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組手百本サドンデス
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────1────
「旦那、急にこんな小屋に呼び出してなんの用だ。 大した用じゃなきゃ、作業に戻りたいんだが」
「まあそう言うなよ。 これを見て貰いたくてな」
と言いながら、俺は鍵を回して扉を開けた。
そして、
「こ、こいつは……」
ガラドが小屋の中に備えつけられた設備を見て驚く中、俺はガラドにこう告げる。
「これはあんたらへのプレゼントだ。 ガラド、グレイ。 存分に使ってくれ。 この、最先端の魔工炉を」
魔工炉とは魔石を原動力とした魔道具の一種で、鋳造に使われる鍛冶道具である。
なんでも行商人のお姉さん曰く、この魔工炉なるものは、鍛冶師なら誰しもが憧れる一品なんだとか。
それはガラド達だって例外ではない筈。
喜んでくれる筈だ。
「い……良いのか旦那、俺達にこんな高価なもん……」
「もちろんだ。 その為に買ったんだからな。 これからはこの魔工炉を使って、存分に腕を振るって欲しい。 シャロ村の為に」
「……わかった。 ありがたく使わせて貰う。 この礼はこれからの働きで返していく。 期待していてくれ、旦那」
どうやらサプライズは成功したようだ。
ガラドとグレイの目が生き生きしている。
「グレイ、来い! 早速火を入れるぞ!」
「んだ!」
へぇ、流石は一流の鍛冶師。
使い方は聞かずともわかるのか、ガラドは迷い無く魔工炉のボタンと呼ばれる出っ張りを押下。
魔石を起動させ、炉内部に炎を発生させた。
「旦那! 何か入り用のもんはありますかい? 試しに何か打ちますぜ!」
「うーん、そうだな……じゃあ、ラミィの武器を作ってやってくれないか?」
「ラミィってーと、あの赤髪の嬢ちゃんかい? またどうして」
「ああ。 最近あいつも強くなってきてさ、あんなちゃっちい剣じゃあいつの力に見合わなくなってきたんだ。 だから、それに見合った武器をあいつに渡してやりたい。 それだけの事だ」
ラミィは強くなった。
共鳴連鎖の効果だけじゃなく、立ち回り、剣技、戦闘技能。
どれを取っても明らかに力をつけてきている。
ならその実力に見合った武器を装備するべきだ。
同じ剣士として、あいつの師として、何よりも友人として、俺はそれを切に願わずにはいられない。
「……おっしゃ! 旦那がそこまで言うならこっちは文句なんざねえ! これまで打ってきたどんな名刀をも凌ぐ剣を打ってやろうじゃねえか! このガラドの名に賭けて! ………んで、どんな剣にする? 要望はあるかい?」
「じゃあ、これを使って打って欲しい。 どんな攻撃にも耐えきれる魔剣と盾を」
そう言いながら取り出したのは、アルドンから貰った魔物素材。
ミノタウロスの角だった。
「こ、こりゃまた難しい注文だな。 レア素材を使っての魔剣製造とはな。 だがやりがいのある仕事だ! よし、やるぞグレイ! しょっぱなから大仕事だ! 気合いいれていけ!」
「んだ!」
ガラドは角を受け取ると、炉で熱して、ハンマーで叩き始めた。
何度も何度も繰り返し。
どんな剣が出来上がるのだろう。
今から完成が楽しみだ。
────2────
あれから四日。
レンガの積み上がっていく音以外にも、工房から響き渡る鋼を叩く音がシャロ村の日常となり始めた頃。
「これならどうよ、ソーマ!」
「ふっ! やるようになったな、ラミィ!」
キンッ。
ラミィの修行も、ある段階。
剣の道を通る以上通過しなければいけない第一の関門までやってきていた。
