【R18・完】お嬢様は“いけないコト”がしたい

Bu-cha

文字の大きさ
上 下
409 / 585
28

28-2

しおりを挟む
定時後



スーパーへ行くよりも先にスーパーから近いお花屋さんに入った。
凄く可愛い雰囲気のお花屋さんで前から気になっていたお店。



「玄関とリビングに飾りたいと思っていて。」



可愛い花瓶を2つ手に取った私に落ち着いた女性の店員さんが声を掛けてくれ、そう説明をした。



「ご自宅ですか?それともお仕事場ですか?」



「自宅です。」



「そちらの花瓶でサイズはお間違えございませんか?
店頭で見ると小さく感じてしまうこともございますが、実際にご自宅に置くと“こんなに大きかったんだ”と困惑するお客様もいらっしゃいまして。」



店員さんからそう指摘をされ、抱えるくらいの大きさがある2つの花瓶を見下ろす。



「私の実家にある花瓶がこのくらいの大きさでして・・・。
でも、確かに今の自宅には大きすぎるかもしれません。」



その都度幸治君に了承を貰い私好みの物も置かせて貰っていて、今回はお花を飾ろうとしていた。



幸治君と一緒に暮らす家の空間を改めて思い返しながら2つの大きな花瓶を棚に戻した時、私の鞄からスマホの着信が聞こえた。



「もしもし、望さん?」



「一美さん・・・あの、私・・・すみません、お仕事終わってますか?」



「うん、終わってるよ。どうしたの?」



望さんの電話の様子を聞き以前のミツヤマでの1件を思い出し、背筋を伸ばした。



そしたら・・・



「助けてください・・・・・っっ」



ミツヤマの時よりもハッキリとした声で望さんが私に助けを求めてきた。



胸はヒヤッとしたけれど身体の内側は燃えるように熱くなってくる。













──────────────・・・・





そして、数分後・・・



私の胸もこんなにも熱くなってくる。



熱くて熱くて、この口は緩みっぱなしになる。



そして身体の底からこの言葉を吐き出していく。



「なんて可愛いの~~~・・・・・っっっ」



バレンタインのチョコ作りを望さんと一緒にした青さんの家、リビングにいる2匹の子猫を前に、私に初めての人格が舞い降りてきた。



青さんの家にいる2匹の子猫は真っ黒のネコと真っ白のネコ。
その2匹で寄り添って眠っている。



「一美さん・・・っ急にすみません・・・っ」



マスクをしている望さんが辛そうな声でそう言ってくる。



「望さんは酷いネコアレルギーだもんね。
薬は?」



「夜の薬は夜ご飯を食べてから・・・飲みます・・・っ」



「目も真っ赤だね~。」



「これはこの人に意地悪なことを言われたので泣いたやつです!!!!」



「青さん・・・。」



望さんの隣に立ち腕を組ながら私のことを睨み付けている青さん。



でも今日は少しも怖くはない。



むしろ少し笑ってしまう。



むしろ笑ってあげないといけないような気がして、私は大きく笑った。



「望さんから口を封印されたんですね・・・!!」



昔、まだ我が家にいた和希が望さんによくやっていたこと。



それを望さんが青さんにしたのだと分かる。



青さんは大きく笑う私のことを目だけで鋭く睨み付けてくる。
それでも今日はやっぱり怖くはない。



だって、青さんの口は望さんにより閉じられていたから・・・。



青さんの口には、セロハンテープが✕に貼られていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。 そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。 だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。 そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

秘事

詩織
恋愛
妻が何か隠し事をしている感じがし、調べるようになった。 そしてその結果は...

密室に二人閉じ込められたら?

水瀬かずか
恋愛
気がつけば会社の倉庫に閉じ込められていました。明日会社に人 が来るまで凍える倉庫で一晩過ごすしかない。一緒にいるのは営業 のエースといわれている強面の先輩。怯える私に「こっちへ来い」 と先輩が声をかけてきて……?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

処理中です...