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1月4日、9時30分
“ゆきのうえ商店街”にオープンする本店
1階のフロアで唯乃や唯斗君、その他にも数人の分家の人間、そしてワンスターエージェントから紹介された正社員やアルバイトスタッフ達の前に立ち、私はみんなのことを見渡した。
それから、モニターに写し出されている全国でオープンをする支店の映像、そこに集まっているみんなにも向かって笑顔で笑い掛けた。
「オープンまであと30分。
今日まで私に協力をしてくれて本当にありがとう。」
“分家の人間全員を私の会社で働かせる”
私が掲げたその目標を達成することは出来なかった。
比較的に若い世代は全員働いてくれることになったれど、40代半ばから50代以降の分家の人達からの声はとても厳しいもので。
でも、自分の子どもや孫が私の会社で働くことについては大きな反対はなく、私の事業や私の私生活を邪魔してくることもなく・・・。
送られてきた沢山の開店祝いの花の中には、分家の“家”からの花もある。
和樹が社長になっている増田清掃からの花もある。
和樹は本人が送ってくれたんだろうなと予想する中で、分家の”家“からの花の手配は秘書達がしたと簡単過ぎるくらい簡単に分かる。
青さんが集めていた秘書達は、今ではワンスターエージェントで増田財閥からの依頼“も”担当していると聞いている。
青さんの会社はうちの財閥の傘下に入ることはなかった。
でも、その必要がなくなったくらいに上手く話はまとまったと譲社長が言っていた。
お兄ちゃんと青さんで立ち上げたワンスターエージェントはうちの財閥の事情を・・・うちの財閥だけではなく永家財閥の事情も知りすぎていた。
お兄ちゃんがいた頃はうちの財閥の“掃除”の仕事も担っていたのでそれは当たり前ではあるけれど、お兄ちゃんがいなくなった後は永家にまで入り込んでいた青さん。
財閥のことを心底嫌いで、財閥のことなんて到底理解出来ていなかった青さん。
本店に送られてきたお花のうちの1つ、真っ青な花が集まった大きな大きなお花、ワンスターエージェントからのお花を眺めながら自然と笑顔になる。
“望に洗剤を買ってくるようにお願いをしたら上手くいった”
お母さんがそんなよく分からないことを言っていたけれど、青さんについては綺麗に掃除をしてくれたらしい。
お店の窓ガラスの向こう側に見える行列に視線を移し、吐き出した。
「売りまくろうか。」
それから本店のみんなを、そしてモニターに映し出されたみんなを、見詰めた。
「増田財閥1どころか日本1のお店を作ろう!!」
大きな大きな声を上げた私に、元気な元気な沢山の声が返ってきた。
その声を聞きながらお店の1番目立つ所に飾られている1番大きな写真を見上げる。
そこには年明けから増田生命の営業部に戻る“純”の写真が・・・。
メンズ服を着た“純”が“waka”の服を着ている佐伯さんに、両手で持ったコートを肩に掛け・・・
キスをしてしまうくらい近い距離でお互いに見詰め合っている。
あまりにも美しすぎるこの写真を私は選ばずにいられなかった。
“砂川課長、若松さん、ごめんなさい。”
苦笑いをしていた2人の旦那さん達にもう1度心の中で謝罪をし、マタニティウェアの上から下腹部を撫でた。
それからレジの奥にある棚に飾られている2枚の写真を見る。
この本店のみんなが写っている写真ともう1枚、“あの日”撮った記念写真が飾られている。
ここは増田財閥の子会社。
結婚しても“羽鳥一美”のまま増田ホールディングスの1経理部員として働き、そして増田財閥の経理統括責任者としての肩書も持つ私が代表取締役を務める、“Koseki”のアパレル会社。
お友達の永家財閥の協力も加わり、沢山の協力企業まで集まり完成した沢山のお店。
そして・・・
スマホを取り出し、スマホの壁紙にしている“あの日”の幸治君とのツーショット写真を眺めて笑った。
「幸治君も今頃忙しいかな。」
幸治君が付き合ってくれた文ちゃんの旦那さんのホテルのパーティー。
そこで譲社長から紹介された松戸会計事務所にも次々と仕事が舞い込んでいて、また沢山のスタッフが入ってくるらしい。
《オープン初日頑張ってください!
