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24話 ラッキースケベ×自宅裸族(前作キャラ出演)
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「いかがされました?」
「あ、いえ、」
「妻はエピシミア辺境伯夫人のふぁんだそうです」
「レイオン!」
それを本人の前で暴露しちゃだめでしょ! 空気! 空気読んで!
「そうですか」
当の聖女様は慣れているのか軽く流している。エピシミア辺境伯もあるあるといった具合で頷いていた。
「す、すみません、じ、自伝を拝読してて、その、すごく素敵で」
「ああ、あれ」
「聖女さ、いえ、エピシミア辺境伯夫人が監修したと伺って!」
今まで引きこもって熟読した感想をぶちまける。
いけない。思わず身振り手振りで感動したことを全て伝えてしまった。
しかも聖女を辞しているのに、聖女様としてしか話していない。確か自伝には聖女であることの苦難と、一人の女性として生きたいという気持ちも書いてあった。聖女として目の前の女性を見ることは失礼だ。
「も、申し訳御座いません。既に聖女を辞していらっしゃるのに」
「気にしないで。慣れてますし」
「いえ、慣れる慣れない関係ありません! もうイリニ・ナフェリス・エピシミア辺境伯夫人なのに、私ときたら!」
すると夫妻二人して目を丸くした。あっれ、そんなおかしなこと言った? やっぱり引きこもってて社交に出てなかったのがよくなかったのかな。もうこれ土下座案件?
「エフィ、私少しディアフォティーゾ辺境伯夫人とお話ししたいんだけど」
「ああ、構わない。ディアフォティーゾ辺境伯は?」
「私も構いません」
「え?」
ではこれをと、離れてあいた私の手にアルコールのない飲み物を持たせてレイオンが王子殿下もといエピシミア辺境伯を連れて離れようとする。
「なんで?!」
「夫は私のお願い大体聞いてくれるので」
「す、素敵な旦那様ですね……」
「ええ。ディアフォティーゾ辺境伯夫人、いえ、名前で呼んでも? 私のことはイリニでいいので」
「はひ?!」
聖女様を名前呼び? いいの? 無理でしょ!
「それで、もしかしたらなんだけど」
「はい」
「ファンレターで自宅裸族だと言ってた方ですか?」
「ぶふぉっ」
速攻身バレしたし。なんで?
「ファンレターは作者と一緒に読んでて」
「そんな……」
「部屋で裸になる習慣を聖女用語でなんて言えばいいですかって質問は印象深くて覚えたというか」
ラッキースケベ感あったし、と笑う聖女様はやっぱり眩しい。にしてもラッキースケベ? そんな言葉自伝にはなかった。
「でも当たりで良かった。私の感もまだまだいける」
「い、いえ、お見苦しい趣味を」
「その趣味で聞きたいんだけど」
「はい、なんなりと!」
「夫であるディアフォティーゾ辺境伯はご存知?」
「がふっ」
さっきから的確に痛いところを攻めてくるわ。聖女様ってば察し能力が現役すぎて怖い。
「……知っています。隠したかったんですが」
「そう、それでも彼はいいって?」
「そう、ですね。私も不思議なんですが」
エフィと同じタイプかと一人納得している。同じには見えない。少なくともレイオンよりは表情あったし。
「自宅裸族ってどんな感じ?」
「え、あー、解放感があって最高です?」
「風邪ひかない?」
「冬は暖かくしますし、身体も丈夫な方なので元気です」
なぜここまで根掘り葉掘りきかれるのかわからない。
なにやらラッキースケベとはやっぱり違うのねとも囁いていて、なにか引っかかるものでもあった様子だ。
「ラッキースケベとはなにか伺っても?」
「ああ、偶発的にえっちな状況を生んでしまう力、状態のことで」
「はい?」
今聖女様の口からえらいものが飛び出した気がしたけど?
「偶発的にえっちな状況を」
「二度も結構です!」
聖女様にえっちなんて単語使わせてしまった。なんてことだ。
当の本人は平然としているし、今どんな状況なのこれ。
「三年も経ったから振り切れちゃって」
「振り切る?」
「もうあまり出ないけど、読者に力働いたか心配だったから」
「ご心配痛み入ります?」
聖女様のお力であれば遠方でも余裕だ。それは現役の時の加護で証明できる。けどどうやら、そういうことを言いたいのではないらしい。フォローしておこう。
「私の自宅裸族は完全な趣味なので、エピシミア辺境伯夫人が気に病むことではありません」
「みたいね。よかった」
ラッキースケベが聖女様を相当悩ましていたものだというのは、なんとなく察した。にしても聖女様からえっちなんて単語聞きたく……いやご褒美かな。
「あ、飲み物を切らしたのね。はい、こちらを」
「ありがとうございます!」
丁度緊張と話しすぎで喉乾いてた。頂いたものを一気に飲み干す。
「あ、おいし」
じゃない、これお酒だ。やばい。弱いのに一気に煽ってしまった。
「み、水を」
急いで水をもらう。
流し込んで誤魔化しても身体の反応が遅いと言っている。
というよりも、待った。この水、水じゃない?
