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最強無敗の少年は不壊の剣で全てを制す
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「ここなら我々以外に見られる心配はない。 今日だけは本気を出して良いぞ、リュート」
「うん!」
父さんに連れられやってきたのは、屋敷の修練場。
ここは騎士団の詰所にある修練場とは違い、ヴェルエスタ家の当代に許された者のみが入る事を許される訓練施設。
確かにここなら打ってつけだ。
「ではこれより、試合を開始致しますぞ。 参加者は各々の武器を構え、中央にお集まりくだされ」
メリルの執事、ローエンが告げると、アリンを始め、サイラスも剣を構えた。
珍しくリーリンとポックルもやる気になっているようで、リーリンは小振りの杖を取り出し、ポックルは弓矢をつがえる。
「アリンとサイラスは予想通りだったけど、二人もやるの? こういう荒事嫌いだから、やらないもんだと思ってたよ」
「……うん、荒事は嫌いだよ。 でも、今のわたしはリュートくんの護衛魔法師。 いつまでも逃げてるわけにはいかないから」
「ぼ……僕はリュート様に今までの特訓の成果を見て貰いたくて!」
二人とも、いつの間にそんなに強く……。
弟分として鼻が高いよ。
「では、師として参加せぬ訳にはいかんな。 だろう、ルーク殿」
「ええ、そうですね。 リュート様に剣を向けるなど本来であれば切腹ものですが、此度はお許しいただきたい!」
「はは、やっぱり二人も参加するんだ。 うん、良いよ。 まとめて相手をしてあげる、本気で来てね」
ルークはともかく、セニアはリベンジマッチのつもりなのだろう。
瞳に闘志が宿っている。
「シンシア殿もどうだ?」
「ええっ、わたしもですかぁ!? え、えっと……遠慮しておきますぅ……いかなる理由があっても命の恩人であるリュート様に刃を向けるわけには……」
「シンシア、君が居ないと戦力がかなりダウンするから入ろっか」
「そ、そんなぁ……うぅ…………リュート様がそう仰るのでしたら……」
おし、これで相手の戦力はだいぶ高まった。
あとは……。
「リルはどうする? やってみるか?」
『わたしめも、ですか? ……承知いたしました。 では胸をお借り致します、我が主』
「ほう、リュートに忠誠を誓うリルも参加するのか。 これはなかなか面白くなってきた。 ねっ、マリア」
「ふふ、ですね。 であれば、私も参加しましょうか。 母として少しは威厳を見せたいですから」
まさかの母さんも参戦。
「皆様やる気満々ですわね! でしたらわたくしも参戦致します! ラセルはどうしますか? 参戦なさいます?」
「いや、自分は遠慮させていただこう」
「あらそう、残念」
ラセルさんはやらないのか。
となると、殆んど全員参加か。
これは面白くなってきた。
「……参加者が出揃ったようですので、そろそろ試合開始と致しましょう。 ルールは簡単。 気絶もしくは降参宣言、または武器を弾き飛ばされたり破損した瞬間、その方は敗退と致します。 よろしいですね?」
ローエンさんの言葉に、全員が頷く。
その直後、ローエンさんは右手を天井に掲げ、そして────
「では…………始め!」
振り下ろされると同時に、試合開始の合図が鳴ったのだった。
「ローエンよ、貴公はどちらが勝つと思う? 自分はやはり剣聖殿達のグループだな。 あの人数相手では勝ち目はあるまい。 5000コル賭けても良い」
「わたくしめは断然、リュート様ですな。 もしリュート様が負けたら、一万コル出しても良いですぞ」
「乗った」
賭け事にされてる……。
じゃあ少し盛り上げてやろうかな。
