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第1章 『勉強の日々、初めての謎解き』
第1話 大変です……
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喫茶店の仕事は結構大変、とマスターさんが言っていたように、それはなかなかに大変なものであった。
メニューを取り、それを漏れなく厨房へと回し、出来上がったそれらも間違いなく運ぶ――というフロア仕事の他、清掃や開店準備、仕込み等々含め、それを今まで二人だけでやっていたというのだから、凄い話だ。もっとも、仕込みや帳簿の類は、私には関係しないことだけれど、それを抜いたって忙しいものは忙しい。やること盛り沢山だ。
今日で三日目だと言うのに、未だそのどれにも慣れない。
「妹尾ちゃん、こっち来てもおてええか?」
「は、はい、只今…!」
「ごめんね妹尾さん、次こっちにも」
「すみません、直ぐに――っと、こちらお下げしますね…!」
追加ではなく、来店すぐの注文時点から声を掛けられているのは、他でもない私が、それを捌き切れていないから。初めてここへ来た日や前回のバイト日、その際に見たような常連さんの顔が多いことは幸いだ。
「ありがと、妹尾ちゃん」
「おおきに。また来るわな」
「明るい若い子増えて、ここ来る楽しみも増えたわ、はっはっは!」
笑顔で去っていく馴染みの顔を清々しい気持ちで見送れるのは、彼ら彼女らが、とても優しく笑顔を向けてくれるから。
むっとした顔のお客さんばかりだったなら、きっとこう上手くはいっていない。いや、今だって上手くいっているとは思えないのだけれど。
何にしたって、心持ちというものは大事だ。それが立ち上がり始めてすぐであれば尚更に。
しかし、やっぱり初めて見る顔には、弱い私だった。
「おじょうさん、おすすめ、ありますか?」
流暢でない日本語を話す外国の方にそう尋ねられてしまった時は、心臓が止まるかと思った。
面接時に渡されたメニューは暗記していたけれど、その内どれがおすすめかとは、聞いていなかったし、外国の方と話すの自体、生まれて初めてのことだった。
答えあぐねていた私の脇から、汐里さんが助け舟を渡してくれたことには素直に感謝しかないけれど、それでは駄目だ。
メニューを取り、それを漏れなく厨房へと回し、出来上がったそれらも間違いなく運ぶ――というフロア仕事の他、清掃や開店準備、仕込み等々含め、それを今まで二人だけでやっていたというのだから、凄い話だ。もっとも、仕込みや帳簿の類は、私には関係しないことだけれど、それを抜いたって忙しいものは忙しい。やること盛り沢山だ。
今日で三日目だと言うのに、未だそのどれにも慣れない。
「妹尾ちゃん、こっち来てもおてええか?」
「は、はい、只今…!」
「ごめんね妹尾さん、次こっちにも」
「すみません、直ぐに――っと、こちらお下げしますね…!」
追加ではなく、来店すぐの注文時点から声を掛けられているのは、他でもない私が、それを捌き切れていないから。初めてここへ来た日や前回のバイト日、その際に見たような常連さんの顔が多いことは幸いだ。
「ありがと、妹尾ちゃん」
「おおきに。また来るわな」
「明るい若い子増えて、ここ来る楽しみも増えたわ、はっはっは!」
笑顔で去っていく馴染みの顔を清々しい気持ちで見送れるのは、彼ら彼女らが、とても優しく笑顔を向けてくれるから。
むっとした顔のお客さんばかりだったなら、きっとこう上手くはいっていない。いや、今だって上手くいっているとは思えないのだけれど。
何にしたって、心持ちというものは大事だ。それが立ち上がり始めてすぐであれば尚更に。
しかし、やっぱり初めて見る顔には、弱い私だった。
「おじょうさん、おすすめ、ありますか?」
流暢でない日本語を話す外国の方にそう尋ねられてしまった時は、心臓が止まるかと思った。
面接時に渡されたメニューは暗記していたけれど、その内どれがおすすめかとは、聞いていなかったし、外国の方と話すの自体、生まれて初めてのことだった。
答えあぐねていた私の脇から、汐里さんが助け舟を渡してくれたことには素直に感謝しかないけれど、それでは駄目だ。
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