「お酒?」
「ああ、和酒かしら。東の大陸の先にある島国原産で」
「そう、なんですか」
結構強いお酒だった。ますますまずい。
「あ、いえ、」
「妻はエピシミア辺境伯夫人のふぁんだそうです」
「レイオン!」
それを本人の前で暴露しちゃだめでしょ! 空気! 空気読んで!
「そうですか」
当の聖女様は慣れているのか軽く流している。エピシミア辺境伯もあるあるといった具合で頷いていた。
「す、すみません、じ、自伝を拝読してて、その、すごく素敵で」
「ああ、あれ」
「聖女さ、いえ、エピシミア辺境伯夫人が監修したと伺って!」
今まで引きこもって熟読した感想をぶちまける。
いけない。思わず身振り手振りで感動したことを全て伝えてしまった。
しかも聖女を辞しているのに、聖女様としてしか話していない。確か自伝には聖女であることの苦難と、一人の女性として生きたいという気持ちも書いてあった。聖女として目の前の女性を見ることは失礼だ。
「も、申し訳御座いません。既に聖女を辞していらっしゃるのに」
「気にしないで。慣れてますし」
「いえ、慣れる慣れない関係ありません! もうイリニ・ナフェリス・エピシミア辺境伯夫人なのに、私ときたら!」
すると夫妻二人して目を丸くした。あっれ、そんなおかしなこと言った? やっぱり引きこもってて社交に出てなかったのがよくなかったのかな。もうこれ土下座案件?
「エフィ、私少しディアフォティーゾ辺境伯夫人とお話ししたいんだけど」
「ああ、構わない。ディアフォティーゾ辺境伯は?」
「私も構いません」
「え?」
ではこれをと、離れてあいた私の手にアルコールのない飲み物を持たせてレイオンが王子殿下もといエピシミア辺境伯を連れて離れようとする。
「なんで?!」
「夫は私のお願い大体聞いてくれるので」
「す、素敵な旦那様ですね……」
「ええ。ディアフォティーゾ辺境伯夫人、いえ、名前で呼んでも? 私のことはイリニでいいので」
「はひ?!」
聖女様を名前呼び? いいの? 無理でしょ!
「それで、もしかしたらなんだけど」
「はい」
「ファンレターで自宅裸族だと言ってた方ですか?」
「ぶふぉっ」
速攻身バレしたし。なんで?
「ファンレターは作者と一緒に読んでて」
「そんな……」
「部屋で裸になる習慣を聖女用語でなんて言えばいいですかって質問は印象深くて覚えたというか」
ラッキースケベ感あったし、と笑う聖女様はやっぱり眩しい。にしてもラッキースケベ? そんな言葉自伝にはなかった。
「でも当たりで良かった。私の感もまだまだいける」
「い、いえ、お見苦しい趣味を」
「その趣味で聞きたいんだけど」
「はい、なんなりと!」
「夫であるディアフォティーゾ辺境伯はご存知?」
「がふっ」
さっきから的確に痛いところを攻めてくるわ。聖女様ってば察し能力が現役すぎて怖い。
「……知っています。隠したかったんですが」
「そう、それでも彼はいいって?」
「そう、ですね。私も不思議なんですが」
エフィと同じタイプかと一人納得している。同じには見えない。少なくともレイオンよりは表情あったし。
「自宅裸族ってどんな感じ?」
「え、あー、解放感があって最高です?」
「風邪ひかない?」
「冬は暖かくしますし、身体も丈夫な方なので元気です」
なぜここまで根掘り葉掘りきかれるのかわからない。
なにやらラッキースケベとはやっぱり違うのねとも囁いていて、なにか引っかかるものでもあった様子だ。
「ラッキースケベとはなにか伺っても?」
「ああ、偶発的にえっちな状況を生んでしまう力、状態のことで」
「はい?」
今聖女様の口からえらいものが飛び出した気がしたけど?
「偶発的にえっちな状況を」
「二度も結構です!」
聖女様にえっちなんて単語使わせてしまった。なんてことだ。
当の本人は平然としているし、今どんな状況なのこれ。
「三年も経ったから振り切れちゃって」
「振り切る?」
「もうあまり出ないけど、読者に力働いたか心配だったから」
「ご心配痛み入ります?」
聖女様のお力であれば遠方でも余裕だ。それは現役の時の加護で証明できる。けどどうやら、そういうことを言いたいのではないらしい。フォローしておこう。
「私の自宅裸族は完全な趣味なので、エピシミア辺境伯夫人が気に病むことではありません」
「みたいね。よかった」
ラッキースケベが聖女様を相当悩ましていたものだというのは、なんとなく察した。にしても聖女様からえっちなんて単語聞きたく……いやご褒美かな。
「あ、飲み物を切らしたのね。はい、こちらを」
「ありがとうございます!」
丁度緊張と話しすぎで喉乾いてた。頂いたものを一気に飲み干す。
「あ、おいし」
じゃない、これお酒だ。やばい。弱いのに一気に煽ってしまった。
「み、水を」
急いで水をもらう。
流し込んで誤魔化しても身体の反応が遅いと言っている。
というよりも、待った。この水、水じゃない?
「お酒?」
「ああ、和酒かしら。東の大陸の先にある島国原産で」
「そう、なんですか」
結構強いお酒だった。ますますまずい。
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