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序章 『出会い』
第1話 働き手募集中
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『働き手募集中』
河川敷を歩いていると、それはレトロで良い雰囲気の喫茶店があった。
ここは滋賀県、近江八幡市。古い町並みと綺麗なお堀が目を引く、美しい土地だ。
それはいわゆる“隠れた名店”のような佇まいだった。お店はこぢんまりとしているのに、周りには背の高い木々も多い。
看板には『純喫茶 淡海』と書いてある。あわみ、と呼んでいいのだろうか。
純喫茶と言うのは、アルコール類を取り扱っていない喫茶店のことだ。それは知っている。
モザイク硝子の入り口からは詳しく中の様子を窺うことは出来ないけれど、扉には臨時休業中の貼り紙。だけれど、電気は点いている。
(アンティークショップ……それか、骨董品? そんなのを扱ってそう。何だか素敵だなぁ……)
それが、この店の第一印象だった。
へえ、と小さな感動を覚えつつそのまま通り過ぎようとしていた私だったが、すぐ脇の方に目を引く一文を見つけて、また立ち止まった。
「働き手……アルバイト、か」
それは、アルバイトを募集しているという旨の内容だった。
無気力に意味もなく、また宛てもなく、こんなところを一人で彷徨い歩いていた私には、その文字はとても光り輝いて見えた。
故あって、母と二人引っ越しをしてきた暇だらけの身には、労働というものそれ自体が、羨ましく思えてしまったのかもしれない。
(バイト……お母さん、許してくれるかな)
もう少し家に近く、また裏方のような仕事であれば、母も許してくれるだろうか。
なんて。
「はぁ……」
そんなことを思いながら、踵を返していったところ。
背後の方で、カランカラン、と鈍いベルの音が響いた。
思わず振り返ると、一人、女性がこちらの方に目を向けていた。
「どうかなさいました?」
鈴を振ったような声、というのは、このことだろうかと思う。
すっと通る音をしていながら、とても優しく、ふわりとくすぐるように耳に届く。
長い髪を緩く一つに結い、肩から前へと流している容姿には、とてもよく似合う声だ。
「えっ? あ、えっと……」
じろじろと見過ぎていただろうか。
モザイク硝子だからそう気にはならないだろうと思っていたのだけれども、よくよく考えれば、動いている者がいることくらいは分かろうものだ。それも長い間じっとして、急に離れたともなれば、不思議に思うのも無理はない。誰かと話し合いをしていた訳でもないのだから。
「この辺りでは見ない顔ですね。ご旅行ですか?」
「あ、っと、いえ、その……」
言葉を詰まらせる私に、その女性は一瞬間きょとんとした様子でいたけれど、すぐに何か察したのか、薄く微笑むと、扉の横に立って、私のことを手招いた。
「――とりあえず、中へどうぞ。三月の涼しさは、放っておけば風邪をひいてしまうくらいですから」
「え、でも、お金……」
「ふふ。いえ、今ね、丁度、新作の試食会をしていたところなんですよ。だから、お代は結構なんです」
「試食会……?」
「ええ。売り物にしようかな、というところまで仕上がった新作を、日を設けて一度無償で提供し、感想を募るんです。もちろん、人数の制限はありますけれど」
「へぇ。それはいいですね」
「おかげさまで、なかなかな倍率の応募があるんですよ、毎回。それも、回を重ねる毎、増えてもいます。有難いことですけれど、私は隠れた名所っぽかったこのお店が大好きだったのに……何だかジレンマです」
「あ、あはは……」
そんな話をしていた折。
店内から「何やってんだよマスター」とお呼びがかかる。
マスター……マスター?
