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第3章
第5話 氷剣と適した形
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「《アイス・ブレード》!」
――ピキキキ……!
「おおっ!スゲーなお前!
氷で剣を造れんのかよ!」
「へへっ……!
代々氷魔法が得意系統でな……!
まだこの氷剣を維持するのに結構な集中力が必要なんだけど……
コイツは中々の強度があるんだぜ……!」
そう、俺はこの力で絶対に『勇者』になる!!
その為にも、こんな模擬戦で躓いてなんていられねぇ!
誰が相手だろうが、俺の《アイス・ブレード》で薙ぎ倒してやる!!
「では、次。
ヴィガー=マックスとフィル=フィール」
「来たか!!
相手は……!
あの何かと目立ってるガキか………!」
フィル=フィール。
入学の日からあり得ねぇ低『魔力値』だとかあの黒い魔物との知り合いだとかで話題に事欠かねぇ奴だったが……
見た目はただのチビで実力は大した事ねぇ、ってのが昨日までの認識だった……
だが、今日の午前の学園活動……アレでアイツへの評価は一転したと言ってもいい……!
詳細は不明だが、アイツは『エクシードスキル』に目覚めたらしく、あの時見たのもそれによるものらしい……
周りへと目をやると、どうやら他の生徒達もアイツへの興味が隠し切れない、という様子だった。
へっ……!面白れぇじゃねぇか……!!
どんな訳分かんねぇ奴が相手だろうが……俺は絶対に負けねぇ!!
「では双方、用意」
コーディス先生の声と共に、そのソイツが俺の前に立つ。
「おい、言うまでもねぇけどよ、
俺は負けるつもりはねぇぞ!」
「は、はいっ!
よろしくお願いします!!」
ソイツは緊張した面持ちで気合を入れるように両腕を引き締めて返事をした。
その姿は如何にも頼りないその辺のガキ、と言った印象だが……
俺は油断なんかしねぇぞ!
全力でテメェを叩き潰してやるよ!!
「それでは……はじめ!!」
そして、コーディス先生の宣言と共に――
「《バスター・アイス・ブレードォ》!!」
――ピキキキャキャキャ!!!
俺の構えた両手に、巨大な氷剣が生成される!
出し惜しみはしねぇ!!
俺の出せる最大の魔法で相手をしてやる!!
俺の魔法を見たソイツは、一瞬気圧されたようだったが……
すぐに顔つきを険しくし、妙な木片を取り出した。
あれは……!
午前の活動の時に、俺は見た!
あの妙な柄から、黒い槌が生成されたのを……!
「【フィルズ・キッチン】……!!」
上等だ!!
来やがれ!!!
「《レードル》!!!」
そして、奴の柄の先に…………!!!
『黒いおたま』が、生成された…………
「………………………………………」
俺は……いや、俺を含めた周りの生徒達は………
皆一様に言葉を失った…………
反応に困るという意味で………………………
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
「はあああああ!!」
「くっ!!」
――ガキィィン!!!
クソっ!!身体が弾かれそうだ!!
奴の『おたま』が俺の氷剣に触れるたび、凄い衝撃が襲ってくる!!
一体どういう原理なのか、あの『おたま』は何かに当たるととんでもなく重量を増しやがる!
「でやあああ!!」
「甘ぇんだよっ!!」
―――ギャリリィ!!
「うあっ!!」
だが、奴自身はそれ程戦闘に慣れているわけじゃない。
俺は氷剣で『おたま』の衝撃を受け流し、反撃に転じる!!
「おらぁ!!」
―――ブォン!!
「くぅっ!!」
―――ヒュッ!!
ちぃっ!中々すばしっこい奴だ!
奴はギリギリで俺の剣を躱し、『おたま』を構え直す!!
そして、慎重になったのか、迂闊には飛び込んでこなくなった。
奴は『おたま』を正面に構え、じりじりとこちらに近付き、『おたま』を叩きこむチャンスを伺っている。
こちらも奴の『おたま』に細心の注意を払い、『おたま』の動きをしっかりと見極め―――
「あのさァアアアアアアアアアアア!!!!!
スッゲェ気ぃ抜けるんですけどォオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!」
――バッキャアアアアアアアン!!!!!!
氷剣を爆散させた俺は頭を抱えて絶叫した…………
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
「なんでだよ!?!?
なんで『おたま』なんだよオオオオオ!!!」
「えっ!?ごっ、ごめんなさい!!
『フライ返し』の方が良かったでしょうか!」
「そうじゃねぇよ!!!!
そうじゃねぇんだよォオオオオオ!!!!」
ヴィガーは我を忘れフィルの胸ぐらを掴んでガクガクと揺すっていた……
「ヴィガー、試合放棄により勝者、フィル」
そしてそんな光景をまるで気にしないコーディスの宣言が淡々と響き渡った。
「きゅるーー!!
やったねフィル!!
ボクの協力のおかげだねーー!!」
「流石ですわね、フィル。
わたくしの助力の元、見事勝利を収めて見せましたわね」
「………………………………………」
「………………………………………」
―――ズォオオオオオオ!!!
―――バシュゥゥッッッ!!!
「『おたま』にやられる相手の気持ちも考えろよォオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!」
「わ、わ、わ、分かりました!!!
次はもっと真面目な形考えます!!!
えっと、えっと!!
あ、そうだ!!
『しゃもじ』はどうでしょう!!!」
「大概にしとけよテメェエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ!!!!!!!!!」
――ピキキキ……!
