26 / 82
26話 ラッキースケベスライム
しおりを挟む
「アギオス侯爵令嬢はシコフォーナクセーに害を与えない。俺も帰る気はない」
「ええ、兄様はそう父上に報告されているんですよね? けれど身柄はパノキカトにあり、シコフォーナクセーからすれば他国の人間。その人物がシコフォーナクセーの土地に築城し、い続けることが問題なんです」
やっぱり住民票移動とか、固定資産税納付とかしないとだめなやつかな?
いや今はそこじゃないかな?
「父様も兄様の事を心配されているんですよ?」」
「俺がどうにかする。お前達は帰れ」
「あの女性関係に困ることのなかった兄様ですら落ちない女性なんでしょう? 来るもの拒まずで寛大な兄様に靡かない女性なんてそういないのに、聖女様は駄目だったんでしょう? 父様は僕とかわってでも兄様の帰城を望まれています」
「駄目だ」
エフィの機嫌がさらに悪くなった。
ていうか私の前では心内がよく分からないエフィの素性が明らかになっちゃった。
女性関係に困ることがなくて? 来るもの拒まず? なびかない女性がいない?
「エフィ遊んでたんだ」
「おい」
「学生の時?」
「……一応あいつの名誉の為に言っとくが、あいつには本命がいる」
「なのに遊んでたの?」
「ちげえよ。まあ女と付き合ったことがないってんじゃねえけど、お前が考えてるような不誠実なやつじゃねえ」
「そう」
「お前、俺の言ったこと信じてねえな?」
「参考にはしてるよ」
あ、だからハグ係とか言い出したの?
「というか、歓待されない私は女性として落第?」
「はあ?」
「だってエフィ、私に対応かたかったから」
「あー、それなー」
アステリが言葉を濁す。
「兄様、もしかして」
「なんだ? 話はもういいだろ? 早く帰れ」
「聖女様のこと、本気だったりします?」
「なっ!」
エフィが明らかに動揺した。後ろ姿だから、表情見えないけど驚いてそう。
「そ、そんなわけないだろ! なんでそうなる?!」
「兄様?」
必死すぎ。
そこまで否定しないでよ。女性落第の印、押される私の身にもなって。
「お前、エフィの言うこと鵜呑みにすんなよ」
「はいはい」
「鵜呑みにしてんな?」
弟のカーリーだって私のこと女性扱いしてくれたのに。あーもーまた思い出しちゃうじゃん。
エフィだって家族と一緒にいたいだろうし。城に戻れって王陛下も仰ってるなら戻らないと。
あ、でもその障害が私なんだよね? 私がパノキカト国民なのに、シコフォーナクセーにい続けてるから。保護もできていないから。
エフィは本来あるべき場所へ帰るのか。今まで帰りたくても帰れなかったのかな。
エフィがいなくなっちゃうと、城が静かになりそう。エフィのいない城かあ。ちょっと前の話なのに、どうしてもエフィがいない城を考えられない。
「お?」
「どうしたの?」
「あれ」
アステリが指差す。
二個師団がざわつき始めた。
「た、隊長! スライムが!」
「落ち着いて、負傷者は?」
「い、いないですが、服が!」
「え?」
「服が溶けます!!」
ブフォと隣のアステリが吹いた。
まずい。
「やらかした」
「いやあなかなか面白え」
「なるほど、服だけ溶かされ裸になってしまうと」
だんまりだった後ろのドラゴンが納得~みたいな雰囲気になってる。そんな場合じゃない。
大地の隙間からにゅるにゅるわいて出てくるスライムは的確に人間だけ狙って引っ付いてくる。
騎士と魔法使いの皆さん、色々すみません。
「てか、エフィだけじゃないじゃん」
アステリに訴える。エフィだけラッキースケベがと指摘されてたけど、今日はエフィ以外の皆さんが被害者。個人特定のラッキースケベは起きないが立証された。
「お前、自覚ねえの?」
「え?」
「エフィに帰ってほしくないんだろ?」
「え?」
「だから邪魔な二個師団をラッキースケベが襲ったんだろ」
その方が、私にとってラッキーだから。
エフィが帰城しなけば、今まで通りで、私の淋しさが緩和される。
その淋しさを回避するために、私のラッキースケベは私にとってラッキーと思える叶え方をしてきたと。
「……うそ」
「やっぱ自覚ねえのかよ」
モヤモヤするなとは思っていたけど、アステリの言う通りなの?
「……ラッキースケベ」
エフィが周囲を探る。
キョロキョロあたりを見回して、結構距離がある中、ばっちり目が合ってしまった。
まずい。
「アネシス、少し待ってろ」
「兄様?」
「すぐ戻る」
と、エフィが消える。
「イリニ」
一瞬で私の目の前に現れた。
アステリと同じ、転移。
うそ、騎士のエフィが使えるの?
