【R18・完】お嬢様は“いけないコト”がしたい

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「「「え──────────っっ！！？」」」 




数時間後、経理部の部屋で皆の悲鳴にも似た大きな声が響く。
それはさっき福富さんが風邪でお休みだと聞いた時よりも遥かに大きな声。



「嘘でしょ！！？？」



「課長が結婚！！！？」



「てか、彼女いなかったよね！！！？」



始業前に課長から「私事ですがご報告が」という切り出しの後、結婚したということを聞かされた。



それには私も凄く驚いて・・・



「「「「相手どんな人！！！？」」」」



みんなと同じ疑問を私も抱く。



みんなからの質問に課長は“普通”の顔で口を開き・・・



「園江さんです。」



と・・・。



この場にはいない園江さんの名前が出て来てみんなは大混乱で・・・



まだまだ仕事が始まりそうにない中、砂川課長に呼ばれ会議室へと入った。



そして砂川課長が鍵を閉め、私が椅子に座ったのを確認した後・・・



「園江さんから聞きました。
妊娠されているそうで。」



“課長にその話をする為に夫婦になったの・・・？”



佐伯さんと付き合っているはずの園江さんが砂川課長と結婚をした。



昨日、トイレの床から立ち上がれなくなっている私に手を差し伸べてくれた園江さん。



助けを求めた私に園江さんは深く深く頷いてくれた。



幸治君の幸せと幸治君との赤ちゃんのことだけしか今は考えられなくなってしまった、ダメな分家の女でありダメな社長である私に、園江さんは「必ず助けます」と答えてくれた。



「経理部のことだけではなく“Koseki”のこともあるのに・・・申し訳ございません・・・。」



誰にも知られることなく赤ちゃんを産みたいという、“普通”ではない思考になっている私が涙を堪えながら深く頭を下げた。



優しさも厳しさも持っている課長からどんな言葉が出てくるのかと“怖い”と思い、小さく震えながら。



「頭を上げてください。」



頭を下げ続ける私に砂川課長はそう言って、私はゆっくりとだけど頭を上げた。



そしたら、見えた。



砂川課長の“大満足！！”というような顔が。



「羽鳥さんが妊娠していたお陰で、俺は園江さんと結婚することが出来ました。」



「夫婦でしか出来ない話もありますからね・・・。」



本当の夫婦ではない幸治君と私。
私は幸治君に妊娠したということを言えなかった。



「まだ妊娠初期ということですし、可能な範囲で極秘事項として進めていきましょう。
・・・あ、佐伯さんには勝手に話してあります。」



「佐伯さんに・・・？」



「経理の仕事もそうですが、“Koseki”の方のフォローもお願いしてあります。」



砂川課長が目を鋭くさせ、満足そうに笑う。



「佐伯さんの幼馴染みは若松さんですからね。
使える物は使いましょう。」



何でも使ってしまう砂川課長がそう言って・・・



「佐伯さんがマタニティウェアのデザインを若松さんから奪い取ってきてくれました。」



驚く私に砂川課長は優しい顔で笑う。



「次の人生で佐伯さんに着て貰いたいと思ってデザインをした物なんだと思います。
大切に売り出しましょう。」








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