「おし、返した! どうよどうよ、バカソーマ! もうあんたの技なんか、私にはきかないんだから! 悔しかったらやり返してみなさいよ! ばーかばーか!」
確かにラミィは強くなった。
村を襲撃した男達、ウルフの群れどころかタイラントですら捌けられない俺の剣を受け流し、弾くぐらいには強くなった。
とはいえ、まだまだこの程度序の口。
まだ俺には遠く及ばない。
少し強くなったからと調子に乗りすぎだぞ、ラミィ。
「なら二割本気を出してやる。 防いでみせろ」
「へ?」
「イグベルト流模倣術! パリィ!」
「ちょ、まっ! パリィって、それ私のスキルじゃ……うきゃあ!」
敵の攻撃どころか防御すらパリィするラミィの万能スキル、パリィを再現した肘打ち。
イグベルト流パリィにより、ラミィの盾は弾かれ無防備に。
そこへ更に続けて羅刹掌。
「ぶへえ! ちょっとホント待って! 一旦スト……ッ!」
流石は幾多の地獄の特訓を生き延びた、頑丈が取り柄のラミィと言うべきか。
はたまた、俺に抵抗出来る程度には強くなったと誉めるべきか。
羅刹掌を受けたにも関わらず、数歩分後ろに滑るだけに留めたラミィに俺は容赦なく、一の型────
「風塵!」
を見舞う。
「いいっ! きゃああああ! がふ!」
風塵の衝撃波により、ラミィは紙吹雪が如く吹き飛ばされ大木に激突。
きゅう、とか細い声を上げて、地面の上で目を回す羽目になった。
はぁ、やっぱりまだまだだな。
多少速度を上げただけで追い付けない、多様な技への対応が遅い、防御が甘い、行動に無駄が多い、動揺で視線がぶれる、体幹が保てない。
他にも、剣筋が一辺倒、フェイントにすぐ引っ掛かる、視線の動きで次の行動を教えている、無駄口が多い、立て直しが出来てない、引くところで引けない、等々およそ二十点以上の不満はあるが、それはおいおい叩き込んでやるとしよう。
なんにしろ、まだまだ素人の域だ。
たとえ第一の関門。
敵を一点ではなく多面的に捉える、をクリアしたとて、素人の中の素人。
となれば、修行の一環として、ここはあれをやるしかあるまい。
組手百本サドンデスを。
────3────
組手百本サドンデスとは、端的に言ってしまえば、俺へ攻撃を一発当てるまで続く、地獄の修行である。
ルールは簡単。
ラミィが俺に攻撃を当てるまで、終わらない。
ただし百回負けるまで。
もちろんギブアップは一切受けつけない。
どれだけしんどくても痛くても泣きたくても続けなければならない。
正に地獄の特訓。
それが組手百本サドンデス。
その説明を受けたラミィはというと。
「や……やってられるか、そんなもん! 私、やめる! あんたの弟子なんか今日限りでやめてやるんだからぁぁぁぁ!」
絶賛逃亡中。
一目散に湖畔から遠ざかろうとしている。
が、既に地獄の組手百本サドンデスの最中。
逃げ出すのは許さん、と。
「逃がすと思ってるのか、アホ」
「ぐえっ! うぅ……」
一瞬で捕縛。
襟元を掴まれたラミィは、猫のように大人しくなった。
「よし、百本サドンデスはこれにて終了だ。 ゆっくり休め。 明日もまた修行だからな」
「ふぁい……」
ほぼ屍と化したラミィを後にし、階段で一息ついていると、
「ふぅ」
「どうぞ、ソーマさん」
リアが汗拭き用の布を手渡してきた。
「悪い、助かる」
「いえいえ、ラミィちゃんの修行に付き合ってくれてるんですもん。 このくらい親友として当然です」
まるで姉のような言い種だ。
実際問題、リアの方が精神年齢が間違いなく上なんだろうが。
「それで、どうですか? ラミィちゃん、少しは強くなれましたか?」
「あいつには言うなよ? 調子に乗るから。 ……かなり強くなったと思う、それこそそこら辺の冒険者や騎士なんかとは比べ物にならないくらい。 王都でも今のあいつに勝てる奴はそう居ないだろうな」
