【完】可哀想な皇太子殿下と没落ヒヒンソウ聖女は血の刻印で結ばれる

Bu-cha

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「さっきから何なの?」



真面目な話をしているのにクレドがからかってきて、それには怒りながらクレドを睨み付けた。
怒っている私にクレドは驚いた顔を続けたまま、また口を開いた。



「ルル・・・お前、どうしたの・・・?
訓練するのは止めたの・・・?
ソソの所に行く為に、インソルドの女でいるのは止めたの・・・?」



「半年前に第1騎士団の団長になったし、訓練なら毎日してるけど。
それにソソの所に行ったとしても私がインソルドの女であることには変わらない。」



私は生まれた時から男として育てられてきた。
ジルゴバートという王弟が私のお母様に執着していて、その子どもである私にも執着しそうな様子だったから。
だから“女”として過ごしたのはインソルドが初めてだった。
王都にいる女達とは全く違うインソルドの女。
この国の民を最前線で守るインソルドの女になれたことを私は誇りに思っている。



そう強く思いながらクレドを見上げていると、クレドは物凄く心配そうな顔になり、そして・・・



「来い・・・っ!!」



いつも柔和なクレドの力とは思えないくらい強い力で私の腕を引いて早足で進みだした。



それからチチがいる居住部分を聞かれ案内し・・・



「おい!!ダンドリー!!
ルルどうしたんだよ!?
こんな姿になって!!!」



クレドがチチのことを“ダンドリー”と初めて呼ぶと、チチがゆっくりとクレドの方を振り向いてきた。



「クレド、来たか。
パッチンと迷香薬持ってきたか?」



「持ってきた!!
・・・そんなことよりも!!
ルルどうしたんだよ!?」



「ルル?俺の娘が何だよ?」



チチが私の顔を見て来たので、私は首を傾げる。
チチも不思議そうな顔をした後にまたクレドに視線を戻した。



「女のことになると何でお前はそんなに鈍いんだよ!!」



「お前が敏感過ぎるんだろ。
俺には女のドレスや化粧や髪型なんてどうでもいい。」



「・・・こんな奴のことをあの子が選んだと思うとムシャクシャしてくる!!」



クレドが怒りながらそう言って、私のことを指差してきた。



「ルル!!見た目が変わりすぎだろ!!
声も何か違うし、髪色も顔も身体も全て変わりすぎだろ!!!」



そんなクレドの発言には少し驚いたけれど、私は笑った。
そしたらチチも楽しそうに笑って。



「年頃になるとインソルドの女でも女らしくなる奴がいるからな。
ルルも年頃になって俺の嫁さんに似てきたんだろ。」



「お前の嫁さんには似てないだろ!!
あの子はどっちかというと美人だったし!!
ルルはどちらかというとお前の子どもの頃だろ!!
お前はよく女の子に間違われるくらい可愛い顔をしてた!!」



「・・・そんな大昔のことを覚えてるのか。
まあ、じゃあ俺に似たんだろ。」



「顔は昔から何となくは似てたけど、誰に似てるとかそんな話ではなく!!
1年前まで屈強な女の姿だったルルが、何でこんなに可愛い子ちゃんになってるんだよ!!」



「お前は女癖だけが悪い奴だったからな。
遂には俺の娘にまで興味を持ち始めたか。
ルル、こいつどうだ?
歳は親子程離れてるが、そこまで悪いモノではないぞ。」



「ルルがいいなら俺も・・・って、そうじゃなくて!!!」



クレドが首を大きく横に振りながらそう叫び、何故か物凄く怒った顔でチチに怒鳴り付けた。



「いつからこんな姿になってた!?
インソルドで普通に暮らしててこんな姿になるわけがないだろ!!
ルルの中で何か異変が起きてる可能性がある!!
すぐに王都の病院に見て貰え!!!」
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