「ま、マスターさんなんですか、そのお若さで……!?」
「ええ。まだまだ継いだばかりですけれど。それより、ほら。早くお入りなさいな。温かい珈琲もセットで出しますから」
女性、もといマスターさんは、今一度私のことを招き入れる。
まだまだ遠慮と言うか、緊張感は拭えないままだけれど。
優しくふわりと促されるがまま、私はおずおずと店内に足を踏み入れた。
外装が外装なら、内装も内装。とても落ち着いた色合いを基調としながらも、目にも優しい色を灯す照明が、重苦しさを感じさせない。
控えめに聴こえてくる音楽は、ローテンポなジャズの曲。知らない曲だけれども、とても落ち着く音色だ。
「こちらにどうぞ」
案内されたのは、カウンター席の一番端。
ざっと見回した店内は、それは盛況だった。席自体、空いているのがそこだけだから、仕方のないことだとは思うのだけれど、すぐ隣の席には、強面のおじさまが座っていた。
つい足を止めてしまった私に、マスターさんは尚も優しく微笑みかける。
大丈夫だ、とでも言ってくれているのだろうか。
「し、失礼します」
いつまでも立っている訳にはいかない。きっと大丈夫だ。
そう言い聞かせると、私は席へと腰を降ろした。
カウンターを挟んだすぐ目の前では、お店のロゴの入ったエプロンを結び直したマスターさんが、早くも準備に取り掛かっていた。
無駄のない動きで身体を動かす度、ふわりと揺れる長く艶やかな髪が、どうしようもなく目を引く。
細く控えめに開かれた目元には、長いまつ毛。鼻筋はすっと通っていて、口元も艶やかな紅がさしてある。
「綺麗やろ、マスターさん」
隣の強面のおじさま――ではなく、更にその隣に座っていた、見るからに明るそうなお姉さんが声を掛けて来た。
「来栖汐里さん。前任のおばあ様からその座を継いだ、若く美しい看板さんや。もっとも、そのおばあ様もまだまだ現役で働いてはるけど。今は厨房の方にいはるで」
「もう、やめてくださいよ、花音さん。恥ずかしいじゃないですか。すみませんね、お客さん」
「い、いえ、そんな…!」
私は大きくかぶりを振る。
前任のおばあ様からその座を、という事は、少なくとも数年、いや十数年かそこらは、ここにこの店はあったということ。
知らなかった。昔、何度もこの辺りは通っていたのに。
けれど……そんなことよりも、何だか気になってしまう会話が。
「そういやアガサさん、昨日言ってたアレだけど――」
「あぁ、それなら――」
「おーいクリス、こっちの珈琲が――」
「はーい、もう準備出来てますよ。すぐにお持ちしますね」
アガサ? クリス?
常連さんらしいお客さんたちが、それぞれ違った呼び名でマスターさんを呼んでいる。
繋ぎ合わせて思い浮かぶのは『アガサ・クリスティー』。有名な推理作家だ。しかし――
「あ、あの、マスターさん……皆さん、どうしてバラバラの呼び方なんですか?」
「え? あぁ、そうですよね。一見さんにはどうしても不思議な光景ですか」
「えっと、まぁ、はい……どうしてなのかな、と」
「どうぞお気になさらず。皆様が、と言いますか、ある知人が悪いので」
「ある知人……?」
「ええ。その知人にね、ある日名付けられたんですよ。『推理上手の“来栖”がやっとる“喫茶店”、“クリス”で“ティー”やからクリスティやな』って」
「あぁ、なるほど」
「それがあれよあれよという間に常連さん方へと広がり、今ではすっかり『近江のアガサ・クリスティ』などと。まったく、不本意なあだ名ですよ。せっかく”和”をコンセプトにしているお店なのに、失礼しちゃいますよね」
マスターさんは困ったように笑うと、溜息交じりに肩を落とした。
「とか言うててな、推理上手なんはホンマなんよ。今朝かて、ある常連さんがえらい難儀しとった謎を、一瞬で解いてしもたんやから」