「そうなんですか!? 以前はウルフにも苦戦してたラミィちゃんが、そんなに強くなったなんて……なんだか感慨深いです……」
お母さんか、お前は。
そういうリアも、ダンジョン探索した時とは比較にならないほど強くなってるんだがな。
「さっきの組手も実は少しヒヤッとさせられてな。 特に56回目の組手、あの時のラミィには一瞬冷や汗をかきそうになった」
「えっと……どれでしょう? どれも全てソーマさんに軽くあしらわれていたような……」
「ほら、フラフラになって俺の攻撃を偶然避けて潜り抜けてきた事があっただろ? あの時だ」
「ああ~、そんな事もあったような……」
あの時は本当にヒヤッときた。
俺の掌底を避けたのはたまたまだろうが、その後あいつは俺に詰めて首元に手を伸ばしてきた。
あそこまで接近を許した相手はそう多くはない。
確かにあいつはまだまだだ。
だがあいつの持つポテンシャル、才能はかなりのもの。
もしあの適度な脱力を覚えられたら、あいつは間違いなく化ける。
少なくとも俺やAランク冒険者に拮抗するぐらいには強くなる。
そして俺は、そこに辿り着いたラミィを同じ剣士として見てみたい。
あいつの辿り着く先を、至った先を見てみたい。
肩を並べて戦ってみたい。
だから俺はあいつを鍛えると決めた。
あの時、あいつが「私は強くならなきゃならない。 リアを……大切な人を二度と失いたくないから」そう言った時のあの目。
あの強くなろうとする者のみが持つ目に、惹かれたから。
「あいつは強くなる。 誰にも負けないほど強く。 自分の手で守りたい者を守れるようになる、必ず。 ……つっても今はまだまだだがな。 修行あるのみだ」
「はは……」
リアは苦笑いを浮かべると、少し間を置いて立ち上がる。
そして、よだれを垂らして寝ているラミィの髪を撫でながら、こんな事を呟いた。
一緒に強くなろうね、ラミィちゃん。
もう二度と後悔しない為に────と。
「旦那、急にこんな小屋に呼び出してなんの用だ。 大した用じゃなきゃ、作業に戻りたいんだが」
「まあそう言うなよ。 これを見て貰いたくてな」
と言いながら、俺は鍵を回して扉を開けた。
そして、
「こ、こいつは……」
ガラドが小屋の中に備えつけられた設備を見て驚く中、俺はガラドにこう告げる。
「これはあんたらへのプレゼントだ。 ガラド、グレイ。 存分に使ってくれ。 この、最先端の魔工炉を」
魔工炉とは魔石を原動力とした魔道具の一種で、鋳造に使われる鍛冶道具である。
なんでも行商人のお姉さん曰く、この魔工炉なるものは、鍛冶師なら誰しもが憧れる一品なんだとか。
それはガラド達だって例外ではない筈。
喜んでくれる筈だ。
「い……良いのか旦那、俺達にこんな高価なもん……」
「もちろんだ。 その為に買ったんだからな。 これからはこの魔工炉を使って、存分に腕を振るって欲しい。 シャロ村の為に」
「……わかった。 ありがたく使わせて貰う。 この礼はこれからの働きで返していく。 期待していてくれ、旦那」
どうやらサプライズは成功したようだ。
ガラドとグレイの目が生き生きしている。
「グレイ、来い! 早速火を入れるぞ!」
「んだ!」
へぇ、流石は一流の鍛冶師。
使い方は聞かずともわかるのか、ガラドは迷い無く魔工炉のボタンと呼ばれる出っ張りを押下。
魔石を起動させ、炉内部に炎を発生させた。
「旦那! 何か入り用のもんはありますかい? 試しに何か打ちますぜ!」
「うーん、そうだな……じゃあ、ラミィの武器を作ってやってくれないか?」
「ラミィってーと、あの赤髪の嬢ちゃんかい? またどうして」
「ああ。 最近あいつも強くなってきてさ、あんなちゃっちい剣じゃあいつの力に見合わなくなってきたんだ。 だから、それに見合った武器をあいつに渡してやりたい。 それだけの事だ」
