【R18・完】お嬢様は“いけないコト”がしたい

31

31-5

「“普通”はそうではありませんね。
ですがその人は“普通”の人ではないので。
そのお姉さんは怖い人なので園江さんも気を付けてくださいね。」



「羽鳥さんは“普通”の女の人ですよ。
“普通”過ぎてチョロい女です。」



園江さんが私のことをそんな風に言った。



「だから好きな人と一緒に暮らしたいとも思うだろうし、好きな人とセックスをしたいとも思うはずです。
それはそんなにいけないことなんですか？」



「この人にとってはいけないことですね。
自分はそんなことをしておきながら“家”の秘書には何1つあげないとか、俺には到底理解出来ない。」



「私にも理解が出来ません。
だから教えてくれませんか？星野社長。」



園江さんが穏やかな静かな声で・・・でも、不思議と力が込められたのが分かるような声で吐き出した。



「どうして望に返信してあげなかったんですか？」



園江さんが青さんにそんな質問をした。



「返信するつもりがないのにどうして“いつでも連絡しろ”って言ったんですか？」



「お前・・・その女から聞いたのか？」



「望から聞きました。」



「望から・・・？」



「私は望の友達の“ソっちゃん”です。
タイミングを見て言おうと思っていましたが、今がそのタイミングだと思うので教えてください。
私は望の友達なので望から星野社長のことを・・・青さんのことを沢山聞いています。
私は望から沢山聞きました。」



ずっと友達と呼べる友達が出来なかった望さんの友達になってくれた園江さん。
“ソっちゃん”が青さんに吐き出した。



「“一言で良いから青さんからの返信が欲しい。
でも、もう迷惑ならもう送ってくるなって言って欲しい。
もう面倒になったならそう言ってくれていいのに。
私は青さんの言う通りに全然出来なかったから、もう面倒になっちゃったかな。”って。」



私は聞いたことがない話を“ソっちゃん”がしていく。



「望が青さんから欲しかった物はメッセージの返信だけでした。
それも一言だけで良かったのに。
望はずっと待っていたのに。
青さんが言っていたから・・・。
“暇だったら返信する”という言葉の通り、毎日毎日メッセージを送って、青さんが暇になる時を待っていたのに。」



私のお兄ちゃんのことが好きな望さん。
“ソっちゃん”はきっとそのことも知っているはずで。
でも、そんな“ソっちゃん”の口から出てくる言葉はまるで・・・まるで・・・



「望は青さんのことがずっと好きだったのに。」



 

.