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気が狂ったようにマルチネス王妃が王妃の座から立ち上がり、よろめきながらこっちに歩いてくる。
「生きていたのね・・・!!
本当はずっと生きていて・・・!!
クラスト陛下と一緒にいたのね・・・!!」
マルチネス王妃がそう叫びながら歩いてきて、そして両手をエリーの首元に向かって伸ばしてきた。
そしたらその手をソソが払い、マルチネス王妃から守るようにエリーの前に立った。
「これは俺の魔獣だ。」
「魔獣・・・?」
マルチネス王妃が驚きながら繰り返し、怯えたような顔になり、その顔を両手で覆った。
「私を殺しにきたの・・・!?
私を殺す為に魔獣となって蘇ったの・・・!?
貴女の子どもを私とジルゴバートで殺そうとしたから・・・!!」
その言葉には驚いていると、エリーが嬉しそうな顔でソソの背中に抱き付いている。
半獣ではなく人間の姿で。
「この魔獣がエリナエルだと!?
そんなバカな・・・!!
こんな姿ではなかっただろ・・・!!」
「私があの女のことを忘れるわけがない!!
私のクラスト陛下を誑かした下品な女!!
侍女の分際でクラスト陛下の正室にまでなり、黒髪持ちの厄災を産み落とし私とクラスト陛下の王国を滅ぼした女!!
私と貴方のことを殺しに蘇ったのよ!!
エリナエルが死んだと聞かされすぐに私と貴方で黒髪持ちの厄災を殺そうとしたから!!」
「ではあの時に俺達を襲おうと現れた魔獣は死んだ直後のエリナエルだったというのか・・・!?
バカな・・・!!有り得ない・・・!!」
「私が生まれた国では王族でない人間でも稀に魔獣を持つ・・・!!
黒髪持ちなうえに魔獣持ち、あの魔獣で私とクラスト陛下の王国を滅ぼされると思って貴方に棄てるように言ったのに!!
近衛騎士団長の男が拐い黒髪持ちの厄災は消え失せていたのに何故この男を拾ったの・・・!!?
黒髪持ちの厄災が私の前にエリナエルを連れてきてしまったじゃない・・・!!
私とクラスト陛下の王国を滅ぼした女を・・・!!」
「俺の・・・母親・・・?」
ソソが驚いた顔で自分の背中に抱き付いているエリーのことを見て、私も驚きながらエリーのことを見た。
「エリーには戦闘力がない。
自分の息子を生かす為に蘇ったんだろ。」
チチが冷静な声でそう言って、それから腰に差していた大きな剣を抜いた。
そして王座の間にある天井窓に立つユンスを見上げて。
「随分と大人しいユンスだな。
相当知能が高いと分かる。」
私がチチにそのことで言葉を掛けようとした、その時・・・
「ダンドリー・・・っ!!!!!」
ジルゴバートがチチのことを叫ぶように呼んだ。
「おお、お前随分と老け込んだな?」
「・・・こいつを捕えろ!!!
アデルの森に棄てるはずだったガキを拐った男だ!!!
クラストからもこいつを捕えるよう明言がある!!!」
ジルゴバートの言葉に第2騎士団の騎士達はソソのことを見たのが分かった。
ソソは右手で制止のポーズを取り騎士達を動かすことはしない。
「俺はサンクリア王国の国王だぞ!!!
太陽の刻印は俺が持っている!!!
・・・クソッ!!マドニス!!マドニスを呼べ!!!
いや、俺の護衛団はどうした!?」
「さっきから俺が静かに倒して捕えてたよ。
あんなゴロツキを王宮に入れないでよね。
あいつらが王宮の女の子達を襲おうとしてくるから、良い感じの女の子達が王宮に全然いなくなっちゃったじゃん。」
柔和な声が聞こえてきて、その声の主を見た。
「「クレド!!」」
ソソと声が重なると、クレドは柔和な顔で笑いながら手を振ってきた。
「なかなか育たなかったみたいだね、モルダン。
国王の代理になるよう、たまに王宮に忍び込んでソソに言いに来てたんだけどね。」
「騎士としては申し分のない奴でしたけど、国王としては・・・。
ですが、カルティーヌ姫と結婚してからはクラスト陛下の代理としてこの国を任せられる男になったと判断出来ました。
カルティーヌ姫のことになるとムキになって俺に剣まで向けてきましたよ。」
「他の女の子に寄り道もしたみたいだけど、結局はやっぱりルルだよね。
“月のモノ”が来ていなかったとしても、ソソが16歳の時に王宮に行かせちゃえば良かったね。」
クレドがチチの方を困ったように笑いながら見ると、チチは真面目な顔で首を横に振った。
「そんなことをしたらソソが他の女と子作り出来なくなるだろ。
クラストの二の舞になるのは分かりきっていたからそれは最善の判断ではなかった。」
チチはそれから満足そうな顔で笑い、ソソのことを見た。
「他の女も好きになったようだが、女としてもルルのことを好きになったか。
8年ぶりに会ったら姉や母としてではなく女としても愛せたか。」
そんなことを聞いてきたチチに、ソソは物凄く怒った顔になりチチに剣を向けた。
「俺は他の女を好きになるような寄り道などしていない。
俺はルル以外見えないと言っただろ。
ルルがいないこの人生で、黒髪持ちの俺がどんな想いで生き抜いてきたと思ってる。
チチの言葉とエリーがいなければ俺は何度でも自分で自分を殺していた。
実際に自分の身体に何度も傷を付けた。」
「生きていたのね・・・!!