「さーってと、じゃあ何処からでもかかってきて良いよ。 サービスとして、一分間こっちから攻撃しないであげる」
「……ちっ、舐めやがって。 俺らじゃ相手にならねえってか?」
「ふーん、ならお望み通り……」
俺の舐めた態度に苛立ちを覚えたアリンとサイラスは、目にもの見せてやろうと視線を交わした二人はタイミングを合わせ、
「やったろうじゃない!」
「うおおお!」
猪突猛進に突っ込んできた。
「合わせろ、アリン!」
「はいよ! でやあ!」
流石は長年、夢を追いかけ剣術の特訓をしてきた二人。
息の合ったコンビネーションで斬りかかってくる。
が……。
「へぇ、悪くないね。 でも…………甘い!」
俺はそれらの連撃を全て紙一重で躱し、二人の剣筋が重なったところで剣を一振り。
「「っ!」」
その一撃は二人の剣をいとも容易く弾き、体勢を崩させた。
そこへ更に続けて。
「戦技……竜崩撃!」
「ぐっ!」
サイラスを掌底から放出された莫大なエネルギーでぶっ飛ばし、
「サイラ……!」
「本番では余所見厳禁だぞ、アリン」
「かはっ!」
魔法で暴風を纏わせた回し蹴りをアリンの腹部に当て、壁に叩きつけた。
「アリンくん、サイラスくん!」
「つぅ……俺らは大丈夫っす、アンドリューさん!」
「今のうちに攻め立てて!」
手加減したとはいえ、あれを食らって動けるとは、二人ともちゃんと鍛えてるようで何よりだ。
「……わかった! シンシアくん、セニア殿はわたしに続け! ルーク、防御は頼む!」
「はっ!」
おお、上手い。
盾持ちのルークを壁に三人が俺の死角をついている。
これではルークを先になんとかしなきゃらなくなる。
良い戦法だ。
じゃあまずはルークから……。
「リュート様、一手ご教授を……」
「邪魔ぁっ!」
「っ!?」
とりま、視覚を遮るルークに渾身の蹴りを炸裂。
まるで大型魔物に突進されたかの如く、ルークは吹き飛ばされた。
そこへすかさず父さんとセニアが正面から。
「貰った! 戦技、瞬光穿呀!」
「戦技、瞬狼果断!」
高速の剣で襲いかかってきた。
流石は剣聖と共和国一の剣士。
目にも止まらない剣戟だ。
しかし、それは常人にとっての話。
未来予測レベル10、空間把握レベル10、思考加速レベル10、動体視力レベル10を持つ俺にとっては亀に等しい速度。
「よっと」
ガキンッ!
「「なっ!」」
更にその上を行く速度の剣でいなされた二人は、呆気に取られ、隙を見せる。
このまま父さんを蹴り飛ばし、セニアをぶん投げても良いんだが、後ろから飛びかかってきているシンシアがうざいので。
「ごめん、まとめて吹き飛ばすね。 ふん!」
「へ……? きゃあああ!」
魔力を一気に放出し、三人まとめて吹き飛ばす。
「今です、リーリン!」
「はい、マリア様! 焔の雨よ、彼の者を焼き尽くせ! ブレイズ……!」
「バレット!」
魔力の無造作な放出は一瞬隙が生まれるもの。
案の定二人は、その隙を突いて炎の礫をショットガンのように射ってきた。
だが、俺には通用しない。
「でやあっ!」
「え……えええええ!? 嘘! ま、ままま……魔法を……!」
「剣の風圧で……魔法を消し飛ばした、ですって?」
ただ思いきり振った剣から放たれた衝撃波と風圧だけで、自慢の魔法を消滅された事実に、二人は呆然と立ち尽くしている。
その間に、リルが炎すらも凍てつかす氷のブレスを吐き、示し合わせてポックルが一矢が放つ。
メリルもそれらを掻い潜りながら、レイピアの戦技、
「シュピーゲル!」
を、繰り出した。
ものの、ブレスも先程の魔法と同じく一振で払われ、弓矢は難なく掴まれ、ゴミでも捨てるようにポイッ。
三連続の突きも初手で弾かれ、レイピアが彼方へと飛んでいく始末。