夕方には俺も行きます!!》
”あの日“の松戸先生とのツーショットから幸治君だけを切り取った写真のアイコンが私にそう言ってくれているメッセージ。
それに顔がにやけてしまう中、強い視線を感じて顔を上げた。
そしたら、いた。
幸治君と私の沢山の思い出に何度も登場してくれたあの2人の若い男の子達がお店の1番前に並んでくれていた。
他の男の子達はそれぞれの実家地域にあるお店に行くらしいと幸治君から聞いている。
「4月から私の旦那さんを、よろしくね。」
この2人の男の子は4月1日にはなんと松戸会計事務所に入ってくるらしい。
私に大きく手を振ってくれている2人の男の子達に私も手を振り返した・・・
その時・・・
トクッ───────...と、私の下腹部が確かに動いた。
小さくだけど、動いた。
「お嬢様は・・・ママは、今日も頑張る。」
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1月4日、9時30分
“ゆきのうえ商店街”にオープンする本店
1階のフロアで唯乃や唯斗君、その他にも数人の分家の人間、そしてワンスターエージェントから紹介された正社員やアルバイトスタッフ達の前に立ち、私はみんなのことを見渡した。
それから、モニターに写し出されている全国でオープンをする支店の映像、そこに集まっているみんなにも向かって笑顔で笑い掛けた。
「オープンまであと30分。
今日まで私に協力をしてくれて本当にありがとう。」
“分家の人間全員を私の会社で働かせる”
私が掲げたその目標を達成することは出来なかった。
比較的に若い世代は全員働いてくれることになったれど、40代半ばから50代以降の分家の人達からの声はとても厳しいもので。
でも、自分の子どもや孫が私の会社で働くことについては大きな反対はなく、私の事業や私の私生活を邪魔してくることもなく・・・。
送られてきた沢山の開店祝いの花の中には、分家の“家”からの花もある。
和樹が社長になっている増田清掃からの花もある。
和樹は本人が送ってくれたんだろうなと予想する中で、分家の”家“からの花の手配は秘書達がしたと簡単過ぎるくらい簡単に分かる。
青さんが集めていた秘書達は、今ではワンスターエージェントで増田財閥からの依頼“も”担当していると聞いている。
青さんの会社はうちの財閥の傘下に入ることはなかった。
でも、その必要がなくなったくらいに上手く話はまとまったと譲社長が言っていた。
お兄ちゃんと青さんで立ち上げたワンスターエージェントはうちの財閥の事情を・・・うちの財閥だけではなく永家財閥の事情も知りすぎていた。
お兄ちゃんがいた頃はうちの財閥の“掃除”の仕事も担っていたのでそれは当たり前ではあるけれど、お兄ちゃんがいなくなった後は永家にまで入り込んでいた青さん。
財閥のことを心底嫌いで、財閥のことなんて到底理解出来ていなかった青さん。
本店に送られてきたお花のうちの1つ、真っ青な花が集まった大きな大きなお花、ワンスターエージェントからのお花を眺めながら自然と笑顔になる。
“望に洗剤を買ってくるようにお願いをしたら上手くいった”
お母さんがそんなよく分からないことを言っていたけれど、青さんについては綺麗に掃除をしてくれたらしい。
お店の窓ガラスの向こう側に見える行列に視線を移し、吐き出した。
「売りまくろうか。」
それから本店のみんなを、そしてモニターに映し出されたみんなを、見詰めた。
「増田財閥1どころか日本1のお店を作ろう!!」
大きな大きな声を上げた私に、元気な元気な沢山の声が返ってきた。
その声を聞きながらお店の1番目立つ所に飾られている1番大きな写真を見上げる。
そこには年明けから増田生命の営業部に戻る“純”の写真が・・・。
メンズ服を着た“純”が“waka”の服を着ている佐伯さんに、両手で持ったコートを肩に掛け・・・
キスをしてしまうくらい近い距離でお互いに見詰め合っている。
あまりにも美しすぎるこの写真を私は選ばずにいられなかった。
“砂川課長、若松さん、ごめんなさい。”
苦笑いをしていた2人の旦那さん達にもう1度心の中で謝罪をし、マタニティウェアの上から下腹部を撫でた。
それからレジの奥にある棚に飾られている2枚の写真を見る。
この本店のみんなが写っている写真ともう1枚、“あの日”撮った記念写真が飾られている。
ここは増田財閥の子会社。
結婚しても“羽鳥一美”のまま増田ホールディングスの1経理部員として働き、そして増田財閥の経理統括責任者としての肩書も持つ私が代表取締役を務める、“Koseki”のアパレル会社。
お友達の永家財閥の協力も加わり、沢山の協力企業まで集まり完成した沢山のお店。
そして・・・
スマホを取り出し、スマホの壁紙にしている“あの日”の幸治君とのツーショット写真を眺めて笑った。
「幸治君も今頃忙しいかな。」
幸治君が付き合ってくれた文ちゃんの旦那さんのホテルのパーティー。
そこで譲社長から紹介された松戸会計事務所にも次々と仕事が舞い込んでいて、また沢山のスタッフが入ってくるらしい。
《オープン初日頑張ってください!
夕方には俺も行きます!!》
”あの日“の松戸先生とのツーショットから幸治君だけを切り取った写真のアイコンが私にそう言ってくれているメッセージ。
それに顔がにやけてしまう中、強い視線を感じて顔を上げた。
そしたら、いた。
幸治君と私の沢山の思い出に何度も登場してくれたあの2人の若い男の子達がお店の1番前に並んでくれていた。
他の男の子達はそれぞれの実家地域にあるお店に行くらしいと幸治君から聞いている。
「4月から私の旦那さんを、よろしくね。」
この2人の男の子は4月1日にはなんと松戸会計事務所に入ってくるらしい。
私に大きく手を振ってくれている2人の男の子達に私も手を振り返した・・・
その時・・・
トクッ───────...と、私の下腹部が確かに動いた。
小さくだけど、動いた。
「お嬢様は・・・ママは、今日も頑張る。」
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