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8年前、15歳
「ソソ!!水浴び行くよ!!」
チチ達と一緒に狩りから帰って来た弟のソソに今日も声を掛けた。
良い感じに血を浴びることが出来ている自分の弟に声を掛けると、ソソの周りにいた私と同世代の男達がパッと私の方を見てきた。
「俺も水浴び行く!!」
「俺も!!」
「ルルも水浴びすんのか!?」
男達にそう聞かれ、男達に混ざり狩りに行った2人の女、私と同じ歳のミーナとサラの方を見る。
ミーナとサラは男達の背中を大きく叩いてから叱りつけた。
「うちらは反省会でしょ!!」
「早く行くよ!!」
「何で俺達も反省会なんだよ!!
反省することなんてねーよ!!」
「弟とはいえソソだけ狡いだろ!!」
「まだガキだからって反省会に出なくていいなんて俺は許さねーぞ!?
弟だからってルルと2人で水浴びしてるなんて許さねーぞ!?」
1人の男がそう叫んだ時、ソソが私のことを見上げながら聞いてきた。
「今日“月のモノ”が来てるから狩りに行かなったんだよね?
だから水浴びもしないでしょ?
“月のモノ”が来てる時はいつも水浴び我慢してるし。」
ソソの言葉に周りの男達が少しだけ固まった。
子どもだけど男でもあるソソには“月のモノ”が来たことは伝えていなかったのに気付かれていて、それには驚いたから。
そしてそんな発言を他の男の前でしてしまっていることにも。
この幼い弟にどう話そうか少しだけ考えていた時・・・
「ルル、だから狩りに来なかったのか!!
久しぶりに一緒に狩るの楽しみにしてたんだぞ!?」
川を挟んで隣の村、インラドルの男、私より2歳年上のヨークが豪快に笑いながら少し向こうから歩いてきた。
そして私の隣に立つソソの頭に大きな手をのせた。
「女が“月のモノ”になっていると良くないモノまで寄ってくることがあるから狩りや討伐には行かせられない。
そう言われているくらい女の“月のモノ”は重要なことだからな?
ルルに良くないモノまで寄ってきたらソソだって嫌だろ?
だから気付いていても他の奴らには教えるもんじゃねーぞ。」
ヨークが上手いことソソに説明してくれ安心していたら、ソソが真面目な顔で頷きながらヨークに向かって口を開いた。
「ルルに良くないモノまで寄ってくるのは嫌な気持ちにはなるかもしれないけど、ルルはこの村でチチの次に強い。
だから何が寄ってきたとしてもルルなら倒せる。」
ソソがそう言うと、向こう側にいる男達が大きく頷いているのが見えた。
それに笑い返していた時、ヨークが意地悪な笑顔でソソや私達のことを見てきた。
「“良くないモノ”は俺かもしれねーぞ?
ルルも来年には16になるからな!!
俺のところに嫁にくるか!?」
ヨークがそんな冗談を言ったので私は大笑いをした。
そしたらソソが素早く動き、一瞬でヨークの喉仏にいつから持っていたのか木の枝を突き付けた。
「ルルは自分より強い男のところに嫁ぐって昔から言ってる。
だからヨークのところには嫁にいかない。」
昔から私が言っている言葉をソソがヨークに告げると、ヨークが瞬間的にソソのことを地面に沈めた。
それからヨークはゆっくりと私のことを見上げてきた。
「この歳でこの村で3番目に強い奴か。」
その言葉に私は深く頷いた。
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8年前、15歳
「ソソ!!水浴び行くよ!!」
チチ達と一緒に狩りから帰って来た弟のソソに今日も声を掛けた。
良い感じに血を浴びることが出来ている自分の弟に声を掛けると、ソソの周りにいた私と同世代の男達がパッと私の方を見てきた。
「俺も水浴び行く!!」
「俺も!!」
「ルルも水浴びすんのか!?」
男達にそう聞かれ、男達に混ざり狩りに行った2人の女、私と同じ歳のミーナとサラの方を見る。
ミーナとサラは男達の背中を大きく叩いてから叱りつけた。
「うちらは反省会でしょ!!」
「早く行くよ!!」
「何で俺達も反省会なんだよ!!
反省することなんてねーよ!!」
「弟とはいえソソだけ狡いだろ!!」
「まだガキだからって反省会に出なくていいなんて俺は許さねーぞ!?
弟だからってルルと2人で水浴びしてるなんて許さねーぞ!?」
1人の男がそう叫んだ時、ソソが私のことを見上げながら聞いてきた。
「今日“月のモノ”が来てるから狩りに行かなったんだよね?
だから水浴びもしないでしょ?
“月のモノ”が来てる時はいつも水浴び我慢してるし。」
ソソの言葉に周りの男達が少しだけ固まった。
子どもだけど男でもあるソソには“月のモノ”が来たことは伝えていなかったのに気付かれていて、それには驚いたから。
そしてそんな発言を他の男の前でしてしまっていることにも。
この幼い弟にどう話そうか少しだけ考えていた時・・・
「ルル、だから狩りに来なかったのか!!
久しぶりに一緒に狩るの楽しみにしてたんだぞ!?」
川を挟んで隣の村、インラドルの男、私より2歳年上のヨークが豪快に笑いながら少し向こうから歩いてきた。
そして私の隣に立つソソの頭に大きな手をのせた。
「女が“月のモノ”になっていると良くないモノまで寄ってくることがあるから狩りや討伐には行かせられない。
そう言われているくらい女の“月のモノ”は重要なことだからな?
ルルに良くないモノまで寄ってきたらソソだって嫌だろ?
だから気付いていても他の奴らには教えるもんじゃねーぞ。」
ヨークが上手いことソソに説明してくれ安心していたら、ソソが真面目な顔で頷きながらヨークに向かって口を開いた。
「ルルに良くないモノまで寄ってくるのは嫌な気持ちにはなるかもしれないけど、ルルはこの村でチチの次に強い。
だから何が寄ってきたとしてもルルなら倒せる。」
ソソがそう言うと、向こう側にいる男達が大きく頷いているのが見えた。
それに笑い返していた時、ヨークが意地悪な笑顔でソソや私達のことを見てきた。
「“良くないモノ”は俺かもしれねーぞ?
ルルも来年には16になるからな!!
俺のところに嫁にくるか!?」
ヨークがそんな冗談を言ったので私は大笑いをした。
そしたらソソが素早く動き、一瞬でヨークの喉仏にいつから持っていたのか木の枝を突き付けた。
「ルルは自分より強い男のところに嫁ぐって昔から言ってる。
だからヨークのところには嫁にいかない。」
昔から私が言っている言葉をソソがヨークに告げると、ヨークが瞬間的にソソのことを地面に沈めた。
それからヨークはゆっくりと私のことを見上げてきた。
「この歳でこの村で3番目に強い奴か。」
その言葉に私は深く頷いた。
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