本当はずっと生きていて・・・!!
クラスト陛下と一緒にいたのね・・・!!」
マルチネス王妃がそう叫びながら歩いてきて、そして両手をエリーの首元に向かって伸ばしてきた。
そしたらその手をソソが払い、マルチネス王妃から守るようにエリーの前に立った。
「これは俺の魔獣だ。」
「魔獣・・・?」
マルチネス王妃が驚きながら繰り返し、怯えたような顔になり、その顔を両手で覆った。
「私を殺しにきたの・・・!?
私を殺す為に魔獣となって蘇ったの・・・!?
貴女の子どもを私とジルゴバートで殺そうとしたから・・・!!」
その言葉には驚いていると、エリーが嬉しそうな顔でソソの背中に抱き付いている。
半獣ではなく人間の姿で。
「この魔獣がエリナエルだと!?
そんなバカな・・・!!
こんな姿ではなかっただろ・・・!!」
「私があの女のことを忘れるわけがない!!
私のクラスト陛下を誑かした下品な女!!
侍女の分際でクラスト陛下の正室にまでなり、黒髪持ちの厄災を産み落とし私とクラスト陛下の王国を滅ぼした女!!
私と貴方のことを殺しに蘇ったのよ!!
エリナエルが死んだと聞かされすぐに私と貴方で黒髪持ちの厄災を殺そうとしたから!!」
「ではあの時に俺達を襲おうと現れた魔獣は死んだ直後のエリナエルだったというのか・・・!?
バカな・・・!!有り得ない・・・!!」
「私が生まれた国では王族でない人間でも稀に魔獣を持つ・・・!!
黒髪持ちなうえに魔獣持ち、あの魔獣で私とクラスト陛下の王国を滅ぼされると思って貴方に棄てるように言ったのに!!
近衛騎士団長の男が拐い黒髪持ちの厄災は消え失せていたのに何故この男を拾ったの・・・!!?
黒髪持ちの厄災が私の前にエリナエルを連れてきてしまったじゃない・・・!!
私とクラスト陛下の王国を滅ぼした女を・・・!!」
「俺の・・・母親・・・?」
ソソが驚いた顔で自分の背中に抱き付いているエリーのことを見て、私も驚きながらエリーのことを見た。
「エリーには戦闘力がない。
自分の息子を生かす為に蘇ったんだろ。」
チチが冷静な声でそう言って、それから腰に差していた大きな剣を抜いた。
そして王座の間にある天井窓に立つユンスを見上げて。
「随分と大人しいユンスだな。
相当知能が高いと分かる。」
私がチチにそのことで言葉を掛けようとした、その時・・・
「ダンドリー・・・っ!!!!!」
ジルゴバートがチチのことを叫ぶように呼んだ。
「おお、お前随分と老け込んだな?」
「・・・こいつを捕えろ!!!
アデルの森に棄てるはずだったガキを拐った男だ!!!
クラストからもこいつを捕えるよう明言がある!!!」
ジルゴバートの言葉に第2騎士団の騎士達はソソのことを見たのが分かった。
ソソは右手で制止のポーズを取り騎士達を動かすことはしない。
「俺はサンクリア王国の国王だぞ!!!
太陽の刻印は俺が持っている!!!
・・・クソッ!!マドニス!!マドニスを呼べ!!!
いや、俺の護衛団はどうした!?」
「さっきから俺が静かに倒して捕えてたよ。
あんなゴロツキを王宮に入れないでよね。
あいつらが王宮の女の子達を襲おうとしてくるから、良い感じの女の子達が王宮に全然いなくなっちゃったじゃん。」
柔和な声が聞こえてきて、その声の主を見た。
「「クレド!!」」
ソソと声が重なると、クレドは柔和な顔で笑いながら手を振ってきた。
「なかなか育たなかったみたいだね、モルダン。
国王の代理になるよう、たまに王宮に忍び込んでソソに言いに来てたんだけどね。」
「騎士としては申し分のない奴でしたけど、国王としては・・・。
ですが、カルティーヌ姫と結婚してからはクラスト陛下の代理としてこの国を任せられる男になったと判断出来ました。
カルティーヌ姫のことになるとムキになって俺に剣まで向けてきましたよ。」
「他の女の子に寄り道もしたみたいだけど、結局はやっぱりルルだよね。
“月のモノ”が来ていなかったとしても、ソソが16歳の時に王宮に行かせちゃえば良かったね。」
クレドがチチの方を困ったように笑いながら見ると、チチは真面目な顔で首を横に振った。
「そんなことをしたらソソが他の女と子作り出来なくなるだろ。
クラストの二の舞になるのは分かりきっていたからそれは最善の判断ではなかった。」
チチはそれから満足そうな顔で笑い、ソソのことを見た。
「他の女も好きになったようだが、女としてもルルのことを好きになったか。
8年ぶりに会ったら姉や母としてではなく女としても愛せたか。」
そんなことを聞いてきたチチに、ソソは物凄く怒った顔になりチチに剣を向けた。
「俺は他の女を好きになるような寄り道などしていない。
俺はルル以外見えないと言っただろ。
ルルがいないこの人生で、黒髪持ちの俺がどんな想いで生き抜いてきたと思ってる。
チチの言葉とエリーがいなければ俺は何度でも自分で自分を殺していた。
実際に自分の身体に何度も傷を付けた。」
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