45 / 173
第3章
第4話 貴女の『力』と僕の『力』
しおりを挟む
試合が終わった後も僕はあんぐりと口を開けたまま、何が起きたのかさっぱり分からないままでいた……
「アリスリーチェ様は魔法使用における3要素の内、イメージ力、形成力にとても秀でている、というのは既にお話ししましたね?」
そんな僕に向かってファーティラさんが解説をしてきてくれた。
「そのお力はご自身の身の内だけに留まらず、接触を通じて他者の魔法にまで干渉することが可能なのです」
「た……他者の魔法に干渉……!?」
それって……!?
「他者の発動した魔法がそのお身体に触れさえすれば、アリスリーチェ様はその魔法を霧散させることも……その魔法の制御をアリスリーチェ様自らが行うことすらも可能ということです」
そ……そんなのアリなの……!?
「で、でもそれって、魔法をパンとすると……出来上がったはずのパンを小麦粉と水に戻すようなものじゃ……
そんなことって……」
「中々ユニークな例えですね。
ですが、少し違います。
そうですね……その例えでいうなら……
パンであれば、そのまま食べるのではなく『パン粉』という材料にして新たな料理を作る、ということが可能ですよね?」
「えっ……」
「アリスリーチェ様は、その優れたイメージ力と形成力によって相手の魔法を新たに造り直すことが出来るのです」
「な………あ…………」
もはや僕は絶句するしかない………
「これこそがアリスリーチェ様の『エクシードスキル』……
【マジック・ドミネイト】でございます」
「ええっ!?『エクシードスキル』!?」
「ええ、今朝方学園から通達がありました。
この『力』は単なる『魔法の才能』という枠組みには収まらない、として、正式にアリスリーチェ様の『エクシードスキル』だと認められたのです」
凄い……!
でも、この模擬戦を見せられればそれも納得だ……!
「ふふ……如何でしたかしら?フィル」
「あっ!アリーチェさん!」
アリーチェさんが試合の疲れなんてまるで感じさせない様子でこちらへと声をかけてきた。
「アリーチェさん、凄かったです!
でも、身体の方は大丈夫なんですか?」
「ご心配なく。
わたくしからしてみれば歩くことなんかより魔力操作の方がよっぽど楽な作業でありましてよ」
アリーチェさんはウォッタさんからごく自然にティーカップを受け取り、いつもと全く変わらぬ様子で優雅に紅茶を嗜んでいた。
「言い訳のように聞こえてしまうでしょうが……
わたくしが万全の状態でさえあれば、あの痴れ者……レディシュ=カーマインの高等爆発魔法だって防ぎきることが出来たのですよ」
「はええ……」
改めて、アリーチェさんの実力というものを思い知ってしまった……
「それにしても、学園で一番『勇者』に近い人を倒しちゃったんですから……
アリーチェさんが言っていた究極至高の『勇者』にもう既にあと一歩って所まで近づいちゃってるんじゃ……」
「それは流石に言い過ぎですわね。
彼女も仰っていた通り、今回はわたくしに有利過ぎる形式の試合でしたわ。
制限なしの戦いとなればああはいかないでしょう。
それに……」
アリーチェさんはちらり、と横目を向く。
そこには先程まで戦っていた相手、キャリーさんがいた。
「彼女も、まだまだ本気を見せてはいなかったでしょうから」
「そ、そうなんですか?」
あれだけの魔法を使って見せて、本気じゃなかった……?
「あの方はまだまだ強力な魔法を隠し持っていましてよ。
周りの生徒達の事を考えなければ、もっと色々な戦いようがあったでしょうね。
わたくしは大幅なハンデを貰って勝利を拾わせてもらったようなものですわ。
このような結果で己惚れることは、わたくしには到底できかねますわ」
「はぁー……」
なんとも謙虚……いや、彼女にとっては謙遜でも何でもない、単なる事実でしかないのだろう。
全く持って、感嘆の溜息をつくばかりだった。
「ホント、ただただ尊敬するばかりです。
僕もアリーチェさんみたいに――」
「フィーーーールーーーーーー!!!!!」
―――ドッパンッ!