「おおっ!スゲーなお前!
氷で剣を造れんのかよ!」
「へへっ……!
代々氷魔法が得意系統でな……!
まだこの氷剣を維持するのに結構な集中力が必要なんだけど……
コイツは中々の強度があるんだぜ……!」
そう、俺はこの力で絶対に『勇者』になる!!
その為にも、こんな模擬戦で躓いてなんていられねぇ!
誰が相手だろうが、俺の《アイス・ブレード》で薙ぎ倒してやる!!
「では、次。
ヴィガー=マックスとフィル=フィール」
「来たか!!
相手は……!
あの何かと目立ってるガキか………!」
フィル=フィール。
入学の日からあり得ねぇ低『魔力値』だとかあの黒い魔物との知り合いだとかで話題に事欠かねぇ奴だったが……
見た目はただのチビで実力は大した事ねぇ、ってのが昨日までの認識だった……
だが、今日の午前の学園活動……アレでアイツへの評価は一転したと言ってもいい……!
詳細は不明だが、アイツは『エクシードスキル』に目覚めたらしく、あの時見たのもそれによるものらしい……
周りへと目をやると、どうやら他の生徒達もアイツへの興味が隠し切れない、という様子だった。
へっ……!面白れぇじゃねぇか……!!
どんな訳分かんねぇ奴が相手だろうが……俺は絶対に負けねぇ!!
「では双方、用意」
コーディス先生の声と共に、そのソイツが俺の前に立つ。
「おい、言うまでもねぇけどよ、
俺は負けるつもりはねぇぞ!」
「は、はいっ!
よろしくお願いします!!」
ソイツは緊張した面持ちで気合を入れるように両腕を引き締めて返事をした。
その姿は如何にも頼りないその辺のガキ、と言った印象だが……
俺は油断なんかしねぇぞ!
全力でテメェを叩き潰してやるよ!!
「それでは……はじめ!!」
そして、コーディス先生の宣言と共に――
「《バスター・アイス・ブレードォ》!!」
――ピキキキャキャキャ!!!
俺の構えた両手に、巨大な氷剣が生成される!
出し惜しみはしねぇ!!
俺の出せる最大の魔法で相手をしてやる!!
俺の魔法を見たソイツは、一瞬気圧されたようだったが……
すぐに顔つきを険しくし、妙な木片を取り出した。
あれは……!
午前の活動の時に、俺は見た!
あの妙な柄から、黒い槌が生成されたのを……!
「【フィルズ・キッチン】……!!」
上等だ!!
来やがれ!!!
「《レードル》!!!」
そして、奴の柄の先に…………!!!
『黒いおたま』が、生成された…………
「………………………………………」
俺は……いや、俺を含めた周りの生徒達は………
皆一様に言葉を失った…………
反応に困るという意味で………………………
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
「はあああああ!!」
「くっ!!」
――ガキィィン!!!
クソっ!!身体が弾かれそうだ!!
奴の『おたま』が俺の氷剣に触れるたび、凄い衝撃が襲ってくる!!
一体どういう原理なのか、あの『おたま』は何かに当たるととんでもなく重量を増しやがる!
「でやあああ!!」
「甘ぇんだよっ!!」
―――ギャリリィ!!
「うあっ!!」
だが、奴自身はそれ程戦闘に慣れているわけじゃない。
俺は氷剣で『おたま』の衝撃を受け流し、反撃に転じる!!
「おらぁ!!」
―――ブォン!!
「くぅっ!!」
―――ヒュッ!!
ちぃっ!中々すばしっこい奴だ!
奴はギリギリで俺の剣を躱し、『おたま』を構え直す!!
そして、慎重になったのか、迂闊には飛び込んでこなくなった。
奴は『おたま』を正面に構え、じりじりとこちらに近付き、『おたま』を叩きこむチャンスを伺っている。
こちらも奴の『おたま』に細心の注意を払い、『おたま』の動きをしっかりと見極め―――
「あのさァアアアアアアアアアアア!!!!!
スッゲェ気ぃ抜けるんですけどォオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!」
――バッキャアアアアアアアン!!!!!!
氷剣を爆散させた俺は頭を抱えて絶叫した…………
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
「なんでだよ!?!?
なんで『おたま』なんだよオオオオオ!!!」
「えっ!?ごっ、ごめんなさい!!
『フライ返し』の方が良かったでしょうか!」
「そうじゃねぇよ!!!!
そうじゃねぇんだよォオオオオオ!!!!」
ヴィガーは我を忘れフィルの胸ぐらを掴んでガクガクと揺すっていた……
「ヴィガー、試合放棄により勝者、フィル」
そしてそんな光景をまるで気にしないコーディスの宣言が淡々と響き渡った。
「きゅるーー!!
やったねフィル!!
ボクの協力のおかげだねーー!!」
「流石ですわね、フィル。
わたくしの助力の元、見事勝利を収めて見せましたわね」
「………………………………………」
「………………………………………」
―――ズォオオオオオオ!!!
―――バシュゥゥッッッ!!!
「『おたま』にやられる相手の気持ちも考えろよォオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!」
「わ、わ、わ、分かりました!!!
次はもっと真面目な形考えます!!!
えっと、えっと!!
あ、そうだ!!
『しゃもじ』はどうでしょう!!!」
「大概にしとけよテメェエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ!!!!!!!!!」
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