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第2章 『祖父の写真』
第3話 好きになっちゃった
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純喫茶『淡海』でアルバイトを始めてからこっち、私は改めてここ滋賀県についてよく調べるようになった。
と言うのも、十年前に母の転勤で東京へと越す前、元々住んでいた土地はここだった。
今とは違う住まいだけれど、ここ近江八幡市内。
だから、ここが私の地元。その地元のことを、私は殆ど知らないままで東京に越したものだったから、改めてというわけだ。
しかしその勉強も、なかなかどうして楽しいもので。
その一番の理由は、やっぱりクリスさんが教えてくれるから、だったり。
学校の先生がこの人だったらいいのに……そう思ってしまう程、優しく丁寧に、時にご自分の趣味全開で教えてくれる。
私は、その時間がたまらなく好きになってしまった。
お手製の珈琲も淹れてくれるし、ね。
頭の中で復習しつつ、そんなことを考えながら歩いていると、意外にも程良い時間でお店に辿り着いた。
表札は『準備中』だけれど、中の灯りは点いている。鍵は開けてあるから正面からどうぞ、とクリスさんからメッセージも来ていた。
アルバイトの時に使う勝手口ではなく、正面の扉を引く。
カラン、と鈍いベルの音が響いた。
思えば、初めてここを訪れた時にクリスさんから招かれて以来、ここから入ったことはなかった。
と言うのも、十年前に母の転勤で東京へと越す前、元々住んでいた土地はここだった。
今とは違う住まいだけれど、ここ近江八幡市内。
だから、ここが私の地元。その地元のことを、私は殆ど知らないままで東京に越したものだったから、改めてというわけだ。
しかしその勉強も、なかなかどうして楽しいもので。
その一番の理由は、やっぱりクリスさんが教えてくれるから、だったり。
学校の先生がこの人だったらいいのに……そう思ってしまう程、優しく丁寧に、時にご自分の趣味全開で教えてくれる。
私は、その時間がたまらなく好きになってしまった。
お手製の珈琲も淹れてくれるし、ね。
頭の中で復習しつつ、そんなことを考えながら歩いていると、意外にも程良い時間でお店に辿り着いた。
表札は『準備中』だけれど、中の灯りは点いている。鍵は開けてあるから正面からどうぞ、とクリスさんからメッセージも来ていた。
アルバイトの時に使う勝手口ではなく、正面の扉を引く。
カラン、と鈍いベルの音が響いた。
思えば、初めてここを訪れた時にクリスさんから招かれて以来、ここから入ったことはなかった。
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