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第4章 『水とともに生きる:後編』
第9話 琵琶湖の水質
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湖岸沿いを少し進むと、視界いっぱいに琵琶湖の広がる、見晴らしのいい場所に辿り着いた。
船着き場は当然、船が多く停泊していたから、あまりこのように見えなかった。
静かな中に、穏やかに返す波の音が聞こえる。
「壮観ですね。こうやって見ると、琵琶湖ってめっちゃ綺麗ですよね」
「まったく同意見です。しかし、実は過去、様々な要因によって、一時『瀕死状態』とまで言われたことがあるんですよ」
「ひ、瀕死状態……?」
「ええ。工場排水や生活排水による赤潮の発生、富栄養化等に伴い、水質の異常な変化、そして湖沼で生きる生態系が一気に崩れてしまったんです」
「ひんし、とはなんですか?」
ジブリールさんが首を傾げる。
「ストレートに言うと『死にかけ』の状態ってことだね。色んな理由から『琵琶湖』それ自体としての形が失われかけたってこと」
「そんなことがあった、ですか」
「珍しい話じゃないけどね。工場排水だとかって話は、日本じゃ昔はよくあった問題みたいだから。経済の著しい成長が原因でね」
外界から吹く新しい風に乗って起こった急激な産業の発展に伴い、工場等が多く作られることとなった、その結果だ。
水質汚染、森林破壊といった公害、新幹線事業の拡大による騒音や振動といったトラブルと、様々な問題と直面した――と、学校で習った。
私は勿論、その当時のことは知らない訳で、無責任な言い方は出来ないけれど。
「雫さんの仰る通り。琵琶湖の問題が起こったのは、一九七七年頃。高度経済成長期が終わりを告げ、バブル期が到来するまでの間の期間に起こったそうです」
「学校では習わなかった、空白の期間ですね。何があったんですか?」
私が問いかけると、クリスさんは足を止め、眼前に広がる雄大な湖に視線を向けた。
「一九七七年、五月のこと。突如として、琵琶湖の湖面が真っ赤に染まるという事態が起こったそうです。同時期、近隣の近畿圏の水道では異臭騒ぎが起こり、養魚場では大量の魚が死んでしまうといったことも。その主な原因が、琵琶湖の水質汚染にあったのです。琵琶湖の水は京都等へと流されていますからね」
琵琶湖疎水、だったかな。
明治維新のすぐ後、産業の衰退した京都を復興するべく成された計画の一つで、五年という長い歳月をかけて完成されたという話だ。
滋賀県民には有名な『琵琶湖の水止めたろか』という文言も、それがあればこそなのだろう。
実際のところ、過去に一度琵琶湖の水が止められたことがあったそうだけれど、それは確か京都府側からの作用だったはずだ。
「赤潮の原因は『富栄養化』によるもの。富栄養化とは、水中に含まれる栄養分が、本来の状態よりも増えすぎてしまうことを言います。一見いいことのようにも思える富栄養化ですが、自然界とは常に、絶妙なバランスを保っていればこそ存続されるもの。富栄養化の進んだ海や河川ではプランクトン等が一気に増え、これらが後々死んでしまうことで、リンや窒素といった栄養塩類が水中に溢れ、植物やプランクトンを余計に増やす結果となる。これが繰り返されると水中の酸素は激減し、やがて魚などの水生生物が死滅、ゆくゆくは異臭や更なる環境汚染へと繋がって行くというわけです」
「そんなことが……十年前ぐらいに、ちょっとだけ赤潮が起こったことがあったけど、それとは規模も影響も段違いだったわけですね」
「桁外れだった、とおばあちゃんから聞いたことがあります。高度経済成長に伴い都市化が進んだ滋賀県でしたが、産業の発展と共に急激に増える人口の割に、下水道等の整備が追い付いていなかったのです。それゆえに、『海なし県』であるここ滋賀では琵琶湖に流すしか手がなかった。と、そういった理由だったようですね。
他にも外来種の侵入や沿岸開発も、環境を破壊していく要因に繋がります。つゆさんの言う通り、それ以降も赤潮等の問題は発生するようになってしまいましたが――それを現状程までに抑えたのもまた、滋賀県民なのです」
クリスさんは眼鏡をクイと直して続ける。