魔法使いの中でも転移はなかなか扱えない高度な魔法なのに。
「待っ」
驚いて一瞬怯んだ隙に抱きしめられる。
来るなって言ったのに、と小さな囁きがおりてきた。
「弟さん、私に用があるんでしょ。だったら私が」
「これは俺の問題だ」
「でもエフィ帰らなきゃで」
「俺は、この城に……イリニのいる城にいたい」
「え?」
ぎゅっと抱きしめる腕に力が入った。
「イリニが許してくれるなら、この城に帰りたい」
駄目だろうかとエフィが問う。
さっきのアステリが言ってた言葉はどうやら間違いじゃないらしい。
エフィがここに戻りたいと言うだけで、じわりと胸の内側があたたかくなった。
エフィがそう言ってくれるなら。
抱きしめられたまま首を振って、小さな声で返した。
「エフィに、帰ってきてほしい」
抱きしめる腕が僅かに震えた。
「エフィがいない城は、嫌」
そうか、と掠れた声がおりてくる。
「必ず戻る」
「うん」
城で待っててくれと言われて頷いた。
しばらくして、眼下のざわつきがおさまっていく。
エフィの腕の隙間から見ると、スライムは自ら地面の隙間やら森の方へやら帰っていった。
「後で」
「うん」
そうしてエフィは転移で弟さんの元へ戻っていった。
私はアステリにお願いして城の中に戻る。
城内、玉座の間でアステリと一緒にエフィの動向を見ることにした。
ラッキースケベで服が失われた人達は後退してるみたいだけど、エフィに立ち向かう数は少なくとも一個師団と少しぐらいは残っている。
弟殿下の前、エフィはどこか身軽そうに立っていた。
「兄様?」
「お前帰れ。無理だというなら力付くで帰ってもらう」
「え……この数相手に力付くで?」
「ああ」
誰がどう見ても無茶だろう。
騎士のトップに立つエフィでもだ。
特に魔法使い相手なら、同じように魔法を使わないと対抗できない。
騎士のエフィに大量の魔法使いを相手にできる魔力があるの?
「少し骨が折れるな」
「いくら兄様でも二個師団再起不能にするには魔力足りませんよ」
「全部使い切ればいいだろ」
「無茶苦茶ですって」
もういいだろ、とエフィが肩慣らしをして弟殿下の制止を振り切った。
「やる気が出た。久しぶりに本気出す」
「ええ、兄様はそう父上に報告されているんですよね? けれど身柄はパノキカトにあり、シコフォーナクセーからすれば他国の人間。その人物がシコフォーナクセーの土地に築城し、い続けることが問題なんです」
やっぱり住民票移動とか、固定資産税納付とかしないとだめなやつかな?
いや今はそこじゃないかな?
「父様も兄様の事を心配されているんですよ?」」
「俺がどうにかする。お前達は帰れ」
「あの女性関係に困ることのなかった兄様ですら落ちない女性なんでしょう? 来るもの拒まずで寛大な兄様に靡かない女性なんてそういないのに、聖女様は駄目だったんでしょう? 父様は僕とかわってでも兄様の帰城を望まれています」
「駄目だ」
エフィの機嫌がさらに悪くなった。
ていうか私の前では心内がよく分からないエフィの素性が明らかになっちゃった。
女性関係に困ることがなくて? 来るもの拒まず? なびかない女性がいない?
「エフィ遊んでたんだ」
「おい」
「学生の時?」
「……一応あいつの名誉の為に言っとくが、あいつには本命がいる」
「なのに遊んでたの?」
「ちげえよ。まあ女と付き合ったことがないってんじゃねえけど、お前が考えてるような不誠実なやつじゃねえ」
「そう」
「お前、俺の言ったこと信じてねえな?」
「参考にはしてるよ」
あ、だからハグ係とか言い出したの?
