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その日の深夜
「眠れない・・・。」
妊娠してからというもの、朝も日中もずっと眠たくて。
寝ても寝ても眠くて今だって凄く眠い。
なのにブタネコ之助と2人きりで眠るこのベッドでは全然寝付けなくて。
それに・・・
「ナ"ァ─────ォ"・・・ナ"ァ─────ォ"・・・ナ"ァ─────ォ"・・・ナ"ァ─────ォ"・・・」
桜の大運動会の音ではなく、玄関からは桜が泣き続けている声がずっと聞こえている。
数分前に見に行った時はリビングや廊下をウロウロとしていた桜。
今では玄関からその鳴き声が聞こえ、また桜の様子を見に重い身体を動かし立ち上がった。
ブタネコ之助も抱き締めながら、今日から住み始めた私達の家の中を恐る恐る歩く。
だって、まだここが私達の家だなんて思えなくて。
“怖い”と思うくらいやけに静かに感じる家の中で桜の鳴き声だけが大きく響く。
「桜・・・?」
玄関にいる桜を呼ぶと、桜は玄関の扉の前で扉の向こう側へと行きたいような仕草をしている。
それには恐る恐るドアスコープを確認したけれど当たり前のように誰もいない。
当たり前のように誰も、誰もいない・・・。
“誰か”なんているわけがない。
なのに・・・
「パパがいるのかと思っちゃった・・・。」
小さく笑いながら桜の前にしゃがみ桜のことを優しく撫でる。
「パパの所に行きたい・・・?」
聞いた私に桜はゴロゴロと喉を鳴らしながら身体を私に擦り付けてくる。
「この家にパパは帰って来ないんだよ・・・。」
ゴロゴロと私に甘えてくれる桜のことを撫でながら吐き出す。
「パパはもういなくなっちゃったの・・・。」
私の涙が桜の身体に吸い込まれていく。
「ママのせいでパパはいなくなっちゃったの・・・。」
そう吐き出した瞬間・・・
実際に身体の中から込み上げてきて、慌てて立ち上がりおトイレで吐き出した。
妊娠してからつわりで嘔吐したのはこれが初めてのことだった。
でも、この口からは胃液しか出てこなくて・・・。
園江さんがコンビニで買ってきてくれたハムとキュウリのサンドイッチは一口も食べられていなかった。
「眠れない・・・。」
妊娠してからというもの、朝も日中もずっと眠たくて。
寝ても寝ても眠くて今だって凄く眠い。
なのにブタネコ之助と2人きりで眠るこのベッドでは全然寝付けなくて。
それに・・・
「ナ"ァ─────ォ"・・・ナ"ァ─────ォ"・・・ナ"ァ─────ォ"・・・ナ"ァ─────ォ"・・・」
桜の大運動会の音ではなく、玄関からは桜が泣き続けている声がずっと聞こえている。
数分前に見に行った時はリビングや廊下をウロウロとしていた桜。
今では玄関からその鳴き声が聞こえ、また桜の様子を見に重い身体を動かし立ち上がった。
ブタネコ之助も抱き締めながら、今日から住み始めた私達の家の中を恐る恐る歩く。
だって、まだここが私達の家だなんて思えなくて。
“怖い”と思うくらいやけに静かに感じる家の中で桜の鳴き声だけが大きく響く。
「桜・・・?」
玄関にいる桜を呼ぶと、桜は玄関の扉の前で扉の向こう側へと行きたいような仕草をしている。
それには恐る恐るドアスコープを確認したけれど当たり前のように誰もいない。
当たり前のように誰も、誰もいない・・・。
“誰か”なんているわけがない。
なのに・・・
「パパがいるのかと思っちゃった・・・。」
小さく笑いながら桜の前にしゃがみ桜のことを優しく撫でる。
「パパの所に行きたい・・・?」
聞いた私に桜はゴロゴロと喉を鳴らしながら身体を私に擦り付けてくる。
「この家にパパは帰って来ないんだよ・・・。」
ゴロゴロと私に甘えてくれる桜のことを撫でながら吐き出す。
「パパはもういなくなっちゃったの・・・。」
私の涙が桜の身体に吸い込まれていく。
「ママのせいでパパはいなくなっちゃったの・・・。」
そう吐き出した瞬間・・・
実際に身体の中から込み上げてきて、慌てて立ち上がりおトイレで吐き出した。
妊娠してからつわりで嘔吐したのはこれが初めてのことだった。
でも、この口からは胃液しか出てこなくて・・・。
園江さんがコンビニで買ってきてくれたハムとキュウリのサンドイッチは一口も食べられていなかった。
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