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いつもの突っ込みとは明らかに違う雰囲気の幸治君に私も文句を言う。
「数秒前までは子どもと“ママ”のことを優先するみたいなことを言ってくれてたのに。」
「これに関しては子どものことを優先しまくっています。
だって、名前ですよ?
一美さんの名前なら一美さんの好きな名前を付ければ良いと思いますけど、子どもの名前はこの子が死んだ後も残った家族により残していけるモノなんですよ?」
「うん、だからモチ丸。
この子にピッタリの可愛い名前じゃない?」
答えた私に幸治君が項垂れながら両手で頭を抱えた。
「マジか・・・一美さんって、マジで“そういう感じ”だったのか・・・。
マジでブタネコ之助って名付けてたのか・・・。」
幸治君がブツブツと独り言を言って、それからパッと私のことをまた見た。
「一美さんが改名をしないといけないことになったとして、一美さんのお母さんから“今日からアナタの名前は巨乳お姉さんという名前ね”って言われたら、どう思います?」
「え・・・幸治君って私のことをそんな風に思ってるの?酷い・・・。」
「そのことは一旦置いておいて、一美さんがこの子に付けようとしてるモチ丸っていう名前は“巨乳お姉さん”と大差ないですから。」
「全然違うでしょ・・・!!!」
「いや、俺からしてみたら同じ。
だから今から一美さんのことを“巨乳お姉さん”って呼ぶことにしますね?
巨乳お姉さんがそれでも“嬉しい”、“私は巨乳お姉さんっていう名前が大好きなの”と思えるようなら、俺はこの子にモチ丸という名前を付けることをもう少し前向きに考えてみます。」
「なにそれ~・・・酷いよぉ。」
「俺からしてみたら一美さんの方が酷いっすから。
人間の子どもが産まれたら“可愛いちゃん”とか“宝物君”とか付けそうでマジで怖いんですけど。」
「そういう名前も可愛いよ?
園江さんだって純愛って書いて“じゅんあちゃん”だし。」
「それ、本人は喜んでるんですか?」
「そこまでは分からないけど。」
「じゃあ月曜日に聞きてきてください。
名付けの話はまたその後にでも。」
これまで見てきたどの顔とも違うような幸治君の顔。
なんだか急に“パパ”の顔になったようにも思う。
そんな“パパ”に今度は私から聞いてみる。
「幸治君が考えていた名前はあるの?」
「はい、この子の写真を見ながら青さんがこの子を見つけた時の状況の話を聞いた瞬間に浮かんできた名前があります。」
桜の花が終わる間際の桜の木の下で、死んでしまった母ネコともう1匹の黒いネコちゃんといたこの子。
望さんから聞いたその話を私も思い出していたら、幸治君がネコちゃんのことをまた優しく撫でながら口を開いた。
「桜(さくら)。」
このネコちゃんのことを女の子だと思っていた幸治君が“桜”と言った瞬間・・・
「ナ"ァ─────...」
と、ネコちゃんが初めて鳴いて。
まるで幸治君から呼ばれた“桜”という名前に反応をしたかのような、賛成をしたかのようなタイミングで。
「この子は“桜”が気に入ったみたいですよ?
“ママ”、どう思います?」
“パパ”からそう聞かれ・・・
「この子がそれが良いって言うなら、私は反対出来ないよぉ・・・!!」
男の子なのに女の子みたいな名前になってしまったことに不満がないと言えば嘘になるけれど・・・
両親が我が子にあげることが出来る、初めての“形”が残るモノ。
私にとっての完璧ではなく、幸治君と私にとってのベストでもなく、この子が吐き出した“モノ”を受け取ることも親の務めなはず。
「美人さんだけど桜は男の子なんだよぉ~・・・?」
「桜の鳴き声ヤバくなかったっすか!?
この顔であの変な鳴き声とかギャップでめちゃくちゃ可愛かったんですけど!!」
「それは私も思った!!!」
幸治君と私の元に2人目の子どもが来てくれた。
今度は自分の意思をちゃんと持っている子が。
我が家に幸治君と私の声だけではなくもう1つの声が響いていく。
「ナ"ォ─────ン"・・・」
他の人にとっては“いけない鳴き声”になるかもしれないそんな声は、パパとママからしてみたら死ぬほど可愛い鳴き声だった。
「数秒前までは子どもと“ママ”のことを優先するみたいなことを言ってくれてたのに。」
「これに関しては子どものことを優先しまくっています。
だって、名前ですよ?