「うぐおあっ!!」
アリーチェさんとの会話を断ち切る様にキュルルが思いっきり僕に抱き着いてきた。
いや抱き着くというか、傍から見たら巨大なスライムに取り込まれているように見えていることだろう……
そして会話に割り込まれたアリーチェさんは眉をひそめ、見るからに不機嫌な様子になった……
「ねーねー!!ボクも勝ったんだよー!?
見てなかったのーー!?
巻貝女だけじゃなくボクの勝負も見てよー!!」
「ご、ごめんねキュルル……
あの、でもさ……
どんな感じの勝負内容だった?」
「《ダイナミック・マリオネット》で圧倒!!
勝負が始まって5秒で決着しましたー!!」
「うーん、この塩試合製造機」
キュルルは実に無邪気に無慈悲だった……
「一応魔法を使っているとはいえ、殆ど自らの肉体による物理的圧殺であるその技を『魔法』のみの模擬戦、というルールに適用していいか微妙な所な気もしますけどね」
「ああん!?」
そんな僕達の様子を横目にアリーチェさんがティーカップを口に付けながら話しかけて来た。
そしてキュルルは即座に反応する……
「先生方が何も言わない所を見ると問題は無いようですけどね。
まあ、あまりルールをガチガチに固めてしまってはまだ魔法に慣れていない生徒が不利になってしまう、という配慮によるものなのでしょうが……
わたくしに負けず劣らずアナタに有利なルールとなってしまっているのは否めませんわね」
「おいキュら巻貝!!!
ボクの勝利にケチつける気かぁ!?
上等だキュらぁ!!だったら次はお前を相手してやらぁ!!
《ダイ・マリ》無しでやってやんぞぉ!?」
「おやおや、よろしいのですかぁ!?
フィルと戦う前から『魔王』討伐が成し遂げられてしまわれますわよぉ!?」
「ああああん!!??」
「あのぉー!!お2人とも落ち着いてぇー!!」
この2人はもうどうしても口を開けば喧嘩ばかりだなぁ……
でも学園活動初日の朝の時みたいな『得体のしれない魔物』扱いよりかはマシなのかなぁ……
「ふぅ……
それはともかくフィル。
貴方はどのように戦うおつもりで?」
「あ、はい、それは勿論……」
僕は剣身の無い、柄だけの木剣を取り出し……
「【フィルズ・キッチン】……
《キッチンナイフ》!」
その言葉と共に、柄の先に『黒い包丁』が形成された。
「これを使って戦う、ということになるでしょうね。
一応これには質量操作魔法がかかりますし、『魔法を使った武器』って扱いになるはずでしょうし」
「その物体の精製自体が『魔法』のように見えますけど、実際は『体質』を応用したものなのですのよね……」
アリーチェさんにも僕の特殊な『体質』については説明済みだ。
「きゅるっ!やっぱり凄いよね!!
フィルの【ザ・フォース・オブ・オニキス】!」
「ええ、とても素晴らしいですわ。
フィルの【ガーデン・ガード・スピリット】は」
キュルルは笑顔のままアリーチェさんの頭を狼を模した腕で噛みつき、
アリーチェさんは笑顔のままキュルルの頬に人差し指から放つ水流を浴びせる……
いやもうこの2人実は仲いいんじゃ?
「ただ一つ悩みがあって……」
「「悩み?」」
お互いに頬を引っ張り合っていたキュルルとアリーチェさんが同時に声を上げる。
「威力があり過ぎるんですよね、コレ……
特に《ミートハンマー》はヤバ過ぎです。
午前の活動の後も何度か試してみたんですけど……
とても人間相手に叩きつけられる代物じゃなりません……」
あの『黒鋼岩』を完全に粉砕できる威力……
あれは間違いなく数トン単位の衝撃だっただろう……
「昨日のレディシュさんとの戦い……
もし彼がオリハルコンの鎧を着込んでいなかったらどうなっていたのか……
想像するだに恐ろしいです……」
「衝撃であれだけ吹っ飛ぶほどでしたからね……」
改めて、あの時僕はかなり危険な真似をしていた自覚が湧いてきた。
「きゅる、その黒いのの重さって変えられないの?」
「お恥ずかしながら……」
そう、この黒い生成物……キュルルの欠片の質量を自由に操ることは出来なかった。
どうやらこの物体の質量の増加量は何かに当たった時の速度に比例するようだった。
つまり、手加減する為には非常にゆっくり降らなければいけないわけだ。
ただ、この黒い生成物は通常時はあまりに軽すぎた。
ほんの少し振っただけでそれなりの速度が出てしまうのだ。
そもそも戦いの最中にのろのろと降るわけにもいかない。
総じて、対人戦闘にはどうにも使い勝手が悪いのであった。
「改めて考えてみると……
折角『力』に目覚めたのに、僕は全然使いこなせていないんだな……
全く情けないや……」
「きゅるっ!そんなことないよ!
フィルのその剣は凄いんだから自信もってよ!
あ、剣じゃなくて包丁だっけ」
「ふむ……
包丁……それに、肉たたき……」
「?」
キュルルの何気ない言葉から、アリーチェさんは何か思案しているようだった。
「思ったのですけど、フィルはどのような形を試してみたのですか?」
「え?えっと、武器として使うことを考えたら……
この《キッチンナイフ》と《ミートハンマー》が無難かな、って思いましたけど……」
「魔法というものは、どれだけ具体的なイメージが出来るかによって威力が大幅に増減するものですわ。
時に凶器として使用されることもある包丁……
『叩きつける』という、ある意味暴力的なイメージの肉たたき……
それらはあからさまに『武器』という印象を受ける形だからこそ凄まじい威力となる、と言うことは考えられませんか?」
えっと、それはつまり……
「『武器』としての印象を受けない、もっと別の形状の調理器具なら威力は抑えられる……?」
「試してみる価値はあると思いますわ」
「きゅるっ!やってみようよ!
僕も試すの手伝うよ!フィル!」
こうして、僕の【フィルズ・キッチン】の対人用形状の模索が始まったのだった。
「アリスリーチェ様は魔法使用における3要素の内、イメージ力、形成力にとても秀でている、というのは既にお話ししましたね?」
そんな僕に向かってファーティラさんが解説をしてきてくれた。
「そのお力はご自身の身の内だけに留まらず、接触を通じて他者の魔法にまで干渉することが可能なのです」
「た……他者の魔法に干渉……!?」
それって……!?
「他者の発動した魔法がそのお身体に触れさえすれば、アリスリーチェ様はその魔法を霧散させることも……その魔法の制御をアリスリーチェ様自らが行うことすらも可能ということです」
そ……そんなのアリなの……!?
「で、でもそれって、魔法をパンとすると……出来上がったはずのパンを小麦粉と水に戻すようなものじゃ……
そんなことって……」
「中々ユニークな例えですね。
ですが、少し違います。
そうですね……その例えでいうなら……
パンであれば、そのまま食べるのではなく『パン粉』という材料にして新たな料理を作る、ということが可能ですよね?」
「えっ……」
「アリスリーチェ様は、その優れたイメージ力と形成力によって相手の魔法を新たに造り直すことが出来るのです」
「な………あ…………」
もはや僕は絶句するしかない………
「これこそがアリスリーチェ様の『エクシードスキル』……
【マジック・ドミネイト】でございます」
「ええっ!?『エクシードスキル』!?」
「ええ、今朝方学園から通達がありました。
この『力』は単なる『魔法の才能』という枠組みには収まらない、として、正式にアリスリーチェ様の『エクシードスキル』だと認められたのです」
凄い……!
でも、この模擬戦を見せられればそれも納得だ……!
「ふふ……如何でしたかしら?フィル」
「あっ!アリーチェさん!」
アリーチェさんが試合の疲れなんてまるで感じさせない様子でこちらへと声をかけてきた。
「アリーチェさん、凄かったです!
でも、身体の方は大丈夫なんですか?」
「ご心配なく。
わたくしからしてみれば歩くことなんかより魔力操作の方がよっぽど楽な作業でありましてよ」
アリーチェさんはウォッタさんからごく自然にティーカップを受け取り、いつもと全く変わらぬ様子で優雅に紅茶を嗜んでいた。
「言い訳のように聞こえてしまうでしょうが……
わたくしが万全の状態でさえあれば、あの痴れ者……レディシュ=カーマインの高等爆発魔法だって防ぎきることが出来たのですよ」
「はええ……」
改めて、アリーチェさんの実力というものを思い知ってしまった……
「それにしても、学園で一番『勇者』に近い人を倒しちゃったんですから……
アリーチェさんが言っていた究極至高の『勇者』にもう既にあと一歩って所まで近づいちゃってるんじゃ……」
「それは流石に言い過ぎですわね。
彼女も仰っていた通り、今回はわたくしに有利過ぎる形式の試合でしたわ。
制限なしの戦いとなればああはいかないでしょう。
それに……」
アリーチェさんはちらり、と横目を向く。
そこには先程まで戦っていた相手、キャリーさんがいた。
「彼女も、まだまだ本気を見せてはいなかったでしょうから」
「そ、そうなんですか?」
あれだけの魔法を使って見せて、本気じゃなかった……?
