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俺からの質問にすぐに答えたルル。
その答えを聞いて、俺は勢いよく立ち上がって湖の上で揺れている月に向かって言った。
「俺は王宮になんて行かない。」
「ソソ。」
「俺はずっとインソルドにいて、ずっとルルの傍にいて、ソソとしていて・・・っいつかルルに男として好きになって貰う・・・っ。」
泣きながらそう言って、こんなにも眩しく光っているルルのことを見下ろした。
「俺はルルのことが好きとか大好きとか愛してるとかそんな気持ちではないけど・・・っ!!
そんな想いではないけど・・・っ!!
でも、ルルには俺のことを好きになって貰いたい・・・っ!!
俺はルルに愛して貰いたい・・・っ!!」
愛してくれているのだと思っていた。
愛してくれているのだと勘違いしていた。
俺はルルのことが好きとか大好きとか愛しているとか、そんな気持ちではないけれど。
こんなに眩しいくらいに光って見えるルルが俺の相手であると分かるだけだけれど。
姉や母としてだけど、ルルは俺のことを愛してくれているのだと思っていたのに。
そう勘違いしていたのに。
そう願った俺に、ルルは困った顔で笑った。
「好きとか大好きとか愛してるとか、誰に対しても思ったことがないからな。
そんなことを思う時間があるなら私は訓練したい。」
ルルらしい返事には思わず笑ってしまうと、ルルも楽しそうに笑ってから立ち上がった。
「突然皇子だなんて言われたらそれは戸惑うと思う。
それも国を滅ぼすとか言われたら。
ただ黒髪で生まれただけなのにね?
ソソがインソルドにいるからってインソルドでは例年と変わらないってみんな言ってる。
黒髪持ちのソソがいてもインソルドに厄災は降りかからなかった。」
ルルがそう言ってから人差し指で空を指差した。
それを追うように空を見上げると、黒い空には月が輝いている。
「夜になれば髪の色なんてみんな分からなくなる。
みんなソソと同じ黒髪に見える。
それでも、私はソソの黒髪が1番好き。
夜の黒よりも強い漆黒の黒い髪が。
その髪で強く強く強く、どこまでも強く生き抜こうとしているソソの黒髪が1番好き。」
そう言ってくれたルルの言葉には心がいくらか落ち着きを取り戻した。
「明日王宮に戻れなんてチチも思っていないし、気持ちを整理してから戻ればいいよ。
ソソが王宮に戻っても、私はソソが迎えに来るまで待ってるから。
必ず待ってるから。
だからソソは王宮で生き抜いて、最善を尽くすことだけを考えてきて欲しい。」
ルルが優しく笑いながら俺にそう言った。
でも、俺は・・・
「嫌だ・・・。
俺はルルと一緒にいたい・・・。
俺を愛してくれないとルルは俺と子作りをしてくれない・・・。
あんなこと、ルルが俺にしてくれないのは分かる・・・。
あんなことをしている時間があるならルルはきっと訓練をする・・・。
子作りが出来ないなら結婚が出来ない・・・。
だから大きなケガをして子作りが出来ないような男と女はこの村では結婚していない。」
子作りが出来ないならこの村では結婚が出来ない。
だから俺がルルを迎えに来てもルルは俺の求婚を受けてくれないかもしれない。
それに・・・
「他の男がルルよりも強くなっていく中、俺は王宮になんていられない。」
俺がそう答えると、ルルは力強い目で俺のことを見詰めた。
「それじゃあ、ソソが迎えに来るまで私は他の男より強い女でいる。」
夜になれば髪の色なんてみんな同じに見えるのに、ルルだけは真っ白な髪の毛が月の光りでキラキラと輝いている。
髪の毛だけではない。
ルルはこんなにも眩しく光っている。
夜なのにこんなにも眩しく光っている。
ルル以外見えない。
こんなの、俺にはルル以外見えない。
「帰ろう、ソソ!!
明日も朝から訓練するよ!!」
俺に振り向きながらルルがそう言った。
太陽が昇る所が見えないこの国で、太陽の光りのように輝くルル。
いつもいつも眩しいくらいに光っているルルだけど、明るい世界で見るルルは更に輝いていて。
太陽のように輝いていて。
「うん、明日の朝・・・。」
そう呟き、ルルの背中を見詰めながら歩き始めた。
その答えを聞いて、俺は勢いよく立ち上がって湖の上で揺れている月に向かって言った。
「俺は王宮になんて行かない。」
「ソソ。」
「俺はずっとインソルドにいて、ずっとルルの傍にいて、ソソとしていて・・・っいつかルルに男として好きになって貰う・・・っ。」
泣きながらそう言って、こんなにも眩しく光っているルルのことを見下ろした。
「俺はルルのことが好きとか大好きとか愛してるとかそんな気持ちではないけど・・・っ!!
そんな想いではないけど・・・っ!!
でも、ルルには俺のことを好きになって貰いたい・・・っ!!
俺はルルに愛して貰いたい・・・っ!!」
愛してくれているのだと思っていた。
愛してくれているのだと勘違いしていた。
俺はルルのことが好きとか大好きとか愛しているとか、そんな気持ちではないけれど。
こんなに眩しいくらいに光って見えるルルが俺の相手であると分かるだけだけれど。
姉や母としてだけど、ルルは俺のことを愛してくれているのだと思っていたのに。
そう勘違いしていたのに。
そう願った俺に、ルルは困った顔で笑った。
「好きとか大好きとか愛してるとか、誰に対しても思ったことがないからな。
そんなことを思う時間があるなら私は訓練したい。」
ルルらしい返事には思わず笑ってしまうと、ルルも楽しそうに笑ってから立ち上がった。
「突然皇子だなんて言われたらそれは戸惑うと思う。
それも国を滅ぼすとか言われたら。
ただ黒髪で生まれただけなのにね?
ソソがインソルドにいるからってインソルドでは例年と変わらないってみんな言ってる。
黒髪持ちのソソがいてもインソルドに厄災は降りかからなかった。」
ルルがそう言ってから人差し指で空を指差した。
それを追うように空を見上げると、黒い空には月が輝いている。
「夜になれば髪の色なんてみんな分からなくなる。
みんなソソと同じ黒髪に見える。
それでも、私はソソの黒髪が1番好き。
夜の黒よりも強い漆黒の黒い髪が。
その髪で強く強く強く、どこまでも強く生き抜こうとしているソソの黒髪が1番好き。」
そう言ってくれたルルの言葉には心がいくらか落ち着きを取り戻した。
「明日王宮に戻れなんてチチも思っていないし、気持ちを整理してから戻ればいいよ。
ソソが王宮に戻っても、私はソソが迎えに来るまで待ってるから。
必ず待ってるから。
だからソソは王宮で生き抜いて、最善を尽くすことだけを考えてきて欲しい。」
ルルが優しく笑いながら俺にそう言った。
でも、俺は・・・
「嫌だ・・・。
俺はルルと一緒にいたい・・・。
俺を愛してくれないとルルは俺と子作りをしてくれない・・・。
あんなこと、ルルが俺にしてくれないのは分かる・・・。
あんなことをしている時間があるならルルはきっと訓練をする・・・。
子作りが出来ないなら結婚が出来ない・・・。
だから大きなケガをして子作りが出来ないような男と女はこの村では結婚していない。」
子作りが出来ないならこの村では結婚が出来ない。
だから俺がルルを迎えに来てもルルは俺の求婚を受けてくれないかもしれない。
それに・・・
「他の男がルルよりも強くなっていく中、俺は王宮になんていられない。」
俺がそう答えると、ルルは力強い目で俺のことを見詰めた。
「それじゃあ、ソソが迎えに来るまで私は他の男より強い女でいる。」
夜になれば髪の色なんてみんな同じに見えるのに、ルルだけは真っ白な髪の毛が月の光りでキラキラと輝いている。
髪の毛だけではない。
ルルはこんなにも眩しく光っている。
夜なのにこんなにも眩しく光っている。
ルル以外見えない。
こんなの、俺にはルル以外見えない。
「帰ろう、ソソ!!
明日も朝から訓練するよ!!」
俺に振り向きながらルルがそう言った。
太陽が昇る所が見えないこの国で、太陽の光りのように輝くルル。
いつもいつも眩しいくらいに光っているルルだけど、明るい世界で見るルルは更に輝いていて。
太陽のように輝いていて。
「うん、明日の朝・・・。」
そう呟き、ルルの背中を見詰めながら歩き始めた。
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