【完】可哀想な皇太子殿下と没落ヒヒンソウ聖女は血の刻印で結ばれる

Bu-cha

文字の大きさ
上 下
104 / 168
6

6-7

しおりを挟む
それにはジルゴバートが勢い良く私に振り向いてきた。
虚ろな目をギラギラと輝かせ、ステル殿下とミランダの隙間から覗いていた私のことを見詰めている。



「約束する・・・!!
ナンフリークを国王陛下の代理にする!!!
国王陛下の代理として必要な、マルチネス王妃の刻印と太陽の刻印が揃えば、俺はどんなことでも出来る・・・!!
騎士団を動かす以外なら、俺はどんなことでも出来るんだ・・・!!」



「カルティーヌ、下がってろ。」



ステル殿下の言葉で私よりも先にミランダが素早く動き、私の腕を力強く引き後ろに下げてくる。



「ステル、やめろ。
王族同士だとしても国王陛下の代理であるこいつを殺せば謀反になる。」



モルダン近衛騎士団長が剣を抜き、ジルゴバートに剣を向けているステル殿下に剣を向けた。



「新婚だからな、お前。
今なら愛する妻を取られそうになりパニックになった、それくらいで済ませられる。」



「俺の妻には指1本触れさせない。
妻になった女も夫となった男以外に、そういう意味での指は1本でも触れてはいけない。
インソルドでの夫婦とはそういうものだった。
離縁なんて言葉は存在すらしていない。」



インソルドでの夫婦の形を言ったステル殿下には驚いた。
10歳でインソルドを発ったのに、そんなことまで覚えていたらしいから。



ステル殿下のその発言にジルゴバートはバカにしたように大きく笑った。



「でもお前、本当は聖女に指1本触れることが出来てないんだろ!?
だからミランダが毎夜のように見届け役をしているのは分かってる!!
これまで好きな女を言い訳に、騎士としてしか生きてこなかったということは俺だって報告を受けている!!
女との子作りの仕方を知らなかったか!!
それとも不能か!?
クラストの血は流れていないはずなのに、お前も不能なのか!?」



ジルゴバートは大きく笑いながら、ミランダに強く身体を掴まれている私のことを見た。



「・・・ああ、それとも指だけではしてみたか?
指1本くらいは聖女の中に入れてみたか?
その女は処女みたいだからな、本当に美しくて可愛い。」



急に厭らしい目付きで私のことを上から下まで見てきて、私は右手に持つナイフを強く握った。



そしたら・・・



ジルゴバートが人差し指を1本立て、ステル殿下の方をバカにしたように笑いながら見た。



「そういえばお前、インソルドから王宮に逃げてきた時はアソコがこれしかなったよな?
インソルドで奴隷のように扱われ服を着ることも許されず、大怪我までして血塗れ、素っ裸で王宮まで逃げてきて。」



ジルゴバートの言葉には驚いていると、ジルゴバートが自分の人差し指を舌でねっとりと舐め始めた。



「王族である俺の下半身があればその女もすぐに俺から離れられなくなる。
夫がいたことに苛立つこともあるが、お前の妻のことも俺がちゃんと愛してやるから安心しろ。
愛し愛されて、そして愛し合う。
これ以上に気持ち良い性行為はないぞ?」



濡れた人差し指を眺めながらジルゴバートが続けた。



「お前が初めて愛したのはその女か。
だが諦めろ、お前は誰からも愛されない。
黒髪持ちのお前のことを心から愛していたのはお前の母親くらいだろ。
クラストからも棄てられ、そしてお前を逃がした近衛騎士団長からも棄てられた。
拾ってやったのは俺だけだぞ?」



ジルゴバートが人差し指から視線を移し、ステル殿下を見詰めた。



「お前がどんなに愛してもその女から愛されることなどない。
その女と愛し合えることなどない。
どの男の種かも分からない、国王をも惑わす迷言を言う女の腹から黒髪持ちで生まれた可哀想な奴だよ、ステル。
“棄てる”と名付けられた可哀想な皇子だよ、お前は。」












カルティーヌside.......
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

【完結】「私は善意に殺された」

まほりろ
恋愛
筆頭公爵家の娘である私が、母親は身分が低い王太子殿下の後ろ盾になるため、彼の婚約者になるのは自然な流れだった。 誰もが私が王太子妃になると信じて疑わなかった。 私も殿下と婚約してから一度も、彼との結婚を疑ったことはない。 だが殿下が病に倒れ、その治療のため異世界から聖女が召喚され二人が愛し合ったことで……全ての運命が狂い出す。 どなたにも悪意はなかった……私が不運な星の下に生まれた……ただそれだけ。 ※無断転載を禁止します。 ※朗読動画の無断配信も禁止します。 ※他サイトにも投稿中。 ※表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。 「Copyright(C)2022-九頭竜坂まほろん」 ※小説家になろうにて2022年11月19日昼、日間異世界恋愛ランキング38位、総合59位まで上がった作品です!

【完結】仰る通り、貴方の子ではありません

ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは 私に似た待望の男児だった。 なのに認められず、 不貞の濡れ衣を着せられ、 追い出されてしまった。 実家からも勘当され 息子と2人で生きていくことにした。 * 作り話です * 暇つぶしにどうぞ * 4万文字未満 * 完結保証付き * 少し大人表現あり

断る――――前にもそう言ったはずだ

鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」  結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。  周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。  けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。  他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。 (わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)  そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。  ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。  そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

お嬢様はお亡くなりになりました。

豆狸
恋愛
「お嬢様は……十日前にお亡くなりになりました」 「な……なにを言っている?」

【完結】逆行した聖女

ウミ
恋愛
 1度目の生で、取り巻き達の罪まで着せられ処刑された公爵令嬢が、逆行してやり直す。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 初めて書いた作品で、色々矛盾があります。どうか寛大な心でお読みいただけるととても嬉しいですm(_ _)m

完結 婚約破棄は都合が良すぎる戯言

音爽(ネソウ)
恋愛
王太子の心が離れたと気づいたのはいつだったか。 婚姻直前にも拘わらず、すっかり冷えた関係。いまでは王太子は堂々と愛人を侍らせていた。 愛人を側妃として置きたいと切望する、だがそれは継承権に抵触する事だと王に叱責され叶わない。 絶望した彼は「いっそのこと市井に下ってしまおうか」と思い悩む……

だいたい全部、聖女のせい。

荒瀬ヤヒロ
恋愛
「どうして、こんなことに……」 異世界よりやってきた聖女と出会い、王太子は変わってしまった。 いや、王太子の側近の令息達まで、変わってしまったのだ。 すでに彼らには、婚約者である令嬢達の声も届かない。 これはとある王国に降り立った聖女との出会いで見る影もなく変わってしまった男達に苦しめられる少女達の、嘆きの物語。

悪役令嬢の涙

拓海のり
恋愛
公爵令嬢グレイスは婚約者である王太子エドマンドに卒業パーティで婚約破棄される。王子の側には、癒しの魔法を使え聖女ではないかと噂される子爵家に引き取られたメアリ―がいた。13000字の短編です。他サイトにも投稿します。

処理中です...