233 / 585
16
16-8
しおりを挟む
────────────・・・・
この胸がギュッと苦しくて、重い瞼を無理矢理こじ開けた。
“俺が高校生で本当にすみません・・・。”
幸治君のその言葉が頭の中で何度も繰り返されている中、私を強く抱き締めながら寝ている幸治君の顔を暗い中で見詰める。
まだまだ若いけれどちゃんと大人の男の人になっている幸治君の顔を。
それを見て大きな溜め息を吐き、ブタネコ之助を強く抱き締めながら幸治君の胸の中にもっと入った。
「ん・・・・」
幸治君が小さな声を出し、私の頭を優しく撫でてくれた。
幸治君の大きくて温かいその手を感じ少しだけ安心出来た。
自然と笑顔になっていると幸治君の手は私の頭から離れ・・・
その手は私が抱き締めているブタネコ之助に伸びてきて、ブタネコ之助の頭を優しく撫でた。
幸治君のその手を見てなんだか泣きそうになり、言葉を吐き出した。
「幸治君がうちの財閥の為に動ける人になれた時、私が妊娠出来ない年齢になってたらどうしよう・・・。」
幸治君の顔を見ることなく、ブタネコ之助の頭に置いている幸治君の手を見ながら続ける。
「私が7歳も8歳も年上のオバサンでごめんね・・・?」
昔、30歳の女の人を“オバサン”と言っていた幸治君にそう言った。
幸治君の妹の友達に、その子の従姉の説明をする時に言っていた“オバサン”という言葉だったけれど・・・。
凄く“苦しい”と思いながら幸治君に抱き付くと、幸治君が私の背中に手を回し優しく撫でてくれた。
「俺よりも7歳も8歳も年上ですけど、一美さんのことをオバサンだなんて思ったことないですから・・・。
一美さん、俺より年下だし。」
「・・・え?どういうこと?」
「7歳も8歳も年下の俺より嘘つきでワガママでエゴを押し付けてくる感じ、俺よりも年下だから。」
「え~・・・酷い~・・・。」
「いや、褒めてる褒めてる。
そういう感じすげー可愛いから。
普段はしっかりしてそうなお姉さんからのそのギャップもすげー好き。」
幸治君が楽しそうに笑い、私のことを強く抱き締めてくれた。
「俺、死ぬほど頑張るから。
まだ23だから死ぬほど頑張っても死なないだろうし。
よかった、俺が若くて。」
そう言って、私とブタネコ之助ごと抱き締めてくれる。
「死ぬほど速く走るから。
一美さんとブタネコ太郎、それとブタネコ太郎の弟か妹がいる未来まで、死ぬほど速く走るから。
でも・・・」
幸治君が言葉を切った後に私の唇にチュッ─────...とキスをした。
「子どもがブタネコ太郎だけの未来だったとしても、俺は幸せだよ。
俺の幸せを一美さんが勝手に考えないでくださいよ?
一美さんってすぐにそれをするから。」
「はい・・・。」
素直に返事をして、幸治君の胸にもっと顔を埋めた。
「私も幸治君とブタネコ之助の3人の未来だったとしても、凄く幸せ。」
「でも早く一美さんと避妊しないでセックスしたい。」
「・・・ねぇ、急に下ネタ~。
せっかく良い話だったのに。」
「すみません。」
2人で顔を見合せながら笑い合い、幸治君がチュッ────...とまたキスをしてくれた。
「もう少し寝た方がいいですよ?」
「うん・・・。
ありがとう、幸治君・・・。」
重く感じていた胸はすっかりと軽くなり、温かくなった。
幸治君が抱き締めてくれるとこんなにも温かくなる。
こんなにも安心する。
「幸治君、大好き・・・。」
自然と出てきた想いをそのまま言葉にし、瞼をもう1度閉じた。
チュッ────...と幸治君がまた私の唇にキスをしてくれたのを感じ・・・
「俺の方が一美さんのこと好き。
マジで頭おかしくなるんじゃないかっていうくらい好きなんだけど。」
そんな返事には瞼を閉じながら笑った。
この胸がギュッと苦しくて、重い瞼を無理矢理こじ開けた。
“俺が高校生で本当にすみません・・・。”
幸治君のその言葉が頭の中で何度も繰り返されている中、私を強く抱き締めながら寝ている幸治君の顔を暗い中で見詰める。
