120 / 121
こぼれ話~小瀬野の視点~
2
しおりを挟む
タクシーの中から半覚醒状態の璃空を半ば担ぎながら、何とか小瀬野はマンション二階にある自室へとたどり着くことが出来た。
平均男性よりは軽い。というか彼女より璃空は軽かったが、それでも人一人運ぶのはきつく、小瀬野は思い切り後悔していた。
「何で連れて行くなんて言っちまったんだ、オレは……」
佐伯優斗の更なる弱点でも聞き出せれば。そんなことを企んではいたが、結局はホモだということ以外は何も聞き出せず仕舞い。それも、目の前の相手が勝手にそう思ってるだけの可能性もあるのだ。
璃空をソファーに転がし終えた小瀬野は、誰にともなく吐き捨てた。ちらっと視線を向ければ、璃空はすやすやと眠っていた。
まあ、連れてきてしまったものは仕方ない。あとはこいつが目覚めれば、追い出せばいいだけの話しだ。こいつはホモで、襲われる可能性もあるにはあるが、どう考えても腕力はこちらの方が上だ。というかそんな素振りを見せれば、そく叩き出してやる。
「さて、シャワー浴びてオレもさっさと寝るか」
立ち上がると、後ろでどすんと音がした。振り返ると、璃空がソファーから落ちていた。何処か打ったのか、うう、と痛そうに唸っている。最初は無視しようと思ったが、床で寝はじめた璃空に「だー、もう!」と、小瀬野は苛立ちながら頭をかきむしった。
「オレはこう見えて綺麗好きなんだ。ベッドで寝たけりゃ、シャワー浴びてこい!」
シャワー。
半分覚醒した璃空が呟き、フラフラと立ち上がろうとした。だが、またべしゃっと床に突っ伏してしまった。
「……お前、このやろう。どんだけ迷惑かけりゃ気がすむんだ」
小瀬野は璃空を起こし、シャツとズボンを脱がせ「おい。下着ぐらい、自分で脱げよ」と、吐き捨てた。
璃空が「……下着?」と呟く。
「そ。んで、シャワー浴びてこい。あっちにあっから」
璃空は言われた通りに下着を脱ぎ、小瀬野が指差す方へと足を向けた。が、ふらつく足がもつれ、背後にあったベッドに背中から倒れた。
「……マジかよ」
小瀬野はもう諦めた。明日、全部洗濯しよう。怒るのにも疲れ、小瀬野はシャワーを浴びるべく、バスタオルを手に取った。
平均男性よりは軽い。というか彼女より璃空は軽かったが、それでも人一人運ぶのはきつく、小瀬野は思い切り後悔していた。
「何で連れて行くなんて言っちまったんだ、オレは……」
佐伯優斗の更なる弱点でも聞き出せれば。そんなことを企んではいたが、結局はホモだということ以外は何も聞き出せず仕舞い。それも、目の前の相手が勝手にそう思ってるだけの可能性もあるのだ。
璃空をソファーに転がし終えた小瀬野は、誰にともなく吐き捨てた。ちらっと視線を向ければ、璃空はすやすやと眠っていた。
まあ、連れてきてしまったものは仕方ない。あとはこいつが目覚めれば、追い出せばいいだけの話しだ。こいつはホモで、襲われる可能性もあるにはあるが、どう考えても腕力はこちらの方が上だ。というかそんな素振りを見せれば、そく叩き出してやる。
「さて、シャワー浴びてオレもさっさと寝るか」
立ち上がると、後ろでどすんと音がした。振り返ると、璃空がソファーから落ちていた。何処か打ったのか、うう、と痛そうに唸っている。最初は無視しようと思ったが、床で寝はじめた璃空に「だー、もう!」と、小瀬野は苛立ちながら頭をかきむしった。
「オレはこう見えて綺麗好きなんだ。ベッドで寝たけりゃ、シャワー浴びてこい!」
シャワー。
半分覚醒した璃空が呟き、フラフラと立ち上がろうとした。だが、またべしゃっと床に突っ伏してしまった。
「……お前、このやろう。どんだけ迷惑かけりゃ気がすむんだ」
小瀬野は璃空を起こし、シャツとズボンを脱がせ「おい。下着ぐらい、自分で脱げよ」と、吐き捨てた。
璃空が「……下着?」と呟く。
「そ。んで、シャワー浴びてこい。あっちにあっから」
璃空は言われた通りに下着を脱ぎ、小瀬野が指差す方へと足を向けた。が、ふらつく足がもつれ、背後にあったベッドに背中から倒れた。
「……マジかよ」
小瀬野はもう諦めた。明日、全部洗濯しよう。怒るのにも疲れ、小瀬野はシャワーを浴びるべく、バスタオルを手に取った。
0
お気に入りに追加
628
あなたにおすすめの小説
罰ゲームから始まる不毛な恋とその結末
すもも
BL
学校一のイケメン王子こと向坂秀星は俺のことが好きらしい。なんでそう思うかって、現在進行形で告白されているからだ。
「柿谷のこと好きだから、付き合ってほしいんだけど」
そうか、向坂は俺のことが好きなのか。
なら俺も、向坂のことを好きになってみたいと思った。
外面のいい腹黒?美形×無表情口下手平凡←誠実で一途な年下
罰ゲームの告白を本気にした受けと、自分の気持ちに素直になれない攻めとの長く不毛な恋のお話です。
ハッピーエンドで最終的には溺愛になります。
消えない思い
樹木緑
BL
オメガバース:僕には忘れられない夏がある。彼が好きだった。ただ、ただ、彼が好きだった。
高校3年生 矢野浩二 α
高校3年生 佐々木裕也 α
高校1年生 赤城要 Ω
赤城要は運命の番である両親に憧れ、両親が出会った高校に入学します。
自分も両親の様に運命の番が欲しいと思っています。
そして高校の入学式で出会った矢野浩二に、淡い感情を抱き始めるようになります。
でもあるきっかけを基に、佐々木裕也と出会います。
彼こそが要の探し続けた運命の番だったのです。
そして3人の運命が絡み合って、それぞれが、それぞれの選択をしていくと言うお話です。
君がいないと
夏目流羽
BL
【BL】年下イケメン×年上美人
大学生『三上蓮』は同棲中の恋人『瀬野晶』がいても女の子との浮気を繰り返していた。
浮気を黙認する晶にいつしか隠す気もなくなり、その日も晶の目の前でセフレとホテルへ……
それでも笑顔でおかえりと迎える晶に謝ることもなく眠った蓮
翌朝彼のもとに残っていたのは、一通の手紙とーーー
* * * * *
こちらは【恋をしたから終わりにしよう】の姉妹作です。
似通ったキャラ設定で2つの話を思い付いたので……笑
なんとなく(?)似てるけど別のお話として読んで頂ければと思います^ ^
2020.05.29
完結しました!
読んでくださった皆さま、反応くださった皆さま
本当にありがとうございます^ ^
2020.06.27
『SS・ふたりの世界』追加
Twitter↓
@rurunovel
貧乏大学生がエリート商社マンに叶わぬ恋をしていたら、玉砕どころか溺愛された話
タタミ
BL
貧乏苦学生の巡は、同じシェアハウスに住むエリート商社マンの千明に片想いをしている。
叶わぬ恋だと思っていたが、千明にデートに誘われたことで、関係性が一変して……?
エリート商社マンに溺愛される初心な大学生の物語。
白い部屋で愛を囁いて
氷魚彰人
BL
幼馴染でありお腹の子の父親であるαの雪路に「赤ちゃんができた」と告げるが、不機嫌に「誰の子だ」と問われ、ショックのあまりもう一人の幼馴染の名前を出し嘘を吐いた葵だったが……。
シリアスな内容です。Hはないのでお求めの方、すみません。
※某BL小説投稿サイトのオメガバースコンテストにて入賞した作品です。
小学生のゲーム攻略相談にのっていたつもりだったのに、小学生じゃなく異世界の王子さま(イケメン)でした(涙)
九重
BL
大学院修了の年になったが就職できない今どきの学生 坂上 由(ゆう) 男 24歳。
半引きこもり状態となりネットに逃げた彼が見つけたのは【よろず相談サイト】という相談サイトだった。
そこで出会ったアディという小学生? の相談に乗っている間に、由はとんでもない状態に引きずり込まれていく。
これは、知らない間に異世界の国家育成にかかわり、あげく異世界に召喚され、そこで様々な国家の問題に突っ込みたくない足を突っ込み、思いもよらぬ『好意』を得てしまった男の奮闘記である。
注:主人公は女の子が大好きです。それが苦手な方はバックしてください。
*ずいぶん前に、他サイトで公開していた作品の再掲載です。(当時のタイトル「よろず相談サイト」)
【完結・短編】game
七瀬おむ
BL
仕事に忙殺される社会人がゲーム実況で救われる話。
美形×平凡/ヤンデレ感あり/社会人
<あらすじ>
社会人の高井 直樹(たかい なおき)は、仕事に忙殺され、疲れ切った日々を過ごしていた。そんなとき、ハイスペックイケメンの友人である篠原 大和(しのはら やまと)に2人組のゲーム実況者として一緒にやらないかと誘われる。直樹は仕事のかたわら、ゲーム実況を大和と共にやっていくことに楽しさを見出していくが……。
僕のために、忘れていて
ことわ子
BL
男子高校生のリュージは事故に遭い、最近の記憶を無くしてしまった。しかし、無くしたのは最近の記憶で家族や友人のことは覚えており、別段困ることは無いと思っていた。ある一点、全く記憶にない人物、黒咲アキが自分の恋人だと訪ねてくるまでは────
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる