【完】死神にウェディングドレスを

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それを聞いてショックだった・・・。
妙子の時は不思議と受け止めようとすることが出来たのに・・・。
妙子はとても良い子で・・・。
とても、とても、良い子で・・・。



あんな子だったら、光一を幸せにしてくれると思った。
あんな子と一緒だったら、光一が幸せになれると思った。



そして、私がヨボヨボのババアになって死ぬ時・・・。
光一と2人で話したいとお願いしても、2人で話すことを許してくれると思っていた・・・。



でも、そんな妙子に彼氏が出来てしまった・・・。



そして、光一は年下の可愛い彼女が出来たと知って・・・。



私は、知らなくて・・・。



“お母さん”でも、私は光一に彼女が出来たなんて知らなくて・・・。



確かに、帰ってこなくなっていた・・・。
光一は、家に帰ってこなくなっていた・・・。



どこに泊まっているのか気になっていた。
でも、“お母さん”は社会人の息子に口煩くなんて聞けなくて・・・。



そして、知ってしまった・・・。
年下の可愛い彼女の所に泊まっているのだと、知ってしまった・・・。



なんだか、とてもショックで・・・。
とてもとても、ショックで・・・。



いなくなるのだと、分かった・・・。



光一は、いなくなるのだと分かった・・・。



それで良いのだとも思った・・・。



男の子はそうやって成長していくものだと、板東社長からも言われていたから・・・。
反抗期の光一の相談をした時、何度もそう励まされたから・・・。



そうやって成長していって、お父さんとお母さんの家を出て、自分の家庭を作れる男になると・・・。



そう、励まされていたから・・・。



だから、いなくなるのだと分かった・・・。



光一はあの家を出て、新しい家庭を作る・・・。
私がいる家を出て、奥さんになった子と新しい家庭を作る・・・。



そこに私はいない・・・。



“お母さん”の私は、そこにいられない・・・。



1年に1回くらいしか会えなくなって、いつかそれも会えなくなることもあるかもしれない・・・。



ヨボヨボのババアになって死ぬまで、あと何年掛かるのか・・・。



ヨボヨボのババアになって死ぬ時、光一は本当に見届けに来てくれるのか・・・。



あの家を出て、新しい家庭を作った光一が・・・。



“お母さん”に彼女が出来たことも言わない、息子としてちゃんと成長出来ている光一が・・・



ヨボヨボのババアになった“お母さん”に・・・



わざわざ会いに来てくれるのか・・・。



いなくなる・・・。



私のことを守ってくれる光一は、奥さんとその子どもを守る為にいなくなる・・・。



もう、いなくなってしまう・・・。



こうやっていつの間にか、いなくなってしまう・・・。



私に残されたのは、小さな約束だけ・・・。



ずっと昔にした、光一との小さな約束だけ・・・。



それだけ・・・。



果たされるかも分からない、小さな約束だけ・・・。



そんな自分に、ショックを受けた・・・。



息子にとっての“お母さん”に、ショックを受けた・・・。