【完】死神にウェディングドレスを

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桃子side......



“桃子は“女”でもねーよ。
“お姉ちゃん”だろ？”



光一の言葉が頭の中で響く・・・。



“血が繋がってない姉弟は、結婚出来るからな。”



そんな言葉が響き渡る・・・。



そして、蘇る・・・。



蘇ってくる・・・。



その人の姿を見て、その人の言葉を聞いて、私は口を開く・・・。



「理菜さん・・・。」



光一と理子のお母さんの名前を・・・。
そして、自分の大切な家族に私を入れてくれようとした凄い人の名前を・・・。



凄い人・・・。
憧れの人の名前・・・。



憧れて、そして、理想の・・・



“理想の私のお母さん”の名前を・・・。



「母ちゃんが言ってたな、何度も何度も。」



私の上に股がり、光一がそう言った。



「俺、あの時5歳だぞ？
それなのに8歳も上のババアを嫁に連れてこいとか、母ちゃんアホだろ。」



光一の言葉に私は笑った・・・。
笑うしかないから、私は笑った・・・。
苦しくなる胸を感じながら、笑った・・・。



「あんなの覚えてたの・・・？
理菜さん、軽い気持ちで言っただけだよ・・・。」



「そうだな、軽い気持ちだっただろうな。
軽い気持ちで何度も何度も言ってたんだろうな、死ぬ直前まで何度も何度も。」



光一からそう言われ、私は頷く。
泣きながら、何度も小さく頷く。



そんな私に笑いながら、光一は手で私の涙を拭いていく。
きっと鼻水も出ているのに拭いていく。



「汚いよ・・・。」



「汚くねーよ。
母ちゃんの遺言が俺にちゃんと残ってるからな。
ちゃんと残ってるから、俺は“お姉ちゃん”に恋をしたよ。
8歳もババアの“お姉ちゃん”のことを大好きになったよ、女として。」