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マルチネス王妃の言葉なのだと分かり、ステル殿下から握られている右手でステル殿下の手を握り返しながら、ステル殿下とミランダの隙間から様子を確認する。
「俺は今までずっと、俺と結婚しているわけでもないマルチネス王妃に尽くしてきただろ・・・!!
クラストと一緒にするな・・・!!」
「私と貴方が結婚出来ないのはクラスト陛下の刻印が貰えないうえにクラスト陛下の遺体もないから、でしょ?」
「そうだ・・・!!!」
「都合の良い言い訳があって良かったわね?
貴方は私の王妃という地位だけを利用したいのだから。」
王妃の座に座り足を組ながら肘掛けに片肘をつき、爪を噛みながらうっすらと笑っているマルチネス王妃。
その目もジルゴバートと同じくらい虚ろな目をしていた。
「次の国王が明言されていない状態で、クラスト陛下の代理の権限を持つのはまず私。
その次はハフリーク、その次はナンフリーク、そしてステル。」
虚ろな目でジルゴバートを見下ろし、うっすらと笑い続けながら爪を噛んでいる。
「それなのに貴方がクラスト陛下の代理として“国王陛下”になれているのは、私の力でしょ?
クラスト陛下がおかしくなってからすぐに貴方が代理となることを、王妃の刻印で認めてあげたから。」
「そうだな・・・。
でもそれは、マルチネス王妃も政治に興味はないと言っていたからで・・・。」
「私が出した条件は覚えている?」
「覚えている・・・。
ハフリークかナンフリークを次の国王にさせるというものだろ?」
「そう。出来るのよね?」
「・・・現実的に考えたら可能性があるのはナンフリークの方だろう。
だが、優しすぎる。優しすぎるが故に・・・」
「使えない?」
マルチネス王妃が自分で言って、そして1人で不気味に大きく笑った。
「自分の欲の為だけに動く子ではないわよね、ナンフリークは。
貴方がやっていることにも心を痛めている様子だし、そんなナンフリークが代理だとしても国王になってしまうと使えないわよね?」
黙っているジルゴバートにマルチネス王妃は続ける。
「それでもナンフリークを国王陛下の代理とするなら、その聖女だとかいう女と結婚したとしても、貴方に実権があるという明言の刻印を私が押してあげてもいいわよ?」
「俺は今までずっと、俺と結婚しているわけでもないマルチネス王妃に尽くしてきただろ・・・!!
クラストと一緒にするな・・・!!」
「私と貴方が結婚出来ないのはクラスト陛下の刻印が貰えないうえにクラスト陛下の遺体もないから、でしょ?」
「そうだ・・・!!!」
「都合の良い言い訳があって良かったわね?
貴方は私の王妃という地位だけを利用したいのだから。」
王妃の座に座り足を組ながら肘掛けに片肘をつき、爪を噛みながらうっすらと笑っているマルチネス王妃。
その目もジルゴバートと同じくらい虚ろな目をしていた。
「次の国王が明言されていない状態で、クラスト陛下の代理の権限を持つのはまず私。
その次はハフリーク、その次はナンフリーク、そしてステル。」
虚ろな目でジルゴバートを見下ろし、うっすらと笑い続けながら爪を噛んでいる。
「それなのに貴方がクラスト陛下の代理として“国王陛下”になれているのは、私の力でしょ?
クラスト陛下がおかしくなってからすぐに貴方が代理となることを、王妃の刻印で認めてあげたから。」
「そうだな・・・。
でもそれは、マルチネス王妃も政治に興味はないと言っていたからで・・・。」
「私が出した条件は覚えている?」
「覚えている・・・。
ハフリークかナンフリークを次の国王にさせるというものだろ?」
「そう。出来るのよね?」
「・・・現実的に考えたら可能性があるのはナンフリークの方だろう。
だが、優しすぎる。優しすぎるが故に・・・」
「使えない?」
マルチネス王妃が自分で言って、そして1人で不気味に大きく笑った。
「自分の欲の為だけに動く子ではないわよね、ナンフリークは。
貴方がやっていることにも心を痛めている様子だし、そんなナンフリークが代理だとしても国王になってしまうと使えないわよね?」
黙っているジルゴバートにマルチネス王妃は続ける。
「それでもナンフリークを国王陛下の代理とするなら、その聖女だとかいう女と結婚したとしても、貴方に実権があるという明言の刻印を私が押してあげてもいいわよ?」
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