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ベッドでうつ伏せになりながら、枕に顔を埋める璃空。優斗はベッドに腰掛けると、璃空の乾いた髪を確かめるように何度か撫でた。
「髪、傷んでるね。ちゃんと乾かしてから寝てた?」
璃空の肩がぴくりと動く。
鋭い。なんかいろいろ鋭過ぎる。
顔だけ動かし、優斗と反対側に向ける。
「いや……前原の家、ドライヤーなかったし」
「じゃあ、前原くんの家に行く前は?」
う、と璃空が言葉に詰まる。
「……面倒くさくて」
「俺もいないのに、風邪引いたらどうするつもりだったの?」
大袈裟な。
璃空はうつ伏せの体勢のまま、優斗を見た。
「でも、おれ丈夫だし。それぐらいで」
「39度の熱を出したことがある人は誰かなあ」
にっこり優斗が微笑む。
怖い。
優斗は璃空が自分の身体を大事にしないことを何より嫌い、叱る。
怖いが、嬉しい。
何となくそわそわする。
何とも言えない気分になる。
ちょっとだけ母親のことを思い出した璃空は、素直に「ごめん」と謝った。
「……まだ、怒ってる?」
ちらっと見上げる。優斗はやれやれとため息をついた。
「もう怒ってないよ」
「本当?」
「本当。それに――少し安心したかな」
その言葉通りに、優斗はほっとしたように頬を緩めた。
「安心?」
「そう。やっぱり璃空には、俺が必要なんだって思えたから」
「……そんなの、当たり前じゃん」
腕を伸ばし、優斗の右手をとった。じっと見つめ、体温と感触を確かめるように、璃空はその手を自分の頬にぴったりとつけた。
優斗は目を細めながら、璃空の好きなようにさせている。
「……優斗」
「ん?」
「優斗は、おれが必要?」
「うん。すごく必要」
「何で?」
「璃空が傍にいてくれないと、俺は幸せになれないから」
照れもせず、そんな甘い言葉を口にする。
とても穏やかに、綺麗に笑いながら。
僅かに鼓動が早くなる。
ずるいな。ほんと。
その顔で、その声でそんなことを言われて、嫌な気分になる女性などいないだろう。
例えば前原に同じことを言われたとしても、笑いとばすか、呆れるかのどちらかだ。恋愛対象でない前原と比べること自体、間違っているんだろうけど。
(…………ん?)
あ、と小さく璃空は唇を開けた。
「髪、傷んでるね。ちゃんと乾かしてから寝てた?」
璃空の肩がぴくりと動く。
鋭い。なんかいろいろ鋭過ぎる。
顔だけ動かし、優斗と反対側に向ける。
「いや……前原の家、ドライヤーなかったし」
「じゃあ、前原くんの家に行く前は?」
う、と璃空が言葉に詰まる。
「……面倒くさくて」
「俺もいないのに、風邪引いたらどうするつもりだったの?」
大袈裟な。
璃空はうつ伏せの体勢のまま、優斗を見た。
「でも、おれ丈夫だし。それぐらいで」
「39度の熱を出したことがある人は誰かなあ」
にっこり優斗が微笑む。
怖い。
優斗は璃空が自分の身体を大事にしないことを何より嫌い、叱る。
怖いが、嬉しい。
何となくそわそわする。
何とも言えない気分になる。
ちょっとだけ母親のことを思い出した璃空は、素直に「ごめん」と謝った。
「……まだ、怒ってる?」
ちらっと見上げる。優斗はやれやれとため息をついた。
「もう怒ってないよ」
「本当?」
「本当。それに――少し安心したかな」
その言葉通りに、優斗はほっとしたように頬を緩めた。
「安心?」
「そう。やっぱり璃空には、俺が必要なんだって思えたから」
「……そんなの、当たり前じゃん」
腕を伸ばし、優斗の右手をとった。じっと見つめ、体温と感触を確かめるように、璃空はその手を自分の頬にぴったりとつけた。
優斗は目を細めながら、璃空の好きなようにさせている。
「……優斗」
「ん?」
「優斗は、おれが必要?」
「うん。すごく必要」
「何で?」
「璃空が傍にいてくれないと、俺は幸せになれないから」
照れもせず、そんな甘い言葉を口にする。
とても穏やかに、綺麗に笑いながら。
僅かに鼓動が早くなる。
ずるいな。ほんと。
その顔で、その声でそんなことを言われて、嫌な気分になる女性などいないだろう。
例えば前原に同じことを言われたとしても、笑いとばすか、呆れるかのどちらかだ。恋愛対象でない前原と比べること自体、間違っているんだろうけど。
(…………ん?)
あ、と小さく璃空は唇を開けた。
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