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うちの財閥の分家はもう綺麗で正しく生きる必要はなくなった。
それでも許される範囲でしか“いけないコト”が出来ない私。
それが増田財閥の分家の人間には必要なこと。
でも、私は“Koseki”のトップになった。
私はもう、ただの増田財閥の分家の人間なだけではない。
私は増田財閥のお金で会社を立ち上げただけの社長ではない。
私は、増田財閥の力だけではなく、私自身の力でも事業をスタートさせようとしている羽鳥一美。
増田財閥の分家である小関の父と“Hatori”のお嬢様である母を持つ、羽鳥一美。
綺麗で正しく生きるだけの分家の人間では歩いていけない道がある。
私はそれをちゃんと学んできた。
知識だけではなくこの身体で、この足で学んで来た。
そう思いながも、会場の中心に集まる多くの人達に近付いていき・・・
無意識に幸治君の腕を握る右手に力が入った、その時・・・
「羽鳥さん!!」
お兄ちゃんと貴子さんの結婚式でも聞いた声が・・・。
翔子さんの声が、した。
会場の中心にいる多くの人達をかき分けて翔子さんが真っ直ぐと私に向かって歩いてきた。
その向こう側には一夜さんの姿もある。
それを確認した時、見えた。
翔子さんの大きな声と大きな動きにより多くの人達の身体も視線も私の方に・・・“私達”の方に向いていると。
それに気付き、永家財閥のトップに立つ可能性だってある翔子さんに向かって大きく口を開いた。
「翔子さん!!兄の結婚式ではありがとうございました!!
そして増田財閥の新事業、“Koseki”の社長としてこの度無事に会社を立ち上げることが出来ました~!!
その節は本当にありがとうございました!!」
私の言葉に翔子さんは力強く光る目で小さく頷き、真っ赤なリップが塗られている口をまた大きく開けようとした。
その目が幸治君のことを捉えたことも確認し、私は翔子さんよりも先に口を開いた。
大きく大きく開いた。
翔子さんにそこまでお世話になるには、翔子さんにお世話になりすぎている“怖さ”も感じてはいるから。
翔子さんの向こう側に見える一夜さんの方に視線を移し、優しい目で私ではなく幸治君の方を見ている一夜さんに大きく吐き出した。
「一夜さん!!
お陰様で、彼と無事に“こういう関係”になれました~!!」
婚約とも結婚とも言葉にはせず、“こういう関係”と濁し両手で幸治君の腕に抱き付いた。
「うん、おめでとう。
増田財閥が利用している会計事務所の公認会計士さんだよね。」
一夜さんは優しい優しい顔で笑って・・・
そして・・・
「羽鳥さんのお父様である増田財閥の分家、小関の現当主が初めて羽鳥さんのお母様とデートをしてプロポーズまでしたフレンチレストラン。
そのお店のシェフとスー・シェフのお子さんが、羽鳥さんのお相手だったんだね、ついこの前知ったよ。」
現時点で私も知らなかったことを、一夜さんが多くの人の前で吐き出してきた。
それでも許される範囲でしか“いけないコト”が出来ない私。
それが増田財閥の分家の人間には必要なこと。
でも、私は“Koseki”のトップになった。
私はもう、ただの増田財閥の分家の人間なだけではない。
私は増田財閥のお金で会社を立ち上げただけの社長ではない。
私は、増田財閥の力だけではなく、私自身の力でも事業をスタートさせようとしている羽鳥一美。
増田財閥の分家である小関の父と“Hatori”のお嬢様である母を持つ、羽鳥一美。
綺麗で正しく生きるだけの分家の人間では歩いていけない道がある。
私はそれをちゃんと学んできた。
知識だけではなくこの身体で、この足で学んで来た。
そう思いながも、会場の中心に集まる多くの人達に近付いていき・・・
無意識に幸治君の腕を握る右手に力が入った、その時・・・
「羽鳥さん!!」
お兄ちゃんと貴子さんの結婚式でも聞いた声が・・・。
翔子さんの声が、した。
会場の中心にいる多くの人達をかき分けて翔子さんが真っ直ぐと私に向かって歩いてきた。
その向こう側には一夜さんの姿もある。
それを確認した時、見えた。
翔子さんの大きな声と大きな動きにより多くの人達の身体も視線も私の方に・・・“私達”の方に向いていると。
それに気付き、永家財閥のトップに立つ可能性だってある翔子さんに向かって大きく口を開いた。
「翔子さん!!兄の結婚式ではありがとうございました!!
そして増田財閥の新事業、“Koseki”の社長としてこの度無事に会社を立ち上げることが出来ました~!!
その節は本当にありがとうございました!!」
私の言葉に翔子さんは力強く光る目で小さく頷き、真っ赤なリップが塗られている口をまた大きく開けようとした。
その目が幸治君のことを捉えたことも確認し、私は翔子さんよりも先に口を開いた。
大きく大きく開いた。
翔子さんにそこまでお世話になるには、翔子さんにお世話になりすぎている“怖さ”も感じてはいるから。
翔子さんの向こう側に見える一夜さんの方に視線を移し、優しい目で私ではなく幸治君の方を見ている一夜さんに大きく吐き出した。
「一夜さん!!
お陰様で、彼と無事に“こういう関係”になれました~!!」
婚約とも結婚とも言葉にはせず、“こういう関係”と濁し両手で幸治君の腕に抱き付いた。
「うん、おめでとう。
増田財閥が利用している会計事務所の公認会計士さんだよね。」
一夜さんは優しい優しい顔で笑って・・・
そして・・・
「羽鳥さんのお父様である増田財閥の分家、小関の現当主が初めて羽鳥さんのお母様とデートをしてプロポーズまでしたフレンチレストラン。
そのお店のシェフとスー・シェフのお子さんが、羽鳥さんのお相手だったんだね、ついこの前知ったよ。」
現時点で私も知らなかったことを、一夜さんが多くの人の前で吐き出してきた。
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