「七十年代、ここ滋賀県では主婦層や赤子の肌荒れが問題となっていました。調査の結果、その原因は合成洗剤にあることが分かり、それに代わる石鹸の共同購入や開発、洗剤というものを知る為の勉強会を開く等、積極的に動き始めた矢先に起こった赤潮問題――勉強や努力の甲斐もあり、市民の間ではリンを含む洗剤の使用を取りやめ、天然油脂を原料とした粉の石鹸を代わりに使って行こうという『石鹸運動』というものがありました。
始めは主婦層を中心として拡がっていったこの運動は、やがて漁協や労働団体、福祉、青年会議なども巻き込むほどの大きな運動へと発展し、七十八年には『びわ湖をまもる粉石けん使用推進県民運動』県連絡会議と呼ばれる、通称『石けん会議』も結成されることとなり、行政への対策要求なども行われました。
そして八十年には『滋賀県琵琶湖の富栄養化の防止に関する条例』が施行され、結果として八十年代半ばには水質も大きく改善し、リンと窒素濃度は大幅に減少すると共に、当時合成洗剤を一切使わず粉石鹸を使用する、という人の割合が、滋賀県では五十パーセント程にまでのぼったそうです」
「半分もの人が? それは凄いですね」
当時の人口がどれ程だったかは知らないけれど、それにしても約半数がというのは凄い話だ。
琵琶湖を守ろうという市民の気持ち、それを口先だけで終わらせない努力、熱量。当時を知らない私にだって、それがとんでもないものであったことは分かる。
何せ、目線の先に陸が見えないような大きさの湖だ。考えるだけで途方もない。
「石鹸といえば、『かよこの石けん』って、滋賀県のものでしたよね」
「よくご存知で。『enSeisui』という会社が開発・販売している石鹸ですね。元は化学薬品を扱う会社に勤めておられた代表さんが、ご縁の『縁』、清い水を意味する『清水』から名付けたとされています」
「さ、流石の情報量……ひょっとして、あの『かよこの石けん』も?」
「ええ。信楽の朝宮茶、東近江は竜王町で育てられる動物から採れるホエイ、そして全て植物から採られるオイルを使用した、環境に良い石鹸です。茶葉は農薬を散布せず作られ、動物たちは循環型農業と呼ばれる、化学肥料や農薬だけに頼らず、家庭や畜産業等から出た本来なら廃棄される物を肥料として再活用することで資源を循環させる、といったシステムによって育てられています」
ホエイ、とは確か、牛から牛乳を搾り、チーズを作る際に出来る乳清のことだ。それを保湿成分として盛り込んでいるとは。
「他にも、七月一日の『びわ湖の日』に行われる琵琶湖の一斉清掃や、食用油の再利用、バイオディーゼルですね、それからビオトープネットワークの構築――そういったことが実を結び、今日では人が泳げる程にまで回復しています」
「そういえば、夏になると海水浴ならぬ湖水浴が盛んですよね」
浴場として開放されている湖岸で、きゃっきゃとはしゃぐ子どもの姿を何度か見たことがある。
「ちなみに、ここ沖島にも『かよこの石けん』を取り扱っているお店があった筈です。時間があれば、後でそちらにもお邪魔しましょうか」
「良いですね。こっちに戻って来てから使い始めて、すっかり惚れこんでしまって」
「あらあら。良いですね、私がプレゼントしてさしあげましょう」
「やった! 約束ですよ、クリスさん」
「せっけん! ニホンのせっけん、わたしもほしいです!」
「はいはい、お二人ともにさしあげますよ」
子どものようにはしゃぐジブリールさんに、クリスさんは困ったように笑いながらも頷いた。
「思いがけず、随分と話し込んでしまいました。あまり散策は出来ませんでしたね。すみません」
クリスさんが、眼鏡をしまいながら言う。
「いえ。貴重なお話が聞けました。七月もすぐそこですし、今年から私も一斉清掃に参加しようかと思います」
「わたしも! ビワコ守るかつどう、さんかしたいです」
「ええ、是非。一気に二人もの手が増えたとなれば、よりいっそう綺麗になっていくことでしょう」
高々二人が増えた程度では――クリスさんも大袈裟に言うなぁ、なんて思いもしたけれど、そんなただ数人の意識が伝播し、拡大していった結果として今があるなら、この二本の手が増えることも無駄じゃないと、クリスさんの話を聞いた今なら思える。
それからまた、少し進んだ辺りでクリスさんが足を止めた。
「どなたかにお話しを窺ってみましょうか。マコトさんのことを知っている方がおられるかも分かりませんし」
