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私の言葉にステル殿下はまた無言になる。
口も身体も動かすことはなくなったステル殿下に小さく笑いながら、ステル殿下の方へと身体を向けた。
「私は待ってた。」
ステル殿下がピクリと身体を動かし、それからゆっくりと私の方を向いてきた。
今日は月が出ていないのかステル殿下の美しい顔は見えなかった。
その代わり、私の胸の真ん中で光るヒヒンソウの刻印が赤く小さく光っているのがよく分かる。
小さな光のはずなのに暗いからかステル殿下の美しい顔が赤く染められている。
まるで血に濡れたように見えるステル殿下に伝えた。
「私の子どもを作る機能は死んでいた。
だから誰からも求婚されることはなかった。
そんな身体で私はステル殿下のことを待っていた。」
赤く染まった顔で、その目は大きく大きく揺れている。
そして口をゆっくりと開けたステル殿下よりも先に私は口を開いた。
「聖女として次の人生を生き、国王の継承権を与えられたステル殿下の妻になるのを待っていたんだと思う。
国王となるステル殿下を守る為、そしてこの国の安泰の為に、次の人生で私は聖女になったんだと思う。」
私の人生は15歳の冬に1度終わっていたのだと思う。
国王になるソソを守る為、ルルの身体で盾となり魔獣にほぼ殺されたから。
そんな私に聖女の刻印がこの胸の真ん中に浮かび上がった。
国王となるソソを・・・ステル殿下をまた守る為、そしてこの国に安泰をもたらすことが出来る女として、私は生かされたのだと思う。
「ステル殿下に愛される為でも私がステル殿下を愛す為でも2人で愛し合う為でもない。
サンクリア王国に生きる全ての民の為、この胸にヒヒンソウの刻印を持って私はここに来た。」
そう伝えてから上半身を起こし、ナイトドレスを脱ぎ捨てた。
「今日は子作りのタイミングだから子作りをしよう。
ハフリーク殿下もナンフリーク殿下もまだ結婚していない。
このタイミングで私が妊娠出来れば子どもを作るという責務を果たした最初の皇太子になれる。」
裸になった私のことを、血で染まったステル殿下が無表情で見上げている。
「なるんでしょ、国王に。
ハフリーク殿下とはまだ会ったことはないけど、きっとステル殿下に1番王の器がある。
クラスト陛下はそう信じていた。」
口も身体も動かすことはなくなったステル殿下に小さく笑いながら、ステル殿下の方へと身体を向けた。
「私は待ってた。」
ステル殿下がピクリと身体を動かし、それからゆっくりと私の方を向いてきた。
今日は月が出ていないのかステル殿下の美しい顔は見えなかった。
その代わり、私の胸の真ん中で光るヒヒンソウの刻印が赤く小さく光っているのがよく分かる。
小さな光のはずなのに暗いからかステル殿下の美しい顔が赤く染められている。
まるで血に濡れたように見えるステル殿下に伝えた。
「私の子どもを作る機能は死んでいた。
だから誰からも求婚されることはなかった。
そんな身体で私はステル殿下のことを待っていた。」
赤く染まった顔で、その目は大きく大きく揺れている。
そして口をゆっくりと開けたステル殿下よりも先に私は口を開いた。
「聖女として次の人生を生き、国王の継承権を与えられたステル殿下の妻になるのを待っていたんだと思う。
国王となるステル殿下を守る為、そしてこの国の安泰の為に、次の人生で私は聖女になったんだと思う。」
私の人生は15歳の冬に1度終わっていたのだと思う。
国王になるソソを守る為、ルルの身体で盾となり魔獣にほぼ殺されたから。
そんな私に聖女の刻印がこの胸の真ん中に浮かび上がった。
国王となるソソを・・・ステル殿下をまた守る為、そしてこの国に安泰をもたらすことが出来る女として、私は生かされたのだと思う。
「ステル殿下に愛される為でも私がステル殿下を愛す為でも2人で愛し合う為でもない。
サンクリア王国に生きる全ての民の為、この胸にヒヒンソウの刻印を持って私はここに来た。」
そう伝えてから上半身を起こし、ナイトドレスを脱ぎ捨てた。
「今日は子作りのタイミングだから子作りをしよう。
ハフリーク殿下もナンフリーク殿下もまだ結婚していない。
このタイミングで私が妊娠出来れば子どもを作るという責務を果たした最初の皇太子になれる。」
裸になった私のことを、血で染まったステル殿下が無表情で見上げている。
「なるんでしょ、国王に。
ハフリーク殿下とはまだ会ったことはないけど、きっとステル殿下に1番王の器がある。
クラスト陛下はそう信じていた。」
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