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第3話 現実
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甘恋のヒロインは、名前を自由に決めることができる。
自分の名前にすることで、あたかも自分がイケメンたちと恋愛をしている雰囲気を味わえるのだ。
といっても、私はデフォルト名であるエルネスタから変えていないのだが。
だからといって、彼女がエルネスタという名前である可能性はない。
「と思ったんだけどな~」
結局、あれ以降大きな問題は起きず、無事にメレディスの屋敷まで帰って? くる事ができた。
そして、あのダンスホールには"甘恋"の攻略キャラクターがほぼ全員揃っており、顔ぶれを見ることができた。
私の処遇に関して主要キャラクターたちが話し合っている間、私はと言えば周りの光景や情報を視界に入れることだけを行っていた。
この現状が夢だと断言してもおかしくない。
だが、これは夢ではないのだと告げてくる私も居た。
だから……だから私は考えるのを放棄して寝ることにした。
「豪邸のベッド気持ちいい」
「知らない天井だ」
目が覚めて、夢ではないことが分かった。
昨日は考えるのを放棄して寝てしまったが、起きて夢から覚めていない現状を認識した私は思った。
「やっぱり夢じゃないの!?」
痛覚も嗅覚も聴覚も、はっきりと機能している。
それらが証明するように、自分は乙女ゲームの世界にキャラクターとして生きている。
「これからどうしよう……」
自室のベッドの上で、呆然と呟いた。
これが現実だと分かったものの、何をすれば良いのか。
取り敢えず、このままでは埒が明かないので私は部屋を出て屋敷内を歩き回ることにした。
さすがは公爵家の屋敷といった所か。
こんな状況にならなくては、一生縁のなかっただろう豪邸を私は歩いている。
窓の外を見渡せばそこには日本とは違い、おしゃれチックで美しい街並みが広がってた。
もちろん、日本の街並みも嫌いじゃない。長い時を共にしてきたのだから当然だ。
だが、見慣れない建物の作りや雲ひとつ無い状況での街の明るさは、感嘆に値する。
「このままだったら、ふわふわしたこの意識も変えていかなくちゃいけないかな……」
本当に見知らぬ世界に来たという事を実感し、身体が僅かにこわばった。
自分の名前にすることで、あたかも自分がイケメンたちと恋愛をしている雰囲気を味わえるのだ。
といっても、私はデフォルト名であるエルネスタから変えていないのだが。
だからといって、彼女がエルネスタという名前である可能性はない。
「と思ったんだけどな~」
結局、あれ以降大きな問題は起きず、無事にメレディスの屋敷まで帰って? くる事ができた。
そして、あのダンスホールには"甘恋"の攻略キャラクターがほぼ全員揃っており、顔ぶれを見ることができた。
私の処遇に関して主要キャラクターたちが話し合っている間、私はと言えば周りの光景や情報を視界に入れることだけを行っていた。
この現状が夢だと断言してもおかしくない。
だが、これは夢ではないのだと告げてくる私も居た。
だから……だから私は考えるのを放棄して寝ることにした。
「豪邸のベッド気持ちいい」
「知らない天井だ」
目が覚めて、夢ではないことが分かった。
昨日は考えるのを放棄して寝てしまったが、起きて夢から覚めていない現状を認識した私は思った。
「やっぱり夢じゃないの!?」
痛覚も嗅覚も聴覚も、はっきりと機能している。
それらが証明するように、自分は乙女ゲームの世界にキャラクターとして生きている。
「これからどうしよう……」
自室のベッドの上で、呆然と呟いた。
これが現実だと分かったものの、何をすれば良いのか。
取り敢えず、このままでは埒が明かないので私は部屋を出て屋敷内を歩き回ることにした。
さすがは公爵家の屋敷といった所か。
こんな状況にならなくては、一生縁のなかっただろう豪邸を私は歩いている。
窓の外を見渡せばそこには日本とは違い、おしゃれチックで美しい街並みが広がってた。
もちろん、日本の街並みも嫌いじゃない。長い時を共にしてきたのだから当然だ。
だが、見慣れない建物の作りや雲ひとつ無い状況での街の明るさは、感嘆に値する。
「このままだったら、ふわふわしたこの意識も変えていかなくちゃいけないかな……」
本当に見知らぬ世界に来たという事を実感し、身体が僅かにこわばった。
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