「あの方はまだまだ強力な魔法を隠し持っていましてよ。
周りの生徒達の事を考えなければ、もっと色々な戦いようがあったでしょうね。
わたくしは大幅なハンデを貰って勝利を拾わせてもらったようなものですわ。
このような結果で己惚れることは、わたくしには到底できかねますわ」
「はぁー……」
なんとも謙虚……いや、彼女にとっては謙遜でも何でもない、単なる事実でしかないのだろう。
全く持って、感嘆の溜息をつくばかりだった。
「ホント、ただただ尊敬するばかりです。
僕もアリーチェさんみたいに――」
「フィーーーールーーーーーー!!!!!」
―――ドッパンッ!
「うぐおあっ!!」
アリーチェさんとの会話を断ち切る様にキュルルが思いっきり僕に抱き着いてきた。
いや抱き着くというか、傍から見たら巨大なスライムに取り込まれているように見えていることだろう……
そして会話に割り込まれたアリーチェさんは眉をひそめ、見るからに不機嫌な様子になった……
「ねーねー!!ボクも勝ったんだよー!?
見てなかったのーー!?
巻貝女だけじゃなくボクの勝負も見てよー!!」
「ご、ごめんねキュルル……
あの、でもさ……
どんな感じの勝負内容だった?」
「《ダイナミック・マリオネット》で圧倒!!
勝負が始まって5秒で決着しましたー!!」
「うーん、この塩試合製造機」
キュルルは実に無邪気に無慈悲だった……
「一応魔法を使っているとはいえ、殆ど自らの肉体による物理的圧殺であるその技を『魔法』のみの模擬戦、というルールに適用していいか微妙な所な気もしますけどね」
「ああん!?」
そんな僕達の様子を横目にアリーチェさんがティーカップを口に付けながら話しかけて来た。
そしてキュルルは即座に反応する……
「先生方が何も言わない所を見ると問題は無いようですけどね。
まあ、あまりルールをガチガチに固めてしまってはまだ魔法に慣れていない生徒が不利になってしまう、という配慮によるものなのでしょうが……
わたくしに負けず劣らずアナタに有利なルールとなってしまっているのは否めませんわね」
「おいキュら巻貝!!!
ボクの勝利にケチつける気かぁ!?
上等だキュらぁ!!だったら次はお前を相手してやらぁ!!
《ダイ・マリ》無しでやってやんぞぉ!?」
「おやおや、よろしいのですかぁ!?
フィルと戦う前から『魔王』討伐が成し遂げられてしまわれますわよぉ!?」
「ああああん!!??」
「あのぉー!!お2人とも落ち着いてぇー!!」
この2人はもうどうしても口を開けば喧嘩ばかりだなぁ……
でも学園活動初日の朝の時みたいな『得体のしれない魔物』扱いよりかはマシなのかなぁ……
「ふぅ……
それはともかくフィル。
貴方はどのように戦うおつもりで?」
「あ、はい、それは勿論……」
僕は剣身の無い、柄だけの木剣を取り出し……
「【フィルズ・キッチン】……
《キッチンナイフ》!」
その言葉と共に、柄の先に『黒い包丁』が形成された。
「これを使って戦う、ということになるでしょうね。
一応これには質量操作魔法がかかりますし、『魔法を使った武器』って扱いになるはずでしょうし」
「その物体の精製自体が『魔法』のように見えますけど、実際は『体質』を応用したものなのですのよね……」
アリーチェさんにも僕の特殊な『体質』については説明済みだ。
「きゅるっ!やっぱり凄いよね!!
