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第2章 『祖父の写真』

第18話 とりあえず

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 少し上ったところで、クリスさんが足を止めた。
 例の景色は――

「あっ、写真と同じ風景だ」

 そこは、少しだけ開けた空間だった。
 休み場所、という訳ではないんだろうけど、少し落ち着く分には人もあまり訪れなさそうで、良さそうな雰囲気。

「ほんとだ……あの時と同じ」

 善利さんが小さく呟いた。
 手にしていた例の写真と見比べて、これだ、ここだ、と何度も確認している。
 まずは一つ、眠ったままだった当時の記憶に触れられたというところかな。
 その横顔を優しい目で見つめていたクリスさんは、私たちにスマホを持って来ているかと尋ねた。
 私は喫茶店に置いて来てしまった。特別な連絡が入る用事もないし、ここの風景を撮るつもりでもなかったから。
 善利さんも同様だった。
 私たちの答えに、クリスさんは手に持っていた鞄からスマホを取り出し、善利さんへと差し出した。

「とりあえず、これでその辺りを映していってください。いきなり答えには辿り着けなくとも、ヒントの一つ二つは見つけられるでしょう」

 そうして手渡されたスマホを、善利さんはしっかりと受け取った。
 けれど――何だろう。この、拭えない違和感は。
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