まだまだ若いけれどちゃんと大人の男の人になっている幸治君の顔を。
それを見て大きな溜め息を吐き、ブタネコ之助を強く抱き締めながら幸治君の胸の中にもっと入った。
「ん・・・・」
幸治君が小さな声を出し、私の頭を優しく撫でてくれた。
幸治君の大きくて温かいその手を感じ少しだけ安心出来た。
自然と笑顔になっていると幸治君の手は私の頭から離れ・・・
その手は私が抱き締めているブタネコ之助に伸びてきて、ブタネコ之助の頭を優しく撫でた。
幸治君のその手を見てなんだか泣きそうになり、言葉を吐き出した。
「幸治君がうちの財閥の為に動ける人になれた時、私が妊娠出来ない年齢になってたらどうしよう・・・。」
幸治君の顔を見ることなく、ブタネコ之助の頭に置いている幸治君の手を見ながら続ける。
「私が7歳も8歳も年上のオバサンでごめんね・・・?」
昔、30歳の女の人を“オバサン”と言っていた幸治君にそう言った。
幸治君の妹の友達に、その子の従姉の説明をする時に言っていた“オバサン”という言葉だったけれど・・・。
凄く“苦しい”と思いながら幸治君に抱き付くと、幸治君が私の背中に手を回し優しく撫でてくれた。
「俺よりも7歳も8歳も年上ですけど、一美さんのことをオバサンだなんて思ったことないですから・・・。
一美さん、俺より年下だし。」
「・・・え?どういうこと?」
「7歳も8歳も年下の俺より嘘つきでワガママでエゴを押し付けてくる感じ、俺よりも年下だから。」
「え~・・・酷い~・・・。」
「いや、褒めてる褒めてる。
そういう感じすげー可愛いから。
普段はしっかりしてそうなお姉さんからのそのギャップもすげー好き。」
幸治君が楽しそうに笑い、私のことを強く抱き締めてくれた。
「俺、死ぬほど頑張るから。
まだ23だから死ぬほど頑張っても死なないだろうし。
よかった、俺が若くて。」
そう言って、私とブタネコ之助ごと抱き締めてくれる。
「死ぬほど速く走るから。
一美さんとブタネコ太郎、それとブタネコ太郎の弟か妹がいる未来まで、死ぬほど速く走るから。
でも・・・」
幸治君が言葉を切った後に私の唇にチュッ─────...とキスをした。
「子どもがブタネコ太郎だけの未来だったとしても、俺は幸せだよ。
俺の幸せを一美さんが勝手に考えないでくださいよ?
一美さんってすぐにそれをするから。」
「はい・・・。」
素直に返事をして、幸治君の胸にもっと顔を埋めた。
「私も幸治君とブタネコ之助の3人の未来だったとしても、凄く幸せ。」
「でも早く一美さんと避妊しないでセックスしたい。」
「・・・ねぇ、急に下ネタ~。
せっかく良い話だったのに。」
「すみません。」
2人で顔を見合せながら笑い合い、幸治君がチュッ────...とまたキスをしてくれた。
「もう少し寝た方がいいですよ?」
「うん・・・。
ありがとう、幸治君・・・。」
重く感じていた胸はすっかりと軽くなり、温かくなった。
幸治君が抱き締めてくれるとこんなにも温かくなる。
こんなにも安心する。
「幸治君、大好き・・・。」
自然と出てきた想いをそのまま言葉にし、瞼をもう1度閉じた。
チュッ────...と幸治君がまた私の唇にキスをしてくれたのを感じ・・・
「俺の方が一美さんのこと好き。
マジで頭おかしくなるんじゃないかっていうくらい好きなんだけど。」
そんな返事には瞼を閉じながら笑った。
0
お気に入りに追加
59
あなたにおすすめの小説


淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。


密室に二人閉じ込められたら?
水瀬かずか
恋愛
気がつけば会社の倉庫に閉じ込められていました。明日会社に人 が来るまで凍える倉庫で一晩過ごすしかない。一緒にいるのは営業 のエースといわれている強面の先輩。怯える私に「こっちへ来い」 と先輩が声をかけてきて……?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる