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23話 災厄の守護守 対 刀の守護守
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生身の巫女を相手にするのは叔母の時と同じ。
今回は2人…さくらさんに協力をしてもらいつつ、早い内にやくを止めないといけない。
「私達は戦わなくてもいいと思うんだけど」
「何もせずにいろというのは退屈でな。お前が嫌でも俺は戦うぞ」
「…戦うつもりはないんだけど」
「なに、お前の得意分野で戦おうじゃないか…俺も刀しか使わん」
「……」
「刀の守護守、お前には刀しかないだろう?」
「……貴方なんでこんなのと契約したの?」
「あ、すみません」
怒られてしまった。
会話成立してないから当然か…守護守さま同士が戦うことは通常ありえないし、巫女が万が一戦うことになったとしても、力を授けるだけで基本は自ら動かない。
だから刀の守護守さまが言う通り、戦う必要もないし、ただ見ているだけでいいはずだ…まぁやくがこういう趣向を持ってるから仕方ないことではあるのだけど。
そもそも私たち巫女は、呪を浄化するために存在している。
さっきからやたら誰かと衝突してばかりだけど、本来だったらこんなことないはず。
巫女と巫女が戦い、その場に守護守さまが居合わせるなんて場面は異例だ。
「結稀さん」
「!」
刀の守護守さまに向き合っていたら、あちらが動き始めていた。
片方はその場にとどまり、片方がこちらに向かって走る…その手には刀。
守護守さまから授かったのだろうか。
見たところ叔母が持ってたもの程の脅威を感じないから、破魔の力を宿した強力なものではないのかもしれない。
とはいえ、刀の守護守さまから授かり、刀の守護守さまの守護された土地である以上、あちらの持つ刀は私達が普段持つ刀より力を宿してはいるだろう…注意しないといけない。
「!」
さらに速くなり、急に距離を詰められ、咄嗟に私が出したのは扇だった。
私は刀を所持していないから、この距離だとこれしか出すものがない。
刀の攻撃を受けつつ、遠く見れば巫女術を行使するのがわかる…近距離と遠距離で上手に連携して攻撃してくる。
存外厄介なタイプだ。
「この!」
扇の片方を投げるが易々と避けられる。
扇はカーブを描いて戻る最中、同時に術者の視界を桜で覆わせた。
一瞬だけでよかった。
そこで扇が避けられない位置に迫ってくる。
相手は術式を解くしかなく、その場から離れることを余儀なくされていた。
よし、うまくいった。
次は同じ手が通じないかもしれないから、新しい一手を考えないと…さすがに巫女術と刀の攻撃を同時に受けたら避けようがない。
「っ」
目の前の刀での攻撃の精度が増す。
扇だけではいずれ刃が届く…これが学びを終えた巫女の力か。
いくら術式で強化し、さくらさんの力添えを加えても、使いこなせているという点ではあちらが上だ。
「さくらさん!」
一度大きく跳ね返し、少し空いた間にさくらさんの力を借りて桜の木を出現させる。
大きく後退して、私は式神を使った。
狙うのは奥にいる巫女…いくらかの術式を解除し、式神自体が攻撃されても自身を守りつつ、その場に留まらせる為の術式が織り込まれている。
「――」
時間稼ぎにしかならないのだろうけど、傷つけずに済む方法を考えないと。
1番手っ取り早いのは、刀の守護守さまの力の供給がなくなること…刀の守護守さまが消失するか、力を使いすぎて戦えるレベルに至らなくなるか。
あとは私が2人の巫女を拘束して動けなくするか。
そうすれば、やくを止められる。
出来るかどうかではなく止めないと…あの様子だと、叔母の時に戦えなかった鬱憤が爆発している…戦えるという解放感と思う存分力を使おうとする気持ちが伝わってきてるから、これは彼の気持ちがこれ以上乗ってしまうと刀の守護守さまが大変なことになる。
見れば、沈静の守護守さまとの戦いと同じく盛大なものだった。
刀の守護守さまは無数の刀を所持している。
腰に数振り、彼女を覆うようにまた数振り、羽織の中にも数振り、背中にも数振り。
折れればそれを捨てまた新しい刀が出現する。
やくは自身の周囲に刀を揃えていた。
夥しい数で、それを手に持って刀の守護守様を切りにかかったり、大量に投擲したりしては笑っている。
やくはあえて、刀の守護守さまの所持する刀と同じ刀を出してるようだった。
元を辿れば武器と呼ばれるものは災厄。
争いや戦を生み、人が多く死ぬことに起因する武器は大概が彼の守備範囲だ。
本当この守護守なんでもありだと思う。
小さい頃、俺は最強だとか言ってたのはあながち嘘じゃない。
「結稀さん!」
「!」
こちらはこちらで刀の追撃。
奥の戦いも式神がもうすぐ全滅させられる。
「なら」
桜の花びらを大量に投入して壁を作る。
これなら的確に私を刀で攻撃できない。
その間にやるのは前と同じ。
「な、」
「…同じこと何度もやるのは修行不足感あってなんだかなーですが…」
地中から刀を拘束する黒い縄。
叔母と違って拘束を解くことが出来ない。
やっぱりやくの力は破魔の力がないと早々解くことができない強さなんだ…本当学び期間中の私が行使するだけで、この強さ…規格外にもほどがある。
今回は2人…さくらさんに協力をしてもらいつつ、早い内にやくを止めないといけない。
「私達は戦わなくてもいいと思うんだけど」
「何もせずにいろというのは退屈でな。お前が嫌でも俺は戦うぞ」
「…戦うつもりはないんだけど」
「なに、お前の得意分野で戦おうじゃないか…俺も刀しか使わん」
「……」
「刀の守護守、お前には刀しかないだろう?」
「……貴方なんでこんなのと契約したの?」
「あ、すみません」
怒られてしまった。
会話成立してないから当然か…守護守さま同士が戦うことは通常ありえないし、巫女が万が一戦うことになったとしても、力を授けるだけで基本は自ら動かない。
だから刀の守護守さまが言う通り、戦う必要もないし、ただ見ているだけでいいはずだ…まぁやくがこういう趣向を持ってるから仕方ないことではあるのだけど。
そもそも私たち巫女は、呪を浄化するために存在している。
さっきからやたら誰かと衝突してばかりだけど、本来だったらこんなことないはず。
巫女と巫女が戦い、その場に守護守さまが居合わせるなんて場面は異例だ。
「結稀さん」
「!」
刀の守護守さまに向き合っていたら、あちらが動き始めていた。
片方はその場にとどまり、片方がこちらに向かって走る…その手には刀。
守護守さまから授かったのだろうか。
見たところ叔母が持ってたもの程の脅威を感じないから、破魔の力を宿した強力なものではないのかもしれない。
とはいえ、刀の守護守さまから授かり、刀の守護守さまの守護された土地である以上、あちらの持つ刀は私達が普段持つ刀より力を宿してはいるだろう…注意しないといけない。
「!」
さらに速くなり、急に距離を詰められ、咄嗟に私が出したのは扇だった。
私は刀を所持していないから、この距離だとこれしか出すものがない。
刀の攻撃を受けつつ、遠く見れば巫女術を行使するのがわかる…近距離と遠距離で上手に連携して攻撃してくる。
存外厄介なタイプだ。
「この!」
扇の片方を投げるが易々と避けられる。
扇はカーブを描いて戻る最中、同時に術者の視界を桜で覆わせた。
一瞬だけでよかった。
そこで扇が避けられない位置に迫ってくる。
相手は術式を解くしかなく、その場から離れることを余儀なくされていた。
よし、うまくいった。
次は同じ手が通じないかもしれないから、新しい一手を考えないと…さすがに巫女術と刀の攻撃を同時に受けたら避けようがない。
「っ」
目の前の刀での攻撃の精度が増す。
扇だけではいずれ刃が届く…これが学びを終えた巫女の力か。
いくら術式で強化し、さくらさんの力添えを加えても、使いこなせているという点ではあちらが上だ。
「さくらさん!」
一度大きく跳ね返し、少し空いた間にさくらさんの力を借りて桜の木を出現させる。
大きく後退して、私は式神を使った。
狙うのは奥にいる巫女…いくらかの術式を解除し、式神自体が攻撃されても自身を守りつつ、その場に留まらせる為の術式が織り込まれている。
「――」
時間稼ぎにしかならないのだろうけど、傷つけずに済む方法を考えないと。
1番手っ取り早いのは、刀の守護守さまの力の供給がなくなること…刀の守護守さまが消失するか、力を使いすぎて戦えるレベルに至らなくなるか。
あとは私が2人の巫女を拘束して動けなくするか。
そうすれば、やくを止められる。
出来るかどうかではなく止めないと…あの様子だと、叔母の時に戦えなかった鬱憤が爆発している…戦えるという解放感と思う存分力を使おうとする気持ちが伝わってきてるから、これは彼の気持ちがこれ以上乗ってしまうと刀の守護守さまが大変なことになる。
見れば、沈静の守護守さまとの戦いと同じく盛大なものだった。
刀の守護守さまは無数の刀を所持している。
腰に数振り、彼女を覆うようにまた数振り、羽織の中にも数振り、背中にも数振り。
折れればそれを捨てまた新しい刀が出現する。
やくは自身の周囲に刀を揃えていた。
夥しい数で、それを手に持って刀の守護守様を切りにかかったり、大量に投擲したりしては笑っている。
やくはあえて、刀の守護守さまの所持する刀と同じ刀を出してるようだった。
元を辿れば武器と呼ばれるものは災厄。
争いや戦を生み、人が多く死ぬことに起因する武器は大概が彼の守備範囲だ。
本当この守護守なんでもありだと思う。
小さい頃、俺は最強だとか言ってたのはあながち嘘じゃない。
「結稀さん!」
「!」
こちらはこちらで刀の追撃。
奥の戦いも式神がもうすぐ全滅させられる。
「なら」
桜の花びらを大量に投入して壁を作る。
これなら的確に私を刀で攻撃できない。
その間にやるのは前と同じ。
「な、」
「…同じこと何度もやるのは修行不足感あってなんだかなーですが…」
地中から刀を拘束する黒い縄。
叔母と違って拘束を解くことが出来ない。
やっぱりやくの力は破魔の力がないと早々解くことができない強さなんだ…本当学び期間中の私が行使するだけで、この強さ…規格外にもほどがある。
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