「というか、歓待されない私は女性として落第?」
「はあ?」
「だってエフィ、私に対応かたかったから」
「あー、それなー」
アステリが言葉を濁す。
「兄様、もしかして」
「なんだ? 話はもういいだろ? 早く帰れ」
「聖女様のこと、本気だったりします?」
「なっ!」
エフィが明らかに動揺した。後ろ姿だから、表情見えないけど驚いてそう。
「そ、そんなわけないだろ! なんでそうなる?!」
「兄様?」
必死すぎ。
そこまで否定しないでよ。女性落第の印、押される私の身にもなって。
「お前、エフィの言うこと鵜呑みにすんなよ」
「はいはい」
「鵜呑みにしてんな?」
弟のカーリーだって私のこと女性扱いしてくれたのに。あーもーまた思い出しちゃうじゃん。
エフィだって家族と一緒にいたいだろうし。城に戻れって王陛下も仰ってるなら戻らないと。
あ、でもその障害が私なんだよね? 私がパノキカト国民なのに、シコフォーナクセーにい続けてるから。保護もできていないから。
エフィは本来あるべき場所へ帰るのか。今まで帰りたくても帰れなかったのかな。
エフィがいなくなっちゃうと、城が静かになりそう。エフィのいない城かあ。ちょっと前の話なのに、どうしてもエフィがいない城を考えられない。
「お?」
「どうしたの?」
「あれ」
アステリが指差す。
二個師団がざわつき始めた。
「た、隊長! スライムが!」
「落ち着いて、負傷者は?」
「い、いないですが、服が!」
「え?」
「服が溶けます!!」
ブフォと隣のアステリが吹いた。
まずい。
「やらかした」
「いやあなかなか面白え」
「なるほど、服だけ溶かされ裸になってしまうと」
だんまりだった後ろのドラゴンが納得~みたいな雰囲気になってる。そんな場合じゃない。
大地の隙間からにゅるにゅるわいて出てくるスライムは的確に人間だけ狙って引っ付いてくる。
騎士と魔法使いの皆さん、色々すみません。
「てか、エフィだけじゃないじゃん」
アステリに訴える。エフィだけラッキースケベがと指摘されてたけど、今日はエフィ以外の皆さんが被害者。個人特定のラッキースケベは起きないが立証された。
「お前、自覚ねえの?」
「え?」
「エフィに帰ってほしくないんだろ?」
「え?」
「だから邪魔な二個師団をラッキースケベが襲ったんだろ」
その方が、私にとってラッキーだから。
エフィが帰城しなけば、今まで通りで、私の淋しさが緩和される。
その淋しさを回避するために、私のラッキースケベは私にとってラッキーと思える叶え方をしてきたと。
「……うそ」
「やっぱ自覚ねえのかよ」
モヤモヤするなとは思っていたけど、アステリの言う通りなの?
「……ラッキースケベ」
エフィが周囲を探る。
キョロキョロあたりを見回して、結構距離がある中、ばっちり目が合ってしまった。
まずい。
「アネシス、少し待ってろ」
「兄様?」
「すぐ戻る」
と、エフィが消える。
「イリニ」
一瞬で私の目の前に現れた。
アステリと同じ、転移。
うそ、騎士のエフィが使えるの?
魔法使いの中でも転移はなかなか扱えない高度な魔法なのに。
「待っ」
驚いて一瞬怯んだ隙に抱きしめられる。
来るなって言ったのに、と小さな囁きがおりてきた。
「弟さん、私に用があるんでしょ。だったら私が」
「これは俺の問題だ」
「でもエフィ帰らなきゃで」
「俺は、この城に……イリニのいる城にいたい」
「え?」
ぎゅっと抱きしめる腕に力が入った。
「イリニが許してくれるなら、この城に帰りたい」
駄目だろうかとエフィが問う。
さっきのアステリが言ってた言葉はどうやら間違いじゃないらしい。
エフィがここに戻りたいと言うだけで、じわりと胸の内側があたたかくなった。
エフィがそう言ってくれるなら。
抱きしめられたまま首を振って、小さな声で返した。
「エフィに、帰ってきてほしい」
抱きしめる腕が僅かに震えた。
「エフィがいない城は、嫌」
そうか、と掠れた声がおりてくる。
「必ず戻る」
「うん」
城で待っててくれと言われて頷いた。
しばらくして、眼下のざわつきがおさまっていく。
エフィの腕の隙間から見ると、スライムは自ら地面の隙間やら森の方へやら帰っていった。
「後で」
「うん」
そうしてエフィは転移で弟さんの元へ戻っていった。
私はアステリにお願いして城の中に戻る。
城内、玉座の間でアステリと一緒にエフィの動向を見ることにした。
ラッキースケベで服が失われた人達は後退してるみたいだけど、エフィに立ち向かう数は少なくとも一個師団と少しぐらいは残っている。
弟殿下の前、エフィはどこか身軽そうに立っていた。
「兄様?」
「お前帰れ。無理だというなら力付くで帰ってもらう」
「え……この数相手に力付くで?」
「ああ」
誰がどう見ても無茶だろう。
騎士のトップに立つエフィでもだ。
特に魔法使い相手なら、同じように魔法を使わないと対抗できない。
騎士のエフィに大量の魔法使いを相手にできる魔力があるの?
