとこ身体を傾けてまで戸を開けたら、無理な体勢だからか、バランスを崩した。
エフィが慌てて私の腰に腕をよせるけど、抵抗虚しく二人して掃除用具と一緒に床へダイブした。
「お、いたいた」
「本当だ~」
「……」
「……」
またしてもエフィを押し倒してエフィの身体の上に乗るという失態をしでかした。
今回はぐりぐりしてないけど、それでも恥ずかしい体勢なのは変わらない。
「いちゃつくの終わったか?」
「い、いちゃついてなんか!」
「へーへー、ラッキースケベだろ?」
「……」
「まあ前よりはよくなったか」
アステリの言葉にエフィがそうだなと小さく応えて起き上がる。どういう会話なの。
エフィってば膝の上で座る形になった私の腰を捕らえて離そうとしないし。
「戻るか?」
「ああ……イリニはそれでいいか?」
「う、うん、かまわないけど」
そのまま一緒に立ち上がって埃を払う。汚れは大丈夫そう。
「あー、マリッサ呼ぶか?」
「汚れてる?」
「いや汚れてねえが」
「ま~、乱れてるよね~」
「!」
アステリとカロが交互に言う。
エフィをちらっと見れば、そういえば掃除用具引っ掻けたせいで服が乱れていた。
まあつまり私も同じということで。
「……お願いします」
その後、私を見たマリッサが悲鳴をあげて、あの獣シメる! と瞳を狂気に染めて突撃しそうになるのを止める羽目になったのは別の話。
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