【完】可哀想な皇太子殿下と没落ヒヒンソウ聖女は血の刻印で結ばれる

Bu-cha

文字の大きさ
上 下
140 / 168
7

7-20

しおりを挟む
凄い剣幕でクレドがそう叫んだけれど、私は笑ってしまった。
チチまでも珍しいくらい大きく笑っている。



「私はどこも悪い所なんてないから!!
むしろ最近凄く調子が良い!!
体重が軽くなったからか身体が凄く軽い!!
魔獣の大群が押し寄せた時に重みを測る計測器がなくなったから体重は分からないけど、ミーナの目視では前よりも15キロは落ちてるはず。」



そう言いながら自分の右腕を少し伸ばしながら確認した。



「お母様は色白だったし、最近は曇りの日が続いてたから肌の色が白くなったみたい。
崩壊した村を修繕しつつ訓練もして、狩りにはそんなに行けてないから肉もあんまり食べられてなくて痩せちゃったのかも。
胸まで小さくなって柔らかくかったから少し揺れるけど、小さいから下着までは必要ない。」



後ろで1つに結んでいる髪の毛を触りながらクレドを見上げると、クレドは深刻そうな顔をしている。
クレドのそんな顔を見るのは初めてなので、チチと昔からの知り合いだったことには驚きながらも少し嬉しい気持ちにもなった。



「大人になるにつれて髪質が変わるって他の女達も言ってたし、悪い異変じゃないから大丈夫だよ。」



「・・・この村の他の奴もルルの変化を心配してないのか?」



「うん、たまに言われるくらい。」



「この村、そこまでかよ・・・っ!!」



クレドがガクッと項垂れながら叫び、そんなクレドの反応にチチと笑っていたら、クレドがまた怒りながら叫んできた。



「どうせ鏡もろくに見てないんだろ!?
そんな時間があるなら訓練してるような村だからな!!」



「鏡か~・・・半年前の魔獣の大群の時に全部割れちゃって、それからは湖に映った姿を見て少し整えるくらいだね、みんな。」



私の言葉にチチは軽く頷くと、クレドが勢い良く顔を上げて肩に掛けていた鞄を漁り始めた。



「俺か鏡を持ってるから見てみろ!!」



「クレド、鏡なんて持ち歩いてるの?」



「女から色んなモノを引き出すのに俺の見た目は便利だからな!!」



「女がクレドに何を出すの?」



「情報。」



クレドが短く答え、そのタイミングで小さな鏡を渡してきた。
それを受け取り軽い気持ちで鏡を覗き込んだ。



そしたら、いた。



軟弱そうな女がいた。



「クレド、これ鏡じゃない。
この中に女の姿絵みたいなのが入ってる。」



クレドに鏡を返そうとすると、クレドがその鏡を力強く奪ってきて・・・



私の顔の前にかざしてきた。



「これがお前だ、ルル!!
お前、今こんな姿になってるんだぞ!?」
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

【完結】「私は善意に殺された」

まほりろ
恋愛
筆頭公爵家の娘である私が、母親は身分が低い王太子殿下の後ろ盾になるため、彼の婚約者になるのは自然な流れだった。 誰もが私が王太子妃になると信じて疑わなかった。 私も殿下と婚約してから一度も、彼との結婚を疑ったことはない。 だが殿下が病に倒れ、その治療のため異世界から聖女が召喚され二人が愛し合ったことで……全ての運命が狂い出す。 どなたにも悪意はなかった……私が不運な星の下に生まれた……ただそれだけ。 ※無断転載を禁止します。 ※朗読動画の無断配信も禁止します。 ※他サイトにも投稿中。 ※表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。 「Copyright(C)2022-九頭竜坂まほろん」 ※小説家になろうにて2022年11月19日昼、日間異世界恋愛ランキング38位、総合59位まで上がった作品です!

あなたの愛が正しいわ

来須みかん
恋愛
旧題:あなたの愛が正しいわ~夫が私の悪口を言っていたので理想の妻になってあげたのに、どうしてそんな顔をするの?~  夫と一緒に訪れた夜会で、夫が男友達に私の悪口を言っているのを聞いてしまった。そのことをきっかけに、私は夫の理想の妻になることを決める。それまで夫を心の底から愛して尽くしていたけど、それがうっとうしかったそうだ。夫に付きまとうのをやめた私は、生まれ変わったように清々しい気分になっていた。  一方、夫は妻の変化に戸惑い、誤解があったことに気がつき、自分の今までの酷い態度を謝ったが、妻は美しい笑みを浮かべてこういった。 「いいえ、間違っていたのは私のほう。あなたの愛が正しいわ」

【完結】仰る通り、貴方の子ではありません

ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは 私に似た待望の男児だった。 なのに認められず、 不貞の濡れ衣を着せられ、 追い出されてしまった。 実家からも勘当され 息子と2人で生きていくことにした。 * 作り話です * 暇つぶしにどうぞ * 4万文字未満 * 完結保証付き * 少し大人表現あり

断る――――前にもそう言ったはずだ

鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」  結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。  周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。  けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。  他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。 (わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)  そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。  ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。  そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

お嬢様はお亡くなりになりました。

豆狸
恋愛
「お嬢様は……十日前にお亡くなりになりました」 「な……なにを言っている?」

完結 婚約破棄は都合が良すぎる戯言

音爽(ネソウ)
恋愛
王太子の心が離れたと気づいたのはいつだったか。 婚姻直前にも拘わらず、すっかり冷えた関係。いまでは王太子は堂々と愛人を侍らせていた。 愛人を側妃として置きたいと切望する、だがそれは継承権に抵触する事だと王に叱責され叶わない。 絶望した彼は「いっそのこと市井に下ってしまおうか」と思い悩む……

悪役令嬢の涙

拓海のり
恋愛
公爵令嬢グレイスは婚約者である王太子エドマンドに卒業パーティで婚約破棄される。王子の側には、癒しの魔法を使え聖女ではないかと噂される子爵家に引き取られたメアリ―がいた。13000字の短編です。他サイトにも投稿します。

【完結】逆行した聖女

ウミ
恋愛
 1度目の生で、取り巻き達の罪まで着せられ処刑された公爵令嬢が、逆行してやり直す。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 初めて書いた作品で、色々矛盾があります。どうか寛大な心でお読みいただけるととても嬉しいですm(_ _)m

処理中です...