パークラ認定されてパーティーから追放されたから田舎でスローライフを送ろうと思う

ユースケ

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歓迎する者としない者 後編

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「ほれほれ、これも食いなぁ。 男の子だでこのくらいまだ食えるじゃろ」

「いや……もう大丈夫。 後はばあさん達で食べてくれ。 俺はちょっとかわやに……」

「若者が遠慮なんてすんじゃないよ! 百年早い! 良いから沢山食べんしゃい!」

 何故年寄りという生き物は若者の意見はろくに聞きもしない癖に、胃袋には過度な期待を寄せてくるのだろうか。
 頼むからもう肉を皿に乗せないでくれ。
 要らないと何度も断っているだろうが。
 若者の胃袋を舐めるのもいい加減にしろよ。
 あんたらが思うほど入らないから。
 広がらないから、胃袋って。

「くっ……なんて量だ! 俺に食いきれるのか、この化け物を……!」

 と、ラミィをチラリ。
 あいつの皿に分けてやろうと思ったが無理そうだ。

「くっ……なんて量なの! 私に食いきれるの、この怪物を……!」

 ラミィも洗礼受けてた。
 こんもりと盛られた肉と野菜を前に、唖然としている。
 あれではあいつには頼れんか。
 かといって食の細そうなリアに頼る訳には……。

「モグモグあむあむ! んー! 美味しいー! おじいちゃん、もっとお肉頂戴! あと20枚はいけるよ!」

「おーう」

「…………!?」

 俺は驚きを隠せなかった。
 身体の細さや性格からしてあまり食べないと思っていたリアが、フードファイター並みに次から次へと肉を口に放り込んでいたからだ。
 見ているだけで吐き気が催してくる。

「はいよ、たんとお食べ」

「わーい! いっただっきまーす! んぐんぐ……んんー! 何度食べてもおいしー! しあわせー!」

 ………………。
 もう少なくとも30枚は消えたんだけど。
 この短時間で。
 どうなってんだ、あいつの胃袋は。

「ふふ……凄いでしょ、リアの食べっぷり。 見ていて気持ちが良いわよね」

 おい、肉を俺の皿によそるな。
 
「気持ちいいどころか、見てたら気持ち悪くなってきたんだが」

「喧嘩売ってんの、あんた。 リアは世界一可愛くて可憐で無垢で純粋な女の子……ううん、天使なのよ? 気持ち悪いなんてあり得ない事言わないで。 あれは……そう、犠牲となった動物を無駄にしない為、無理を押して食べてるのよ! そんな事もわっかんないわけぇ? だからあんたはバカなのよ、バカソーマ! それに比べで、ああ……貴女はなんて優しい娘なの、リア! その慈悲深い精神はもはや天使どころか女神そのものね!」

「女神ってか暴食の魔王ベルゼルフの方が正しいだろ、あれは」

「はんっ。 なに言ってんだか、こいつは。 目が節穴過ぎるでしょ。 良い? リアはね、天使なの。 女神なの。 あんな飯を食うしか脳のない低俗極まりない魔王なんかと一緒にするんじゃないわよ! わかったら土下座しなさい! 自分の低能な発言を悔やみながら、額を地面に擦りつけながらね! …………って、あっバカ! 肉返さないでよ! 私だってもう食べらんな……んぐぅ!」

 面倒なのでラミィの口に肉を突っ込んで黙らせていたその時。
 ふと、目付きの悪いじいさんと目があった。
 
「ケッ、余所者なんざ歓迎しやがって。 またあの時の二の舞を起こすつもりかよ。 そんな野郎、さっさと追い出しちまえば良いんだ。 ばかどもめ」    

「なんだあれ……」

 村に一人は居そうな、いかにも偏屈ジジイといったじいさんの背中を眺めながら呟くと、訳知り顔を浮かべたばあさんが謝ってきた。

「ごめんなさいね、気分悪くなったでしょ。 あの人ったらいつもああで。 困ったものだわ」

「ふぅん」

 まあ田舎の村には一人くらいああいう偏屈なじいさんは居るもんだしな。
 風物詩みたいなもんだと思うことにしよう。
 だが念の為、一応情報収集だけはしておいた方がいいかもしれない。
 あくまで念の為に。
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