「少し骨が折れるな」
「いくら兄様でも二個師団再起不能にするには魔力足りませんよ」
「全部使い切ればいいだろ」
「無茶苦茶ですって」
もういいだろ、とエフィが肩慣らしをして弟殿下の制止を振り切った。
「やる気が出た。久しぶりに本気出す」
0
お気に入りに追加
61
あなたにおすすめの小説

好きでした、さようなら
豆狸
恋愛
「……すまない」
初夜の床で、彼は言いました。
「君ではない。私が欲しかった辺境伯令嬢のアンリエット殿は君ではなかったんだ」
悲しげに俯く姿を見て、私の心は二度目の死を迎えたのです。
なろう様でも公開中です。

絶対に間違えないから
mahiro
恋愛
あれは事故だった。
けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。
だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。
何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。
どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。
私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。

【完結】「俺は2番目に好きな女と結婚するんだ」と言っていた婚約者と婚約破棄したいだけだったのに、なぜか聖女になってしまいました
As-me.com
恋愛
完結しました。
とある日、偶然にも婚約者が「俺は2番目に好きな女と結婚するんだ」とお友達に楽しそうに宣言するのを聞いてしまいました。
例え2番目でもちゃんと愛しているから結婚にはなんの問題も無いとおっしゃっていますが……そんな婚約者様がとんでもない問題児だと発覚します。
なんてことでしょう。愛も無い、信頼も無い、領地にメリットも無い。そんな無い無い尽くしの婚約者様と結婚しても幸せになれる気がしません。
ねぇ、婚約者様。私はあなたと結婚なんてしたくありませんわ。絶対婚約破棄しますから!
あなたはあなたで、1番好きな人と結婚してくださいな。
※この作品は『「俺は2番目に好きな女と結婚するんだ」と婚約者が言っていたので、1番好きな女性と結婚させてあげることにしました。 』を書き直しています。内容はほぼ一緒ですが、細かい設定や登場人物の性格などを書き直す予定です。

【完結】赤ちゃんが生まれたら殺されるようです
白崎りか
恋愛
もうすぐ赤ちゃんが生まれる。
ドレスの上から、ふくらんだお腹をなでる。
「はやく出ておいで。私の赤ちゃん」
ある日、アリシアは見てしまう。
夫が、ベッドの上で、メイドと口づけをしているのを!
「どうして、メイドのお腹にも、赤ちゃんがいるの?!」
「赤ちゃんが生まれたら、私は殺されるの?」
夫とメイドは、アリシアの殺害を計画していた。
自分たちの子供を跡継ぎにして、辺境伯家を乗っ取ろうとしているのだ。
ドラゴンの力で、前世の記憶を取り戻したアリシアは、自由を手に入れるために裁判で戦う。
※1話と2話は短編版と内容は同じですが、設定を少し変えています。

この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。
鶯埜 餡
恋愛
ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。
しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが

今日も旦那は愛人に尽くしている~なら私もいいわよね?~
コトミ
恋愛
結婚した夫には愛人がいた。辺境伯の令嬢であったビオラには男兄弟がおらず、子爵家のカールを婿として屋敷に向かい入れた。半年の間は良かったが、それから事態は急速に悪化していく。伯爵であり、領地も統治している夫に平民の愛人がいて、屋敷の隣にその愛人のための別棟まで作って愛人に尽くす。こんなことを我慢できる夫人は私以外に何人いるのかしら。そんな考えを巡らせながら、ビオラは毎日夫の代わりに領地の仕事をこなしていた。毎晩夫のカールは愛人の元へ通っている。その間ビオラは休む暇なく仕事をこなした。ビオラがカールに反論してもカールは「君も愛人を作ればいいじゃないか」の一点張り。我慢の限界になったビオラはずっと大切にしてきた屋敷を飛び出した。
そしてその飛び出した先で出会った人とは?
(できる限り毎日投稿を頑張ります。誤字脱字、世界観、ストーリー構成、などなどはゆるゆるです)
hotランキング1位入りしました。ありがとうございます
婚約破棄してくださって結構です
二位関りをん
恋愛
伯爵家の令嬢イヴには同じく伯爵家令息のバトラーという婚約者がいる。しかしバトラーにはユミアという子爵令嬢がいつもべったりくっついており、イヴよりもユミアを優先している。そんなイヴを公爵家次期当主のコーディが優しく包み込む……。
※表紙にはAIピクターズで生成した画像を使用しています
踏み台令嬢はへこたれない
IchikoMiyagi
恋愛
「婚約破棄してくれ!」
公爵令嬢のメルティアーラは婚約者からの何度目かの申し出を受けていたーー。
春、学院に入学しいつしかついたあだ名は踏み台令嬢。……幸せを運んでいますのに、その名付けはあんまりでは……。
そう思いつつも学院生活を満喫していたら、噂を聞きつけた第三王子がチラチラこっちを見ている。しかもうっかり婚約者になってしまったわ……?!?
これは無自覚に他人の踏み台になって引っ張り上げる主人公が、たまにしょげては踏ん張りながらやっぱり周りを幸せにしたりやっと自分も幸せになったりするかもしれない物語。
「わたくし、甘い砂を吐くのには慣れておりますの」
ーー踏み台令嬢は今日も誰かを幸せにする。
なろうでも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる