【完】死神にウェディングドレスを

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6-12

小学校5年、終業式・・・。



社宅の裏にある小さな公園。
夜9時、黒い地面に倒れた女・・・妙子を見下ろしながら笑った。



俺が笑った時、妙子がゆっくりと起き上がった。
いつもはすぐに起き上がるのに、今日はゆっくりと。
たまに、こいつはこうなる。



「数時間前より弱くなってるな！！！
前歯欠けて流石に凹んでるのかよ！？」



空手着の泥を払うことなくまた俺に構えてきた妙子にそう言う。
数時間前、学校の校庭でこいつをぶん投げたら受け身を失敗した妙子。
それで前歯が折れた。



手加減なんて出来ないくらいに、こいつは日に日に強くなりやがる。
俺と喧嘩する直前、こいつは他の男どもと笑いながら喧嘩を繰り広げ一瞬にして全員を倒した。



守る為に・・・。



岩渕を、守る為に・・・。



“守る為に、戦う。”



こいつを見ていると、じいちゃんが空手道場で教えている精神を思い出す。
空手着を着ているからかもしれない。
そこに真っ白の帯を締めていて、こんなに強いのにまだ白帯なことには笑うしかない。



俺も白帯のまま空手を辞めたので、喧嘩しか出来ないようなこいつが空手を習っていることにも笑える。



「そうだ、前歯欠けてたんだった・・・。」



妙子がそんなことを呟き、俺は大笑いした。