これだけの戦力差でありながら、あまりにも理不尽な力量差を見せつけられた皆は、まるで魔王と対峙しているかのように冷や汗を流し、ただ恐れおののく。
「やっべぇ……勝てる気がしねえ」
「やっぱりリュート様に敵う筈がないんだよぉ」
「泣き言言ってんじゃないわよ! ほら、さっさと構えなさい! もう一度……!」
おっと、ここで時間が丁度一分経ったみたいだ。
ここらで様子見も見納めかな。
「……! わおーん!」
「「「「「!」」」」」
全員がリルの遠吠えにハッとした後、こぞってこっちに視線を向けた次の瞬間────
「じゃあそろそろこっちから行くよ。 準備は良い? せめてこれぐらいは対処してね、みんな」
「来るぞ! 全員、防御姿勢!」
魔法師である母さんとリーリンによる加護の魔法を受けた父さん達が、ルークを中心に防御の体勢を取る中。
「属性は氷。 構成は地上全域。 範囲は前方広範囲。 それを剣を媒介に展開し、収束。 ……一気に解き放つ! 氷陣穿孔牢!」
俺は床に剣を突き立て、魔法を発動。
剣から放たれた一瞬の波動が建物を軋ませ、空間を揺らす。
これでも彼らからしたら驚異だろうが、本番はここから。
「……む! いかん、全員その場から動くな! 動くと怪我では済まんくなるぞ!」
セニアが動かないよう指示を飛ばすが、そんな指示をする必要はない。
何故なら、この魔法を発動した瞬間、衝撃波により動くことが不可能になるからだ。
「ひっ!」
「マジかよ、これ……」
「う、動けない……」
前方広範囲、後衛の母さん達すら飲み込む範囲全てから飛び出した、数えきれない程の氷のツララが、全員の喉元や急所を捉えた。
スレスレのところで。
「くそ、冗談だろ。 なんつー魔法だよ」
「これを魔法と呼んで良いものか、正直かなり迷いどころですわ……」
「お母さん、ビックリ……」
『……お見事です、主殿。 完敗でございます』
はい、俺の独り勝ち!
「うん!」
父さんに連れられやってきたのは、屋敷の修練場。
ここは騎士団の詰所にある修練場とは違い、ヴェルエスタ家の当代に許された者のみが入る事を許される訓練施設。
確かにここなら打ってつけだ。
「ではこれより、試合を開始致しますぞ。 参加者は各々の武器を構え、中央にお集まりくだされ」
メリルの執事、ローエンが告げると、アリンを始め、サイラスも剣を構えた。
珍しくリーリンとポックルもやる気になっているようで、リーリンは小振りの杖を取り出し、ポックルは弓矢をつがえる。
「アリンとサイラスは予想通りだったけど、二人もやるの? こういう荒事嫌いだから、やらないもんだと思ってたよ」
「……うん、荒事は嫌いだよ。 でも、今のわたしはリュートくんの護衛魔法師。 いつまでも逃げてるわけにはいかないから」
「ぼ……僕はリュート様に今までの特訓の成果を見て貰いたくて!」
二人とも、いつの間にそんなに強く……。
弟分として鼻が高いよ。
「では、師として参加せぬ訳にはいかんな。 だろう、ルーク殿」
「ええ、そうですね。 リュート様に剣を向けるなど本来であれば切腹ものですが、此度はお許しいただきたい!」
「はは、やっぱり二人も参加するんだ。 うん、良いよ。 まとめて相手をしてあげる、本気で来てね」
ルークはともかく、セニアはリベンジマッチのつもりなのだろう。
瞳に闘志が宿っている。
「シンシア殿もどうだ?」
「ええっ、わたしもですかぁ!? え、えっと……遠慮しておきますぅ……いかなる理由があっても命の恩人であるリュート様に刃を向けるわけには……」
「シンシア、君が居ないと戦力がかなりダウンするから入ろっか」
「そ、そんなぁ……うぅ…………リュート様がそう仰るのでしたら……」
おし、これで相手の戦力はだいぶ高まった。
あとは……。
「リルはどうする? やってみるか?」
