【R18・完】お嬢様は“いけないコト”がしたい

Bu-cha

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「もしもし。」



バーから出た後に電話に出ると、電話の向こうにいるはずのお兄ちゃんは無言で。
それには首を傾げながら「お兄ちゃん?」と言うと、お兄ちゃんの声がやっと聞こえた。



『今大丈夫?』



「うん、大丈夫。」



『そっか・・・。』



「どうしたの?何かあった?」



元気がないわけではないけれどなかなか言葉が出てこないお兄ちゃんには心配になる。
今週は会社で総務部にいるお兄ちゃんを見掛けることもなかったのでどんな様子だったかも分からず更に心配になった。



『一美に頼みたいことがあって・・・。
金曜日の定時後に経理部に顔を出したらすぐに帰ったって聞いて会えなくてさ。
それでもう諦めようかと思ったんだけど、やっぱり頼みたくて・・・。』



「私に頼み事?なんだろう?」



私が聞くとお兄ちゃんはまた無言になり、しばらく待っていると小さな声が聞こえてきた。



『実は、結婚したい女の子がいて・・・。
両家の顔合わせの時には一美にも出席して貰いたいんだけど、その前に明日の夕方にうちの両親に挨拶に来てくれる予定で・・・。
父さんが反対したり厳しい態度を取ってきた時、一美にもフォローを頼みたくて・・・。』



「お父さんが反対したり厳しい態度を取ってくる可能性がある相手なの?」



『・・・相手の“家”的には問題はない女の子で。
永家財閥の分家の女の子なんだよね。』



「それ・・・問題ないの?大丈夫なの?」



『付き合う時に譲社長には相談してOKを貰ってる。
結婚した後は相手の女の子には永家の会社を辞めてこっちの会社で働いて貰うことにはなるけど、翔子さんが育ててた女の子だから譲社長は喜んでたくらいで。
永家の方は“あの子を取られるのか”っていう感じだったらしいけど、翔子さんが“どこに嫁に出しても恥ずかしくない女の子”って言って送り出そうとしてくれてるらしい。』



「そうなんだね、よかった。
それならお父さんは反対しないんじゃない?」



『いや・・・増田の“家”的には問題ない相手なんだけど、父さん的には絶対に良い顔をしない相手で・・・。』



「そうなの?なにがだろう。」



『その・・・相手の子、一美も知ってる女の子で。
永家不動産で働いてた女の子。』



「そうなんだ!誰?」



『梅田さん・・・。梅田貴子さん。』



「梅田さんって・・・お兄ちゃんが配属になったチームの営業アシスタントでたまに出勤してた・・・?」



『うん、その子。』



それには苦笑いになりながら何度も頷く。



「え、今大学生?」
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