【完】可哀想な皇太子殿下と没落ヒヒンソウ聖女は血の刻印で結ばれる

Bu-cha

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1年後



「天使だね、ミランダ。
こんなに可愛い赤ちゃんを初めて見たよ。
髪の毛が真っ白なんて神の遣いなのかもしれない。」



出産したミランダが宮廷に挨拶に来ると知ったので、俺は仕事を放り投げてまでミランダを門の前で迎えた。



そんな俺のことをミランダは嬉しそうに見上げてくる。



「私は金髪で主人は銀髪なので、大きくなったらどちらになるのかまだ分かりません。
私も主人も赤ちゃんの頃は真っ白だったみたいです。」



「そうか、ミランダはやっぱり天の遣いだったのか。
この世界では髪の毛の色が明るい方が神に近い能力があると言われているからね。」



自分の灰色の髪の毛を触りながらミランダが抱く子どもを見下ろす。
マルチネス妃が産んだ俺の血が流れているハフリークよりも何百倍も愛おしいと思える子どもだった。



「この子の手解きは俺がしよう。
早く大人になってくれよ?」



「・・・あの、男の子ですけど大丈夫ですか?」



ミランダがクスクスと笑いながらそう言ってきて、俺は愕然としながらエミリアを見下ろす。



「そんなバカな・・・!!!
こんなに光り輝いているのに有り得ない・・・!!!」



「私にもこの子が光り輝いているように見えます。」



「それはそうだろうが、そういうことではなくて・・・!!
王に近い王族には特殊な“目”があって、この国にとって・・・自分にとって重要な女は光り輝いて見えるんだ!!!」



「そうなんですね、初めて聞きました。
じゃあこの子、将来、“私、女になるの!”とか言うんですかね?」



そう言われ、それには悩みながらも答えた。



「俺にはソッチの趣味は残念ながらないな・・・。」



「もしも出てきた時は教え下さい、私にだけでも。」



ミランダがイタズラっ子な笑顔で笑い口元に人差し指を立てたので、俺も同じようにして笑った。
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