『わたしめも、ですか? ……承知いたしました。 では胸をお借り致します、我が主』
「ほう、リュートに忠誠を誓うリルも参加するのか。 これはなかなか面白くなってきた。 ねっ、マリア」
「ふふ、ですね。 であれば、私も参加しましょうか。 母として少しは威厳を見せたいですから」
まさかの母さんも参戦。
「皆様やる気満々ですわね! でしたらわたくしも参戦致します! ラセルはどうしますか? 参戦なさいます?」
「いや、自分は遠慮させていただこう」
「あらそう、残念」
ラセルさんはやらないのか。
となると、殆んど全員参加か。
これは面白くなってきた。
「……参加者が出揃ったようですので、そろそろ試合開始と致しましょう。 ルールは簡単。 気絶もしくは降参宣言、または武器を弾き飛ばされたり破損した瞬間、その方は敗退と致します。 よろしいですね?」
ローエンさんの言葉に、全員が頷く。
その直後、ローエンさんは右手を天井に掲げ、そして────
「では…………始め!」
振り下ろされると同時に、試合開始の合図が鳴ったのだった。
「ローエンよ、貴公はどちらが勝つと思う? 自分はやはり剣聖殿達のグループだな。 あの人数相手では勝ち目はあるまい。 5000コル賭けても良い」
「わたくしめは断然、リュート様ですな。 もしリュート様が負けたら、一万コル出しても良いですぞ」
「乗った」
賭け事にされてる……。
じゃあ少し盛り上げてやろうかな。
「さーってと、じゃあ何処からでもかかってきて良いよ。 サービスとして、一分間こっちから攻撃しないであげる」
「……ちっ、舐めやがって。 俺らじゃ相手にならねえってか?」
「ふーん、ならお望み通り……」
俺の舐めた態度に苛立ちを覚えたアリンとサイラスは、目にもの見せてやろうと視線を交わした二人はタイミングを合わせ、
「やったろうじゃない!」
「うおおお!」
猪突猛進に突っ込んできた。
「合わせろ、アリン!」
「はいよ! でやあ!」
流石は長年、夢を追いかけ剣術の特訓をしてきた二人。
息の合ったコンビネーションで斬りかかってくる。
が……。
「へぇ、悪くないね。 でも…………甘い!」
俺はそれらの連撃を全て紙一重で躱し、二人の剣筋が重なったところで剣を一振り。
「「っ!」」
その一撃は二人の剣をいとも容易く弾き、体勢を崩させた。
そこへ更に続けて。
「戦技……竜崩撃!」
「ぐっ!」
サイラスを掌底から放出された莫大なエネルギーでぶっ飛ばし、
「サイラ……!」
「本番では余所見厳禁だぞ、アリン」
「かはっ!」
魔法で暴風を纏わせた回し蹴りをアリンの腹部に当て、壁に叩きつけた。
「アリンくん、サイラスくん!」
「つぅ……俺らは大丈夫っす、アンドリューさん!」
「今のうちに攻め立てて!」
手加減したとはいえ、あれを食らって動けるとは、二人ともちゃんと鍛えてるようで何よりだ。
「……わかった! シンシアくん、セニア殿はわたしに続け! ルーク、防御は頼む!」
「はっ!」
おお、上手い。
盾持ちのルークを壁に三人が俺の死角をついている。
これではルークを先になんとかしなきゃらなくなる。
良い戦法だ。
じゃあまずはルークから……。
「リュート様、一手ご教授を……」
「邪魔ぁっ!」
「っ!?」
とりま、視覚を遮るルークに渾身の蹴りを炸裂。
まるで大型魔物に突進されたかの如く、ルークは吹き飛ばされた。
そこへすかさず父さんとセニアが正面から。
「貰った! 戦技、瞬光穿呀!」
「戦技、瞬狼果断!」
高速の剣で襲いかかってきた。
流石は剣聖と共和国一の剣士。
目にも止まらない剣戟だ。
しかし、それは常人にとっての話。
未来予測レベル10、空間把握レベル10、思考加速レベル10、動体視力レベル10を持つ俺にとっては亀に等しい速度。
「よっと」
ガキンッ!
