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私は……

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〈桐崎 陵 視点〉

私、桐崎陵は、中等部の入学と同時にこの紫柳学園に入学した。

私の父とこの学園は深い繋がりがある。
それに同じ年の息子がいるという事で親しくなる為にこの学園に入学した。

名前は紫柳 光。
入学式の頃から他とは違う雰囲気を感じる人だった。

テストも私よりも上。容姿も、クラスの人気者でもある。
とても悔しかった。

ある日、私は怠いと思いながら学校に向かうものの、完全に熱が出て医務室に向かった。そしてその時、聞いてしまったのだ。

紫柳光が女である、と。

中が静かになったのを感じて医務室に入ると奥の方の部屋はカーテンで見えなくなっていて分からなかったけど、誰かいる事は間違いなかった。

私も病人だったしそこまで考えがいかず、そのまま青柳先生に診て貰ってから寝る事にした。


「……ぃ、なんで………こんな目に…

  たすけてよ……」

隣の隣のベッドからそんな声がした。

それはとても辛そうで、私は風邪薬も飲んだし結構寝たみたいだから随分良くなったけど、あの人はそういう類いの病気では無いのかと思った。

「大丈夫だよ。ほら、ホットミルク。
  先生が側に付いているから。どうして欲しい?」

「手……握ってください……
  あと、腰のあたりを……摩って……」


すごい聞いてはいけないような会話が聞こえてしまった。

そして、暫くして青柳先生がこちらに来た。

私が目を覚ましていたのを知ると、まずそうな顔をして、「今の会話は内緒ね」と言った。

何が内緒なのだろう…
この学園に来て一番驚いたのは普通に同性愛者がいる事。
この2人は付き合っているのだろうか…

「あぁ、付き合ってるわけでは無いんだ。
まぁ、それ以上に大切な大事な存在なんだよ。オレにとって。オレ達にとって。」

まるで私の考えを読み取ったかのように青柳先生は話した。


あれから1ヶ月に一回、必ず紫柳さんは医務室に向かっている事を知った。
知ってどうこうする訳ではないが、なぜ女子校ではなく男子校にいるのかとても不思議だった。

そして、私は紫柳さんと共に生徒会の役員に指名された。

知っているからなのか、見れば見る程キレイな所作、整った顔、そして真っ直ぐを見つめる藍色の瞳。


気付けば目で追って、惚れてしまっていた。

そして、高等部に入ってからも変わらず紫柳さんは女子高等部ではなく男子高等部に入学した。

中等部の生徒会で顔見知りになり、いつからか生徒会メンバー同士、名前で呼ぶようになった。しかし、中等部では「光」と恥ずかしくて言えず、ずっと「紫柳さん」と呼んでいた。
でも、高等部に入りやっと「光」と呼べるようになった時、光もとても嬉しそうにニコッと笑ってくれた。

学園ではとても静かで美人の「紫柳の貴公子」。

しかし、打ち解けた相手に対しては、一人称が「僕」になるし、男友達の普通の口調になる。この口調で光が話してくれた時、私はとても嬉しく、そして益々「光」という存在に惚れたのだ。

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