ラミィは強くなった。
共鳴連鎖の効果だけじゃなく、立ち回り、剣技、戦闘技能。
どれを取っても明らかに力をつけてきている。
ならその実力に見合った武器を装備するべきだ。
同じ剣士として、あいつの師として、何よりも友人として、俺はそれを切に願わずにはいられない。
「……おっしゃ! 旦那がそこまで言うならこっちは文句なんざねえ! これまで打ってきたどんな名刀をも凌ぐ剣を打ってやろうじゃねえか! このガラドの名に賭けて! ………んで、どんな剣にする? 要望はあるかい?」
「じゃあ、これを使って打って欲しい。 どんな攻撃にも耐えきれる魔剣と盾を」
そう言いながら取り出したのは、アルドンから貰った魔物素材。
ミノタウロスの角だった。
「こ、こりゃまた難しい注文だな。 レア素材を使っての魔剣製造とはな。 だがやりがいのある仕事だ! よし、やるぞグレイ! しょっぱなから大仕事だ! 気合いいれていけ!」
「んだ!」
ガラドは角を受け取ると、炉で熱して、ハンマーで叩き始めた。
何度も何度も繰り返し。
どんな剣が出来上がるのだろう。
今から完成が楽しみだ。
────2────
あれから四日。
レンガの積み上がっていく音以外にも、工房から響き渡る鋼を叩く音がシャロ村の日常となり始めた頃。
「これならどうよ、ソーマ!」
「ふっ! やるようになったな、ラミィ!」
キンッ。
ラミィの修行も、ある段階。
剣の道を通る以上通過しなければいけない第一の関門までやってきていた。
「おし、返した! どうよどうよ、バカソーマ! もうあんたの技なんか、私にはきかないんだから! 悔しかったらやり返してみなさいよ! ばーかばーか!」
確かにラミィは強くなった。
村を襲撃した男達、ウルフの群れどころかタイラントですら捌けられない俺の剣を受け流し、弾くぐらいには強くなった。
とはいえ、まだまだこの程度序の口。
まだ俺には遠く及ばない。
少し強くなったからと調子に乗りすぎだぞ、ラミィ。
「なら二割本気を出してやる。 防いでみせろ」
「へ?」
「イグベルト流模倣術! パリィ!」
「ちょ、まっ! パリィって、それ私のスキルじゃ……うきゃあ!」
敵の攻撃どころか防御すらパリィするラミィの万能スキル、パリィを再現した肘打ち。
イグベルト流パリィにより、ラミィの盾は弾かれ無防備に。
そこへ更に続けて羅刹掌。
「ぶへえ! ちょっとホント待って! 一旦スト……ッ!」
流石は幾多の地獄の特訓を生き延びた、頑丈が取り柄のラミィと言うべきか。
はたまた、俺に抵抗出来る程度には強くなったと誉めるべきか。
羅刹掌を受けたにも関わらず、数歩分後ろに滑るだけに留めたラミィに俺は容赦なく、一の型────
「風塵!」
を見舞う。
「いいっ! きゃああああ! がふ!」
風塵の衝撃波により、ラミィは紙吹雪が如く吹き飛ばされ大木に激突。
きゅう、とか細い声を上げて、地面の上で目を回す羽目になった。
はぁ、やっぱりまだまだだな。
多少速度を上げただけで追い付けない、多様な技への対応が遅い、防御が甘い、行動に無駄が多い、動揺で視線がぶれる、体幹が保てない。
他にも、剣筋が一辺倒、フェイントにすぐ引っ掛かる、視線の動きで次の行動を教えている、無駄口が多い、立て直しが出来てない、引くところで引けない、等々およそ二十点以上の不満はあるが、それはおいおい叩き込んでやるとしよう。
なんにしろ、まだまだ素人の域だ。
たとえ第一の関門。
敵を一点ではなく多面的に捉える、をクリアしたとて、素人の中の素人。
となれば、修行の一環として、ここはあれをやるしかあるまい。
組手百本サドンデスを。
────3────