フィルの【ザ・フォース・オブ・オニキス】!」
「ええ、とても素晴らしいですわ。
フィルの【ガーデン・ガード・スピリット】は」
キュルルは笑顔のままアリーチェさんの頭を狼を模した腕で噛みつき、
アリーチェさんは笑顔のままキュルルの頬に人差し指から放つ水流を浴びせる……
いやもうこの2人実は仲いいんじゃ?
「ただ一つ悩みがあって……」
「「悩み?」」
お互いに頬を引っ張り合っていたキュルルとアリーチェさんが同時に声を上げる。
「威力があり過ぎるんですよね、コレ……
特に《ミートハンマー》はヤバ過ぎです。
午前の活動の後も何度か試してみたんですけど……
とても人間相手に叩きつけられる代物じゃなりません……」
あの『黒鋼岩』を完全に粉砕できる威力……
あれは間違いなく数トン単位の衝撃だっただろう……
「昨日のレディシュさんとの戦い……
もし彼がオリハルコンの鎧を着込んでいなかったらどうなっていたのか……
想像するだに恐ろしいです……」
「衝撃であれだけ吹っ飛ぶほどでしたからね……」
改めて、あの時僕はかなり危険な真似をしていた自覚が湧いてきた。
「きゅる、その黒いのの重さって変えられないの?」
「お恥ずかしながら……」
そう、この黒い生成物……キュルルの欠片の質量を自由に操ることは出来なかった。
どうやらこの物体の質量の増加量は何かに当たった時の速度に比例するようだった。
つまり、手加減する為には非常にゆっくり降らなければいけないわけだ。
ただ、この黒い生成物は通常時はあまりに軽すぎた。
ほんの少し振っただけでそれなりの速度が出てしまうのだ。
そもそも戦いの最中にのろのろと降るわけにもいかない。
総じて、対人戦闘にはどうにも使い勝手が悪いのであった。
「改めて考えてみると……
折角『力』に目覚めたのに、僕は全然使いこなせていないんだな……
全く情けないや……」
「きゅるっ!そんなことないよ!
フィルのその剣は凄いんだから自信もってよ!
あ、剣じゃなくて包丁だっけ」
「ふむ……
包丁……それに、肉たたき……」
「?」
キュルルの何気ない言葉から、アリーチェさんは何か思案しているようだった。
「思ったのですけど、フィルはどのような形を試してみたのですか?」
「え?えっと、武器として使うことを考えたら……
この《キッチンナイフ》と《ミートハンマー》が無難かな、って思いましたけど……」
「魔法というものは、どれだけ具体的なイメージが出来るかによって威力が大幅に増減するものですわ。
時に凶器として使用されることもある包丁……
『叩きつける』という、ある意味暴力的なイメージの肉たたき……
それらはあからさまに『武器』という印象を受ける形だからこそ凄まじい威力となる、と言うことは考えられませんか?」
えっと、それはつまり……
「『武器』としての印象を受けない、もっと別の形状の調理器具なら威力は抑えられる……?」
「試してみる価値はあると思いますわ」
「きゅるっ!やってみようよ!
僕も試すの手伝うよ!フィル!」
こうして、僕の【フィルズ・キッチン】の対人用形状の模索が始まったのだった。
0
お気に入りに追加
10
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!


シェイドシフト〜滅びかけた世界で暗躍する〜
フライハイト
ファンタジー
ある日地球に《神裁の日》が訪れる。
日本の政府が運営する研究所ではとある物質の研究がなされていた。
だがある日その物質はとある理由で暴走し地球を飲み込んでしまう。
何故、暴走したのか?その裏には《究明機関》という物質を悪用しようとする組織の企みがあったからだった。
神裁の日、組織の連中は研究所から研究データを盗もうとするがミスを犯してしまった。
物質に飲み込まれた地球は急な環境変化で滅びの一途を辿ったと思われたが、
人類、そして他の生物たちは適応し逆にその物質を利用して生活をするようになった。
だが、その裏ではまだ《究明機関》は存在し闇で動いている。
そんな中、その研究所で研究者をやっていた主人公は神判の日に死んだと思われたが生と死の狭間で神近しい存在《真理》に引き止められ《究明機関》を壊滅させるため神裁の日から千年経過した地球に転生し闇から《究明機関》を壊滅させるため戦う。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス
R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。
最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる