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それから、部屋の中にミランダが運んでくれた朝食をステル殿下と食べながら、私は驚くべき事実を知る。
「王宮に来た初日に会わされた“医師”、医師じゃないの!?」
「王弟殿下の側近の1人だった。
身体は触られていないとは聞いたが大丈夫だったか?」
「うん、大丈夫だった。
でも・・・裸は見られたけどね。
服を全部脱いで確認するって言われたから。
処女膜があるか確認する為に椅子に座って自分で穴を広げるように言われたし。」
パリン─────...という音がして、見てみるとステル殿下の手から血が出ている。
その下には割れたグラスと水が。
そこにステル殿下の手から流れてる血がポタポタと垂れていき、私は立ち上がりステル殿下の手を取った。
「結構パックリいったね。
ミランダ、留めるやつ持ってきて。」
「留めるやつ・・・?縫うんですか?」
「これくらいじゃ縫わない、止血した後に留め合わせるだけ。
パッチンってインソルドでは呼ばれてけど・・・」
「パッチンは隣国で使っている物だ。
サンクリアにはない。」
「そうなの?
あれ凄く便利なのに。」
「関税が高いからわざわざアレを持ってくることはないだろうな。」
「クレドは持ってきてたよ?」
「あの人は商人と言っているがどこかの国の貴族だろうな、各国を渡り歩けるくらいだから。
この王宮にもたまに来るぞ?」
「そうなんだ。」
ステル殿下の手を真っ白なクロスで止血しながら返事をすると、止血をしている手を強く握り締めてきた。
それにより私の手も強く握られている。
「どんな姿をした男だった?特徴は?」
「後頭部だけ禿げてて顎の髭だけ伸ばしてる男。」
「小太り?」
「そう、小太りの。」
「「目視で体長168センチ、重さ83キロ。」」
ステル殿下と言葉が重なり、それには笑いそうになった。
でも、ステル殿下は物凄く怖い顔をしている。
「弟殿下に迷香薬を持ち込んだ男だ。
弟殿下の側近のヤミレナス。
これを食べたら殺してくる。」
「別に良いよ、裸見られたくらい。
インソルドでは裸でいた時に魔獣が出れば服も着ずに戦ってたから別に恥ずかしくない。」
「カルティーヌも裸で戦ったのか?」
「私はちゃんと服着て寝てたから裸で闘ったことはないよ。
水浴び中に魔獣が出てきたこともなかったし。
でもそれが当たり前のことだったから別に気にならない。」
「男だけの時はそういう話で盛り上がるに決まってるだろ。
いや、それは一旦置いておこう。
これからユンスの様子を見に行くからその時にヤミレナスをついでに殺してくる。
カルティーヌの処女膜の確認を医師でも何でもない男がしたなんて、俺は許さねーぞ?」
急に“許さねーぞ?”なんて言い出して、それにも笑いそうになった。
「ごめんごめん、勘違いさせた。
言われただけで拒否したから私の女の部分は見られてないよ?
胸の大きさや柔らかさ、乳首の状態も確認されそうになったから、それも拒否したし。
あとは口頭で“月のモノ”の確認と子作りの経験を聞かれたりしただけ。」
「それも許せねーだろ。
ユンスのせいになるように上手くヤミレナスを殺してくる。」
それにも笑いそうになったけれど、それよりももっと気になる発言があった。
「ユンスの様子を見に行くって何?」
「ユンスがこの王宮に1体いる。
王弟殿下の私設警護団が1年前に迷香薬を嗅がせて生きたまま捕獲した。」
それを聞き・・・それを聞いて、私は強く握られていた手を強く握り返す。
「ダメ・・・早く殺そう。
魔獣は鳴き声だけではなく人間には聞こえない音波を出している可能性があるってクレドが言ってた。」
「王宮に来た初日に会わされた“医師”、医師じゃないの!?」
「王弟殿下の側近の1人だった。
身体は触られていないとは聞いたが大丈夫だったか?」
「うん、大丈夫だった。
でも・・・裸は見られたけどね。
服を全部脱いで確認するって言われたから。
処女膜があるか確認する為に椅子に座って自分で穴を広げるように言われたし。」
パリン─────...という音がして、見てみるとステル殿下の手から血が出ている。
その下には割れたグラスと水が。
そこにステル殿下の手から流れてる血がポタポタと垂れていき、私は立ち上がりステル殿下の手を取った。
「結構パックリいったね。
ミランダ、留めるやつ持ってきて。」
「留めるやつ・・・?縫うんですか?」
「これくらいじゃ縫わない、止血した後に留め合わせるだけ。
パッチンってインソルドでは呼ばれてけど・・・」
「パッチンは隣国で使っている物だ。
サンクリアにはない。」
「そうなの?
あれ凄く便利なのに。」
「関税が高いからわざわざアレを持ってくることはないだろうな。」
「クレドは持ってきてたよ?」
「あの人は商人と言っているがどこかの国の貴族だろうな、各国を渡り歩けるくらいだから。
この王宮にもたまに来るぞ?」
「そうなんだ。」
ステル殿下の手を真っ白なクロスで止血しながら返事をすると、止血をしている手を強く握り締めてきた。
それにより私の手も強く握られている。
「どんな姿をした男だった?特徴は?」
「後頭部だけ禿げてて顎の髭だけ伸ばしてる男。」
「小太り?」
「そう、小太りの。」
「「目視で体長168センチ、重さ83キロ。」」
ステル殿下と言葉が重なり、それには笑いそうになった。
でも、ステル殿下は物凄く怖い顔をしている。
「弟殿下に迷香薬を持ち込んだ男だ。
弟殿下の側近のヤミレナス。
これを食べたら殺してくる。」
「別に良いよ、裸見られたくらい。
インソルドでは裸でいた時に魔獣が出れば服も着ずに戦ってたから別に恥ずかしくない。」
「カルティーヌも裸で戦ったのか?」
「私はちゃんと服着て寝てたから裸で闘ったことはないよ。
水浴び中に魔獣が出てきたこともなかったし。
でもそれが当たり前のことだったから別に気にならない。」
「男だけの時はそういう話で盛り上がるに決まってるだろ。
いや、それは一旦置いておこう。
これからユンスの様子を見に行くからその時にヤミレナスをついでに殺してくる。
カルティーヌの処女膜の確認を医師でも何でもない男がしたなんて、俺は許さねーぞ?」
急に“許さねーぞ?”なんて言い出して、それにも笑いそうになった。
「ごめんごめん、勘違いさせた。
言われただけで拒否したから私の女の部分は見られてないよ?
胸の大きさや柔らかさ、乳首の状態も確認されそうになったから、それも拒否したし。
あとは口頭で“月のモノ”の確認と子作りの経験を聞かれたりしただけ。」
「それも許せねーだろ。
ユンスのせいになるように上手くヤミレナスを殺してくる。」
それにも笑いそうになったけれど、それよりももっと気になる発言があった。
「ユンスの様子を見に行くって何?」
「ユンスがこの王宮に1体いる。
王弟殿下の私設警護団が1年前に迷香薬を嗅がせて生きたまま捕獲した。」
それを聞き・・・それを聞いて、私は強く握られていた手を強く握り返す。
「ダメ・・・早く殺そう。
魔獣は鳴き声だけではなく人間には聞こえない音波を出している可能性があるってクレドが言ってた。」
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