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定時後
スーパーへ行くよりも先にスーパーから近いお花屋さんに入った。
凄く可愛い雰囲気のお花屋さんで前から気になっていたお店。
「玄関とリビングに飾りたいと思っていて。」
可愛い花瓶を2つ手に取った私に落ち着いた女性の店員さんが声を掛けてくれ、そう説明をした。
「ご自宅ですか?それともお仕事場ですか?」
「自宅です。」
「そちらの花瓶でサイズはお間違えございませんか?
店頭で見ると小さく感じてしまうこともございますが、実際にご自宅に置くと“こんなに大きかったんだ”と困惑するお客様もいらっしゃいまして。」
店員さんからそう指摘をされ、抱えるくらいの大きさがある2つの花瓶を見下ろす。
「私の実家にある花瓶がこのくらいの大きさでして・・・。
でも、確かに今の自宅には大きすぎるかもしれません。」
その都度幸治君に了承を貰い私好みの物も置かせて貰っていて、今回はお花を飾ろうとしていた。
幸治君と一緒に暮らす家の空間を改めて思い返しながら2つの大きな花瓶を棚に戻した時、私の鞄からスマホの着信が聞こえた。
「もしもし、望さん?」
「一美さん・・・あの、私・・・すみません、お仕事終わってますか?」
「うん、終わってるよ。どうしたの?」
望さんの電話の様子を聞き以前のミツヤマでの1件を思い出し、背筋を伸ばした。
そしたら・・・
「助けてください・・・・・っっ」
ミツヤマの時よりもハッキリとした声で望さんが私に助けを求めてきた。
胸はヒヤッとしたけれど身体の内側は燃えるように熱くなってくる。
──────────────・・・・
そして、数分後・・・
私の胸もこんなにも熱くなってくる。
熱くて熱くて、この口は緩みっぱなしになる。
そして身体の底からこの言葉を吐き出していく。
「なんて可愛いの~~~・・・・・っっっ」
バレンタインのチョコ作りを望さんと一緒にした青さんの家、リビングにいる2匹の子猫を前に、私に初めての人格が舞い降りてきた。
青さんの家にいる2匹の子猫は真っ黒のネコと真っ白のネコ。
その2匹で寄り添って眠っている。
「一美さん・・・っ急にすみません・・・っ」
マスクをしている望さんが辛そうな声でそう言ってくる。
「望さんは酷いネコアレルギーだもんね。
薬は?」
「夜の薬は夜ご飯を食べてから・・・飲みます・・・っ」
「目も真っ赤だね~。」
「これはこの人に意地悪なことを言われたので泣いたやつです!!!!」
「青さん・・・。」
望さんの隣に立ち腕を組ながら私のことを睨み付けている青さん。
でも今日は少しも怖くはない。
むしろ少し笑ってしまう。
むしろ笑ってあげないといけないような気がして、私は大きく笑った。
「望さんから口を封印されたんですね・・・!!」
昔、まだ我が家にいた和希が望さんによくやっていたこと。
それを望さんが青さんにしたのだと分かる。
青さんは大きく笑う私のことを目だけで鋭く睨み付けてくる。
それでも今日はやっぱり怖くはない。
だって、青さんの口は望さんにより閉じられていたから・・・。
青さんの口には、セロハンテープが✕に貼られていた。
スーパーへ行くよりも先にスーパーから近いお花屋さんに入った。
凄く可愛い雰囲気のお花屋さんで前から気になっていたお店。
「玄関とリビングに飾りたいと思っていて。」
可愛い花瓶を2つ手に取った私に落ち着いた女性の店員さんが声を掛けてくれ、そう説明をした。
「ご自宅ですか?それともお仕事場ですか?」
「自宅です。」
「そちらの花瓶でサイズはお間違えございませんか?
店頭で見ると小さく感じてしまうこともございますが、実際にご自宅に置くと“こんなに大きかったんだ”と困惑するお客様もいらっしゃいまして。」
店員さんからそう指摘をされ、抱えるくらいの大きさがある2つの花瓶を見下ろす。
「私の実家にある花瓶がこのくらいの大きさでして・・・。
でも、確かに今の自宅には大きすぎるかもしれません。」
その都度幸治君に了承を貰い私好みの物も置かせて貰っていて、今回はお花を飾ろうとしていた。
幸治君と一緒に暮らす家の空間を改めて思い返しながら2つの大きな花瓶を棚に戻した時、私の鞄からスマホの着信が聞こえた。
「もしもし、望さん?」
「一美さん・・・あの、私・・・すみません、お仕事終わってますか?」
「うん、終わってるよ。どうしたの?」
望さんの電話の様子を聞き以前のミツヤマでの1件を思い出し、背筋を伸ばした。
そしたら・・・
「助けてください・・・・・っっ」
ミツヤマの時よりもハッキリとした声で望さんが私に助けを求めてきた。
胸はヒヤッとしたけれど身体の内側は燃えるように熱くなってくる。
──────────────・・・・
そして、数分後・・・
私の胸もこんなにも熱くなってくる。
熱くて熱くて、この口は緩みっぱなしになる。
そして身体の底からこの言葉を吐き出していく。
「なんて可愛いの~~~・・・・・っっっ」
バレンタインのチョコ作りを望さんと一緒にした青さんの家、リビングにいる2匹の子猫を前に、私に初めての人格が舞い降りてきた。
青さんの家にいる2匹の子猫は真っ黒のネコと真っ白のネコ。
その2匹で寄り添って眠っている。
「一美さん・・・っ急にすみません・・・っ」
マスクをしている望さんが辛そうな声でそう言ってくる。
「望さんは酷いネコアレルギーだもんね。
薬は?」
「夜の薬は夜ご飯を食べてから・・・飲みます・・・っ」
「目も真っ赤だね~。」
「これはこの人に意地悪なことを言われたので泣いたやつです!!!!」
「青さん・・・。」
望さんの隣に立ち腕を組ながら私のことを睨み付けている青さん。
でも今日は少しも怖くはない。
むしろ少し笑ってしまう。
むしろ笑ってあげないといけないような気がして、私は大きく笑った。
「望さんから口を封印されたんですね・・・!!」
昔、まだ我が家にいた和希が望さんによくやっていたこと。
それを望さんが青さんにしたのだと分かる。
青さんは大きく笑う私のことを目だけで鋭く睨み付けてくる。
それでも今日はやっぱり怖くはない。
だって、青さんの口は望さんにより閉じられていたから・・・。
青さんの口には、セロハンテープが✕に貼られていた。
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