「えっ、それは凄いですね」
「もう、花音さんまで。話の内容と状況から推察したまでですよ。正解とは限りません。あくまで『こう考えられる』というだけの話です」
「またまた、そない謙遜せんでもええやんか」
お姉さんは明るく笑うと、差し出された珈琲を小さく煽った。
河川敷を歩いていると、それはレトロで良い雰囲気の喫茶店があった。
ここは滋賀県、近江八幡市。古い町並みと綺麗なお堀が目を引く、美しい土地だ。
それはいわゆる“隠れた名店”のような佇まいだった。お店はこぢんまりとしているのに、周りには背の高い木々も多い。
看板には『純喫茶 淡海』と書いてある。あわみ、と呼んでいいのだろうか。
純喫茶と言うのは、アルコール類を取り扱っていない喫茶店のことだ。それは知っている。
モザイク硝子の入り口からは詳しく中の様子を窺うことは出来ないけれど、扉には臨時休業中の貼り紙。だけれど、電気は点いている。
(アンティークショップ……それか、骨董品? そんなのを扱ってそう。何だか素敵だなぁ……)
それが、この店の第一印象だった。
へえ、と小さな感動を覚えつつそのまま通り過ぎようとしていた私だったが、すぐ脇の方に目を引く一文を見つけて、また立ち止まった。
「働き手……アルバイト、か」
それは、アルバイトを募集しているという旨の内容だった。
無気力に意味もなく、また宛てもなく、こんなところを一人で彷徨い歩いていた私には、その文字はとても光り輝いて見えた。
故あって、母と二人引っ越しをしてきた暇だらけの身には、労働というものそれ自体が、羨ましく思えてしまったのかもしれない。
(バイト……お母さん、許してくれるかな)
もう少し家に近く、また裏方のような仕事であれば、母も許してくれるだろうか。
なんて。
「はぁ……」
そんなことを思いながら、踵を返していったところ。
背後の方で、カランカラン、と鈍いベルの音が響いた。
思わず振り返ると、一人、女性がこちらの方に目を向けていた。
「どうかなさいました?」
鈴を振ったような声、というのは、このことだろうかと思う。
すっと通る音をしていながら、とても優しく、ふわりとくすぐるように耳に届く。
長い髪を緩く一つに結い、肩から前へと流している容姿には、とてもよく似合う声だ。
「えっ? あ、えっと……」
じろじろと見過ぎていただろうか。
モザイク硝子だからそう気にはならないだろうと思っていたのだけれども、よくよく考えれば、動いている者がいることくらいは分かろうものだ。それも長い間じっとして、急に離れたともなれば、不思議に思うのも無理はない。誰かと話し合いをしていた訳でもないのだから。
「この辺りでは見ない顔ですね。ご旅行ですか?」
「あ、っと、いえ、その……」
言葉を詰まらせる私に、その女性は一瞬間きょとんとした様子でいたけれど、すぐに何か察したのか、薄く微笑むと、扉の横に立って、私のことを手招いた。
「――とりあえず、中へどうぞ。三月の涼しさは、放っておけば風邪をひいてしまうくらいですから」
「え、でも、お金……」
「ふふ。いえ、今ね、丁度、新作の試食会をしていたところなんですよ。だから、お代は結構なんです」
「試食会……?」
「ええ。売り物にしようかな、というところまで仕上がった新作を、日を設けて一度無償で提供し、感想を募るんです。もちろん、人数の制限はありますけれど」
「へぇ。それはいいですね」
「おかげさまで、なかなかな倍率の応募があるんですよ、毎回。それも、回を重ねる毎、増えてもいます。有難いことですけれど、私は隠れた名所っぽかったこのお店が大好きだったのに……何だかジレンマです」
「あ、あはは……」
そんな話をしていた折。
店内から「何やってんだよマスター」とお呼びがかかる。
マスター……マスター?
「ま、マスターさんなんですか、そのお若さで……!?」
「ええ。まだまだ継いだばかりですけれど。それより、ほら。早くお入りなさいな。温かい珈琲もセットで出しますから」
女性、もといマスターさんは、今一度私のことを招き入れる。
まだまだ遠慮と言うか、緊張感は拭えないままだけれど。
優しくふわりと促されるがまま、私はおずおずと店内に足を踏み入れた。
外装が外装なら、内装も内装。とても落ち着いた色合いを基調としながらも、目にも優しい色を灯す照明が、重苦しさを感じさせない。
控えめに聴こえてくる音楽は、ローテンポなジャズの曲。知らない曲だけれども、とても落ち着く音色だ。
「こちらにどうぞ」
案内されたのは、カウンター席の一番端。
ざっと見回した店内は、それは盛況だった。席自体、空いているのがそこだけだから、仕方のないことだとは思うのだけれど、すぐ隣の席には、強面のおじさまが座っていた。
つい足を止めてしまった私に、マスターさんは尚も優しく微笑みかける。
大丈夫だ、とでも言ってくれているのだろうか。
「し、失礼します」
いつまでも立っている訳にはいかない。きっと大丈夫だ。
そう言い聞かせると、私は席へと腰を降ろした。
カウンターを挟んだすぐ目の前では、お店のロゴの入ったエプロンを結び直したマスターさんが、早くも準備に取り掛かっていた。
無駄のない動きで身体を動かす度、ふわりと揺れる長く艶やかな髪が、どうしようもなく目を引く。
細く控えめに開かれた目元には、長いまつ毛。鼻筋はすっと通っていて、口元も艶やかな紅がさしてある。
「綺麗やろ、マスターさん」
隣の強面のおじさま――ではなく、更にその隣に座っていた、見るからに明るそうなお姉さんが声を掛けて来た。
「来栖汐里さん。前任のおばあ様からその座を継いだ、若く美しい看板さんや。もっとも、そのおばあ様もまだまだ現役で働いてはるけど。今は厨房の方にいはるで」
「もう、やめてくださいよ、花音さん。恥ずかしいじゃないですか。すみませんね、お客さん」
「い、いえ、そんな…!」
私は大きくかぶりを振る。
前任のおばあ様からその座を、という事は、少なくとも数年、いや十数年かそこらは、ここにこの店はあったということ。
知らなかった。昔、何度もこの辺りは通っていたのに。
けれど……そんなことよりも、何だか気になってしまう会話が。
「そういやアガサさん、昨日言ってたアレだけど――」
「あぁ、それなら――」
「おーいクリス、こっちの珈琲が――」
「はーい、もう準備出来てますよ。すぐにお持ちしますね」
アガサ? クリス?
常連さんらしいお客さんたちが、それぞれ違った呼び名でマスターさんを呼んでいる。
繋ぎ合わせて思い浮かぶのは『アガサ・クリスティー』。有名な推理作家だ。しかし――
「あ、あの、マスターさん……皆さん、どうしてバラバラの呼び方なんですか?」
「え? あぁ、そうですよね。一見さんにはどうしても不思議な光景ですか」
「えっと、まぁ、はい……どうしてなのかな、と」
「どうぞお気になさらず。皆様が、と言いますか、ある知人が悪いので」
「ある知人……?」
「ええ。その知人にね、ある日名付けられたんですよ。『推理上手の“来栖”がやっとる“喫茶店”、“クリス”で“ティー”やからクリスティやな』って」
「あぁ、なるほど」
「それがあれよあれよという間に常連さん方へと広がり、今ではすっかり『近江のアガサ・クリスティ』などと。まったく、不本意なあだ名ですよ。せっかく”和”をコンセプトにしているお店なのに、失礼しちゃいますよね」
マスターさんは困ったように笑うと、溜息交じりに肩を落とした。
「とか言うててな、推理上手なんはホンマなんよ。今朝かて、ある常連さんがえらい難儀しとった謎を、一瞬で解いてしもたんやから」
「えっ、それは凄いですね」
「もう、花音さんまで。話の内容と状況から推察したまでですよ。正解とは限りません。あくまで『こう考えられる』というだけの話です」
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