【R18・完】お嬢様は“いけないコト”がしたい

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幸治君からそう言われ、増田財閥のダブル代表の1人である譲社長を思い浮かべた後、譲社長の弟である元気君の姿を思い浮かべる。



その名前の通り元気で明るい元気君の姿を。



そして自然と笑顔になってから幸治君に伝えた。



「うちの財閥は他の2つの財閥にもまだまだ負けない。
本家の人間を支えるという分家の人間の役割を忘れ、財閥を崩壊へと進めてしまっていた私達の前に“元気”な本家の人間が現れてくれた。
そして私達分家の人間に“楽しく生きる”よう言ってくれている。」



そう言って私のお父さんを元気君が立ち上げた保険会社に入れてくれた元気君。



私達分家の人間に今でもその言葉を掛けてくれる元気君。



私達分家の人間が崩壊させてしまいそうになっていた財閥の上に立とうとしてくれている元気君の姿を思い浮かべながら、幸治君を真っ直ぐと見詰めて伝える。



「私はこれからも財閥の分家の女として生きたい。
本家の人間からその必要はもうないと言われたけれど、私はそう言ってくれる本家の人間の為、自分の“楽しい”や“幸せ”という気持ちよりも財閥の為に生きる人生でありたい。
うちの財閥はこれからもっと“元気”になる。
だから・・・」



真剣な顔で私のことを見詰め返している幸治君に伝える。



「私は強い力を持っている男の人としか結婚をしない。
分家の女の結婚相手は本来そういう男の人。
財閥の為に動けるどころではなくて、財閥の為に使える強い力がある男の人。
“家”という後ろ楯がないのなら、その男の人自身が強い力を持っていないと分家の女の結婚相手には本来なら認められない。」



顔色一つ変えず私のことを見ている幸治君。
昔だったら何かしらの反応をしていたのかもしれないと思いながら、しっかりとした大人の男の人になった幸治君に嬉しくもなる。



「私は財閥の分家の役割を忘れることも捨てることもなかったことにするつもりもない。
私はそうやって育てられてきた。
そうやって生きるしかないように育てられてきた。
うちの財閥を一緒に支えられるだけの強い力がある男の人としか私は結婚しない。」