と、クリスさんが辺りに目を向けた時だった。
「その必要はありませんよ」
ふと、落ち着いた男の子の声が私たちの耳を打った。
船着き場は当然、船が多く停泊していたから、あまりこのように見えなかった。
静かな中に、穏やかに返す波の音が聞こえる。
「壮観ですね。こうやって見ると、琵琶湖ってめっちゃ綺麗ですよね」
「まったく同意見です。しかし、実は過去、様々な要因によって、一時『瀕死状態』とまで言われたことがあるんですよ」
「ひ、瀕死状態……?」
「ええ。工場排水や生活排水による赤潮の発生、富栄養化等に伴い、水質の異常な変化、そして湖沼で生きる生態系が一気に崩れてしまったんです」
「ひんし、とはなんですか?」
ジブリールさんが首を傾げる。
「ストレートに言うと『死にかけ』の状態ってことだね。色んな理由から『琵琶湖』それ自体としての形が失われかけたってこと」
「そんなことがあった、ですか」
「珍しい話じゃないけどね。工場排水だとかって話は、日本じゃ昔はよくあった問題みたいだから。経済の著しい成長が原因でね」
外界から吹く新しい風に乗って起こった急激な産業の発展に伴い、工場等が多く作られることとなった、その結果だ。
水質汚染、森林破壊といった公害、新幹線事業の拡大による騒音や振動といったトラブルと、様々な問題と直面した――と、学校で習った。
私は勿論、その当時のことは知らない訳で、無責任な言い方は出来ないけれど。
「雫さんの仰る通り。琵琶湖の問題が起こったのは、一九七七年頃。高度経済成長期が終わりを告げ、バブル期が到来するまでの間の期間に起こったそうです」
「学校では習わなかった、空白の期間ですね。何があったんですか?」
私が問いかけると、クリスさんは足を止め、眼前に広がる雄大な湖に視線を向けた。
「一九七七年、五月のこと。突如として、琵琶湖の湖面が真っ赤に染まるという事態が起こったそうです。同時期、近隣の近畿圏の水道では異臭騒ぎが起こり、養魚場では大量の魚が死んでしまうといったことも。その主な原因が、琵琶湖の水質汚染にあったのです。琵琶湖の水は京都等へと流されていますからね」
琵琶湖疎水、だったかな。
明治維新のすぐ後、産業の衰退した京都を復興するべく成された計画の一つで、五年という長い歳月をかけて完成されたという話だ。
滋賀県民には有名な『琵琶湖の水止めたろか』という文言も、それがあればこそなのだろう。
実際のところ、過去に一度琵琶湖の水が止められたことがあったそうだけれど、それは確か京都府側からの作用だったはずだ。
「赤潮の原因は『富栄養化』によるもの。富栄養化とは、水中に含まれる栄養分が、本来の状態よりも増えすぎてしまうことを言います。一見いいことのようにも思える富栄養化ですが、自然界とは常に、絶妙なバランスを保っていればこそ存続されるもの。富栄養化の進んだ海や河川ではプランクトン等が一気に増え、これらが後々死んでしまうことで、リンや窒素といった栄養塩類が水中に溢れ、植物やプランクトンを余計に増やす結果となる。これが繰り返されると水中の酸素は激減し、やがて魚などの水生生物が死滅、ゆくゆくは異臭や更なる環境汚染へと繋がって行くというわけです」
「そんなことが……十年前ぐらいに、ちょっとだけ赤潮が起こったことがあったけど、それとは規模も影響も段違いだったわけですね」
「桁外れだった、とおばあちゃんから聞いたことがあります。高度経済成長に伴い都市化が進んだ滋賀県でしたが、産業の発展と共に急激に増える人口の割に、下水道等の整備が追い付いていなかったのです。それゆえに、『海なし県』であるここ滋賀では琵琶湖に流すしか手がなかった。と、そういった理由だったようですね。
他にも外来種の侵入や沿岸開発も、環境を破壊していく要因に繋がります。つゆさんの言う通り、それ以降も赤潮等の問題は発生するようになってしまいましたが――それを現状程までに抑えたのもまた、滋賀県民なのです」
クリスさんは眼鏡をクイと直して続ける。
「七十年代、ここ滋賀県では主婦層や赤子の肌荒れが問題となっていました。調査の結果、その原因は合成洗剤にあることが分かり、それに代わる石鹸の共同購入や開発、洗剤というものを知る為の勉強会を開く等、積極的に動き始めた矢先に起こった赤潮問題――勉強や努力の甲斐もあり、市民の間ではリンを含む洗剤の使用を取りやめ、天然油脂を原料とした粉の石鹸を代わりに使って行こうという『石鹸運動』というものがありました。
始めは主婦層を中心として拡がっていったこの運動は、やがて漁協や労働団体、福祉、青年会議なども巻き込むほどの大きな運動へと発展し、七十八年には『びわ湖をまもる粉石けん使用推進県民運動』県連絡会議と呼ばれる、通称『石けん会議』も結成されることとなり、行政への対策要求なども行われました。
そして八十年には『滋賀県琵琶湖の富栄養化の防止に関する条例』が施行され、結果として八十年代半ばには水質も大きく改善し、リンと窒素濃度は大幅に減少すると共に、当時合成洗剤を一切使わず粉石鹸を使用する、という人の割合が、滋賀県では五十パーセント程にまでのぼったそうです」
「半分もの人が? それは凄いですね」
当時の人口がどれ程だったかは知らないけれど、それにしても約半数がというのは凄い話だ。
琵琶湖を守ろうという市民の気持ち、それを口先だけで終わらせない努力、熱量。当時を知らない私にだって、それがとんでもないものであったことは分かる。
何せ、目線の先に陸が見えないような大きさの湖だ。考えるだけで途方もない。
「石鹸といえば、『かよこの石けん』って、滋賀県のものでしたよね」
「よくご存知で。『enSeisui』という会社が開発・販売している石鹸ですね。元は化学薬品を扱う会社に勤めておられた代表さんが、ご縁の『縁』、清い水を意味する『清水』から名付けたとされています」
「さ、流石の情報量……ひょっとして、あの『かよこの石けん』も?」
「ええ。信楽の朝宮茶、東近江は竜王町で育てられる動物から採れるホエイ、そして全て植物から採られるオイルを使用した、環境に良い石鹸です。茶葉は農薬を散布せず作られ、動物たちは循環型農業と呼ばれる、化学肥料や農薬だけに頼らず、家庭や畜産業等から出た本来なら廃棄される物を肥料として再活用することで資源を循環させる、といったシステムによって育てられています」
ホエイ、とは確か、牛から牛乳を搾り、チーズを作る際に出来る乳清のことだ。それを保湿成分として盛り込んでいるとは。
「他にも、七月一日の『びわ湖の日』に行われる琵琶湖の一斉清掃や、食用油の再利用、バイオディーゼルですね、それからビオトープネットワークの構築――そういったことが実を結び、今日では人が泳げる程にまで回復しています」
「そういえば、夏になると海水浴ならぬ湖水浴が盛んですよね」
浴場として開放されている湖岸で、きゃっきゃとはしゃぐ子どもの姿を何度か見たことがある。
「ちなみに、ここ沖島にも『かよこの石けん』を取り扱っているお店があった筈です。時間があれば、後でそちらにもお邪魔しましょうか」
「良いですね。こっちに戻って来てから使い始めて、すっかり惚れこんでしまって」
「あらあら。良いですね、私がプレゼントしてさしあげましょう」
「やった! 約束ですよ、クリスさん」
「せっけん! ニホンのせっけん、わたしもほしいです!」
「はいはい、お二人ともにさしあげますよ」
子どものようにはしゃぐジブリールさんに、クリスさんは困ったように笑いながらも頷いた。
「思いがけず、随分と話し込んでしまいました。あまり散策は出来ませんでしたね。すみません」
クリスさんが、眼鏡をしまいながら言う。
「いえ。貴重なお話が聞けました。七月もすぐそこですし、今年から私も一斉清掃に参加しようかと思います」
「わたしも! ビワコ守るかつどう、さんかしたいです」
「ええ、是非。一気に二人もの手が増えたとなれば、よりいっそう綺麗になっていくことでしょう」
高々二人が増えた程度では――クリスさんも大袈裟に言うなぁ、なんて思いもしたけれど、そんなただ数人の意識が伝播し、拡大していった結果として今があるなら、この二本の手が増えることも無駄じゃないと、クリスさんの話を聞いた今なら思える。
それからまた、少し進んだ辺りでクリスさんが足を止めた。
「どなたかにお話しを窺ってみましょうか。マコトさんのことを知っている方がおられるかも分かりませんし」
と、クリスさんが辺りに目を向けた時だった。
「その必要はありませんよ」
ふと、落ち着いた男の子の声が私たちの耳を打った。
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