「「なっ!」」
更にその上を行く速度の剣でいなされた二人は、呆気に取られ、隙を見せる。
このまま父さんを蹴り飛ばし、セニアをぶん投げても良いんだが、後ろから飛びかかってきているシンシアがうざいので。
「ごめん、まとめて吹き飛ばすね。 ふん!」
「へ……? きゃあああ!」
魔力を一気に放出し、三人まとめて吹き飛ばす。
「今です、リーリン!」
「はい、マリア様! 焔の雨よ、彼の者を焼き尽くせ! ブレイズ……!」
「バレット!」
魔力の無造作な放出は一瞬隙が生まれるもの。
案の定二人は、その隙を突いて炎の礫をショットガンのように射ってきた。
だが、俺には通用しない。
「でやあっ!」
「え……えええええ!? 嘘! ま、ままま……魔法を……!」
「剣の風圧で……魔法を消し飛ばした、ですって?」
ただ思いきり振った剣から放たれた衝撃波と風圧だけで、自慢の魔法を消滅された事実に、二人は呆然と立ち尽くしている。
その間に、リルが炎すらも凍てつかす氷のブレスを吐き、示し合わせてポックルが一矢が放つ。
メリルもそれらを掻い潜りながら、レイピアの戦技、
「シュピーゲル!」
を、繰り出した。
ものの、ブレスも先程の魔法と同じく一振で払われ、弓矢は難なく掴まれ、ゴミでも捨てるようにポイッ。
三連続の突きも初手で弾かれ、レイピアが彼方へと飛んでいく始末。
これだけの戦力差でありながら、あまりにも理不尽な力量差を見せつけられた皆は、まるで魔王と対峙しているかのように冷や汗を流し、ただ恐れおののく。
「やっべぇ……勝てる気がしねえ」
「やっぱりリュート様に敵う筈がないんだよぉ」
「泣き言言ってんじゃないわよ! ほら、さっさと構えなさい! もう一度……!」
おっと、ここで時間が丁度一分経ったみたいだ。
ここらで様子見も見納めかな。
「……! わおーん!」
「「「「「!」」」」」
全員がリルの遠吠えにハッとした後、こぞってこっちに視線を向けた次の瞬間────
「じゃあそろそろこっちから行くよ。 準備は良い? せめてこれぐらいは対処してね、みんな」
「来るぞ! 全員、防御姿勢!」
魔法師である母さんとリーリンによる加護の魔法を受けた父さん達が、ルークを中心に防御の体勢を取る中。
「属性は氷。 構成は地上全域。 範囲は前方広範囲。 それを剣を媒介に展開し、収束。 ……一気に解き放つ! 氷陣穿孔牢!」
俺は床に剣を突き立て、魔法を発動。
剣から放たれた一瞬の波動が建物を軋ませ、空間を揺らす。
これでも彼らからしたら驚異だろうが、本番はここから。
「……む! いかん、全員その場から動くな! 動くと怪我では済まんくなるぞ!」
セニアが動かないよう指示を飛ばすが、そんな指示をする必要はない。
何故なら、この魔法を発動した瞬間、衝撃波により動くことが不可能になるからだ。
「ひっ!」
「マジかよ、これ……」
「う、動けない……」
前方広範囲、後衛の母さん達すら飲み込む範囲全てから飛び出した、数えきれない程の氷のツララが、全員の喉元や急所を捉えた。
スレスレのところで。
「くそ、冗談だろ。 なんつー魔法だよ」
「これを魔法と呼んで良いものか、正直かなり迷いどころですわ……」
「お母さん、ビックリ……」
『……お見事です、主殿。 完敗でございます』
はい、俺の独り勝ち!
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