【完】可哀想な皇太子殿下と没落ヒヒンソウ聖女は血の刻印で結ばれる

Bu-cha

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ソソがそう言って・・・



「ソソ・・・っ!!!」



チチに剣を振り下ろした。



私が止めた声を無視し、ソソはチチに何度も剣を振り下ろしていく。
それにチチは大きく笑いながら剣で受けていく。



「強くなったな、ソソ!!」



「・・・っ何で!!!
何でルルが生きていることを報告してこなかったんだよ・・・!!」



「そんなことをしたらルルのことを思い出して迎えに来るかもしれないだろ?」



「迎えに行くだろ・・・!!
迎えに行くに決まってるだろ・・・!!」



「お前に他の女が出来ているようだとクレドから聞いたからな。
“月のモノ”が来ていないルルが生きていると知らせるという判断は最善ではかった。」



「他の女なんて出来ていない・・・!!
俺はずっとルルのことが好きだった・・・!!
好きで、大好きで、愛していた・・・!!
この人生では会えないと分かっていても・・・!!
次の人生で迎えに行くと思っていても・・・!!
俺はルルに会いたかった・・・!!
俺はずっとルルに会いたかった・・・!!」



止めに入ろうと思っていたら、ソソから出てきた言葉に驚きこの身体が固まった。



チチは物凄く楽しそうな顔で笑いながらソソと剣で訓練を始めてしまっている。



それにソソは感情を剥き出しにして剣を振っていて・・・。



「クレド!ソソに他の女が出来たという話は何だったんだ?」



「抜け道を使って王宮に忍び込んだ時は毎回カルベルっていう男の子にソソを呼んできて貰ってんだよね。
カルベルにソソのことを聞いたら、よく女の子と抱き合ってるって言ってたから。」



クレドがそう言うと、ソソが思いっきり剣をチチに振り上げ・・・



「・・・っ」



チチの剣が弾き飛ばされた。



「ハァッ・・・ハァッ・・・俺は女と抱き合ってなんかいない。」



チチの喉に剣を突き付けながら言った。



「強くなったな、ソソ。」



チチは満足そうに笑い、身体の力を抜いた。



「ソソ・・・!!!」



剣を持つ手に力を込めたソソを確認し叫ぶと、ジルゴバートが大きな声で笑った。



「いいぞ!!ステル!!殺れ!!!
お前を拾って正解だった!!
全てから棄てられ怪我だらけの素っ裸で現れたお前を見た時は、使えるガキだと思ってたんだ!!!
俺は王族だからな!!!
使える人間が分かるんだ!!!」



マルチネス王妃がジルゴバートの後ろで笛を吹き続けている中、ジルゴバートがそう叫ぶ。



私はソソの剣を止めようと動き出そうとした。



動き出そうとした、その時・・・



「王の器を持つ者が分かるからな、王族の人間は。」



静かなのに重い声が王座の間に響いた。
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