組手百本サドンデスとは、端的に言ってしまえば、俺へ攻撃を一発当てるまで続く、地獄の修行である。
ルールは簡単。
ラミィが俺に攻撃を当てるまで、終わらない。
ただし百回負けるまで。
もちろんギブアップは一切受けつけない。
どれだけしんどくても痛くても泣きたくても続けなければならない。
正に地獄の特訓。
それが組手百本サドンデス。
その説明を受けたラミィはというと。
「や……やってられるか、そんなもん! 私、やめる! あんたの弟子なんか今日限りでやめてやるんだからぁぁぁぁ!」
絶賛逃亡中。
一目散に湖畔から遠ざかろうとしている。
が、既に地獄の組手百本サドンデスの最中。
逃げ出すのは許さん、と。
「逃がすと思ってるのか、アホ」
「ぐえっ! うぅ……」
一瞬で捕縛。
襟元を掴まれたラミィは、猫のように大人しくなった。
「よし、百本サドンデスはこれにて終了だ。 ゆっくり休め。 明日もまた修行だからな」
「ふぁい……」
ほぼ屍と化したラミィを後にし、階段で一息ついていると、
「ふぅ」
「どうぞ、ソーマさん」
リアが汗拭き用の布を手渡してきた。
「悪い、助かる」
「いえいえ、ラミィちゃんの修行に付き合ってくれてるんですもん。 このくらい親友として当然です」
まるで姉のような言い種だ。
実際問題、リアの方が精神年齢が間違いなく上なんだろうが。
「それで、どうですか? ラミィちゃん、少しは強くなれましたか?」
「あいつには言うなよ? 調子に乗るから。 ……かなり強くなったと思う、それこそそこら辺の冒険者や騎士なんかとは比べ物にならないくらい。 王都でも今のあいつに勝てる奴はそう居ないだろうな」
「そうなんですか!? 以前はウルフにも苦戦してたラミィちゃんが、そんなに強くなったなんて……なんだか感慨深いです……」
お母さんか、お前は。
そういうリアも、ダンジョン探索した時とは比較にならないほど強くなってるんだがな。
「さっきの組手も実は少しヒヤッとさせられてな。 特に56回目の組手、あの時のラミィには一瞬冷や汗をかきそうになった」
「えっと……どれでしょう? どれも全てソーマさんに軽くあしらわれていたような……」
「ほら、フラフラになって俺の攻撃を偶然避けて潜り抜けてきた事があっただろ? あの時だ」
「ああ~、そんな事もあったような……」
あの時は本当にヒヤッときた。
俺の掌底を避けたのはたまたまだろうが、その後あいつは俺に詰めて首元に手を伸ばしてきた。
あそこまで接近を許した相手はそう多くはない。
確かにあいつはまだまだだ。
だがあいつの持つポテンシャル、才能はかなりのもの。
もしあの適度な脱力を覚えられたら、あいつは間違いなく化ける。
少なくとも俺やAランク冒険者に拮抗するぐらいには強くなる。
そして俺は、そこに辿り着いたラミィを同じ剣士として見てみたい。
あいつの辿り着く先を、至った先を見てみたい。
肩を並べて戦ってみたい。
だから俺はあいつを鍛えると決めた。
あの時、あいつが「私は強くならなきゃならない。 リアを……大切な人を二度と失いたくないから」そう言った時のあの目。
あの強くなろうとする者のみが持つ目に、惹かれたから。
「あいつは強くなる。 誰にも負けないほど強く。 自分の手で守りたい者を守れるようになる、必ず。 ……つっても今はまだまだだがな。 修行あるのみだ」
「はは……」
リアは苦笑いを浮かべると、少し間を置いて立ち上がる。
そして、よだれを垂らして寝ているラミィの髪を撫でながら、こんな事を呟いた。
一緒に強くなろうね、ラミィちゃん。
もう二度と後悔しない為に────と。
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