一美さんの名前なら一美さんの好きな名前を付ければ良いと思いますけど、子どもの名前はこの子が死んだ後も残った家族により残していけるモノなんですよ?」
「うん、だからモチ丸。
この子にピッタリの可愛い名前じゃない?」
答えた私に幸治君が項垂れながら両手で頭を抱えた。
「マジか・・・一美さんって、マジで“そういう感じ”だったのか・・・。
マジでブタネコ之助って名付けてたのか・・・。」
幸治君がブツブツと独り言を言って、それからパッと私のことをまた見た。
「一美さんが改名をしないといけないことになったとして、一美さんのお母さんから“今日からアナタの名前は巨乳お姉さんという名前ね”って言われたら、どう思います?」
「え・・・幸治君って私のことをそんな風に思ってるの?酷い・・・。」
「そのことは一旦置いておいて、一美さんがこの子に付けようとしてるモチ丸っていう名前は“巨乳お姉さん”と大差ないですから。」
「全然違うでしょ・・・!!!」
「いや、俺からしてみたら同じ。
だから今から一美さんのことを“巨乳お姉さん”って呼ぶことにしますね?
巨乳お姉さんがそれでも“嬉しい”、“私は巨乳お姉さんっていう名前が大好きなの”と思えるようなら、俺はこの子にモチ丸という名前を付けることをもう少し前向きに考えてみます。」
「なにそれ~・・・酷いよぉ。」
「俺からしてみたら一美さんの方が酷いっすから。
人間の子どもが産まれたら“可愛いちゃん”とか“宝物君”とか付けそうでマジで怖いんですけど。」
「そういう名前も可愛いよ?
園江さんだって純愛って書いて“じゅんあちゃん”だし。」
「それ、本人は喜んでるんですか?」
「そこまでは分からないけど。」
「じゃあ月曜日に聞きてきてください。
名付けの話はまたその後にでも。」
これまで見てきたどの顔とも違うような幸治君の顔。
なんだか急に“パパ”の顔になったようにも思う。
そんな“パパ”に今度は私から聞いてみる。
「幸治君が考えていた名前はあるの?」
「はい、この子の写真を見ながら青さんがこの子を見つけた時の状況の話を聞いた瞬間に浮かんできた名前があります。」
桜の花が終わる間際の桜の木の下で、死んでしまった母ネコともう1匹の黒いネコちゃんといたこの子。
望さんから聞いたその話を私も思い出していたら、幸治君がネコちゃんのことをまた優しく撫でながら口を開いた。
「桜(さくら)。」
このネコちゃんのことを女の子だと思っていた幸治君が“桜”と言った瞬間・・・
「ナ"ァ─────...」
と、ネコちゃんが初めて鳴いて。
まるで幸治君から呼ばれた“桜”という名前に反応をしたかのような、賛成をしたかのようなタイミングで。
「この子は“桜”が気に入ったみたいですよ?
“ママ”、どう思います?」
“パパ”からそう聞かれ・・・
「この子がそれが良いって言うなら、私は反対出来ないよぉ・・・!!」
男の子なのに女の子みたいな名前になってしまったことに不満がないと言えば嘘になるけれど・・・
両親が我が子にあげることが出来る、初めての“形”が残るモノ。
私にとっての完璧ではなく、幸治君と私にとってのベストでもなく、この子が吐き出した“モノ”を受け取ることも親の務めなはず。
「美人さんだけど桜は男の子なんだよぉ~・・・?」
「桜の鳴き声ヤバくなかったっすか!?
この顔であの変な鳴き声とかギャップでめちゃくちゃ可愛かったんですけど!!」
「それは私も思った!!!」
幸治君と私の元に2人目の子どもが来てくれた。
今度は自分の意思をちゃんと持っている子が。
我が家に幸治君と私の声だけではなくもう1つの声が響いていく。
「ナ"ォ─────ン"・・・」
他の人にとっては“いけない鳴き声”になるかもしれないそんな声は、パパとママからしてみたら死ぬほど可愛い鳴き声だった。
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