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号泣しながらもしっかりと早足でエレベーターを降りられていた、その時・・・
私の鞄からスマホの着信が聞こえた。
それには一気に冷静になり、早退してしまった仕事のことを思い浮かべ急いでスマホを取り出した。
そしたら、見えた。
スマホの画面に表示されている番号が。
登録していない番号なのにちゃんと知っている番号。
ちゃんと覚えている番号。
私が“いけないコト”を幸治君と始めるキッカケとなった番号。
私が“忘れた”と嘘をついた幸治君のスマホの電話番号が、私のスマホに表示されていた。
「私の番号・・・っ渡したのなんて、ずっと昔なのに・・・っ」
幸治君の18歳の誕生日の日に渡した私の連絡先に、幸治君がこのタイミングで電話をしてきた。
これから先、幸治君に何を言われても私は幸治君からのどんな言葉も受け取るつもりはない。
幸治君のことを“可哀想”にしない為に。
だって、私は“普通”ではないから。
私は増田財閥の分家の女。
私の家族以外の分家の人間達はまだ財閥に戻ることを許されていない。
そんな中でこの子が私のお腹に来たということを、私の家や加藤の家だけではなく他の分家達が黙っているわけがない。
譲社長だってどう判断するのかも分からない。
“幸治君のことを巻き込みたくない”と強く思う。
幸治君には本当に幸せになって欲しいと心から願っていたから。
昔から本当に、ちゃんとそれを望んでいたから。
幸治君が若くて可愛い女の子と幸せになっている姿を想像し、どんなに苦しくても昔からそれを心から望んでいた。
だから、私は幸治君からのどんな言葉も受け取るわけにはいかない。
“俺の幸せを一美さんが決めないでください”
何度その言葉を言われたとしても、私は絶対に受け取ることはない。
そう思う・・・。
本当に、そう思う・・・。
スマホの画面に表示されている幸治君の電話番号を見下ろしながら、そう思う・・・。
「今更もう遅いよ・・・。」
“待っていたんだよ。”
““羽鳥さん”はずっと、幸治君からの連絡を待っていたんだよ。”
“幸治君が言っていたから・・・。”
““いつスマホを持つかも分かりませんし、スマホを持った時に羽鳥さんがまだここに来てくれているかも分かりませんけど、絶対に連絡します。”と、そう言っていたから。”
「今更もう遅いよ・・・。」
もう1度そう文句を言った。
文句を言ったけれど・・・
通話ボタンを押した後にスマホをゆっくりと耳に当てた。
“凄く嬉しい”と思いながら。
“やっぱり、凄く凄く嬉しい”と思いながら。
幸治君からの電話を、私はずっと待っていたのだと改めて思いながら。
号泣しながら電話に出た私の耳に、幸治君の声が直接響いてきた。
私の耳に、頭に、全身に響くくらい愛おしい幸治の声が・・・
「“羽鳥さん”。」
と・・・。
私の鞄からスマホの着信が聞こえた。
それには一気に冷静になり、早退してしまった仕事のことを思い浮かべ急いでスマホを取り出した。
そしたら、見えた。
スマホの画面に表示されている番号が。
登録していない番号なのにちゃんと知っている番号。
ちゃんと覚えている番号。
私が“いけないコト”を幸治君と始めるキッカケとなった番号。
私が“忘れた”と嘘をついた幸治君のスマホの電話番号が、私のスマホに表示されていた。
「私の番号・・・っ渡したのなんて、ずっと昔なのに・・・っ」
幸治君の18歳の誕生日の日に渡した私の連絡先に、幸治君がこのタイミングで電話をしてきた。
これから先、幸治君に何を言われても私は幸治君からのどんな言葉も受け取るつもりはない。
幸治君のことを“可哀想”にしない為に。
だって、私は“普通”ではないから。
私は増田財閥の分家の女。
私の家族以外の分家の人間達はまだ財閥に戻ることを許されていない。
そんな中でこの子が私のお腹に来たということを、私の家や加藤の家だけではなく他の分家達が黙っているわけがない。
譲社長だってどう判断するのかも分からない。
“幸治君のことを巻き込みたくない”と強く思う。
幸治君には本当に幸せになって欲しいと心から願っていたから。
昔から本当に、ちゃんとそれを望んでいたから。
幸治君が若くて可愛い女の子と幸せになっている姿を想像し、どんなに苦しくても昔からそれを心から望んでいた。
だから、私は幸治君からのどんな言葉も受け取るわけにはいかない。
“俺の幸せを一美さんが決めないでください”
何度その言葉を言われたとしても、私は絶対に受け取ることはない。
そう思う・・・。
本当に、そう思う・・・。
スマホの画面に表示されている幸治君の電話番号を見下ろしながら、そう思う・・・。
「今更もう遅いよ・・・。」
“待っていたんだよ。”
““羽鳥さん”はずっと、幸治君からの連絡を待っていたんだよ。”
“幸治君が言っていたから・・・。”
““いつスマホを持つかも分かりませんし、スマホを持った時に羽鳥さんがまだここに来てくれているかも分かりませんけど、絶対に連絡します。”と、そう言っていたから。”
「今更もう遅いよ・・・。」
もう1度そう文句を言った。
文句を言ったけれど・・・
通話ボタンを押した後にスマホをゆっくりと耳に当てた。
“凄く嬉しい”と思いながら。
“やっぱり、凄く凄く嬉しい”と思いながら。
幸治君からの電話を、私はずっと待っていたのだと改めて思いながら。
号泣しながら電話に出た私の耳に、幸治君の声が直接響いてきた。
私の耳に、頭に、全身に響くくらい愛おしい幸治の声が・・・
「“羽鳥さん”。」
と・・・。
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