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貰っている合鍵で家の中に入ると玄関には幸治君の革靴が置いてあり、リビングに続く扉からは光りが漏れている。



一緒に住み始めてから初めて幸治君の帰りの方が早かった。



それには凄く嬉しくなり、ヒールの靴を脱ぎ捨てるように脱ぎ大きな声で「ただいま!」と言った。



「お帰りなさい!
今料理してます!!」



リビングから幸治君の声が響いてきて、その言葉にも嬉しくなりながら勢い良くリビングの扉を開いた。



そしたら・・・



リビングの中はもうハロウィンの飾り付けがされている。



そして、キッチンカウンターの向こう側にはスウェット姿で料理をしている幸治君の姿が。



「今日早かったね?」



「気合い入れて早く帰ってきました。
飾り付け、こんな感じで大丈夫でした?」



「うん、可愛いよ、ありがとう。」



キッチンカウンターからキッチン台を見ると・・・



「え・・・中華料理じゃなくてこういうお料理も出来るの?
それに・・・凄い・・・。」



小ぶりのカボチャはカボチャのオバケの顔にされていて、中身はくりぬかれミートドリアのような物が詰め込まれている。
それにカボチャスープのような物と色鮮やかなサラダ。



「今丁度終わった所です。
こういうのを咲希が作るんですよね。
あいつは手先も器用ですし細かい作業も好きなので。
見よう見まねで、それっぽく作ってみました。」



「凄~い!!・・・凄~い!!!」



何度見ても“凄い”と思ったのでそう言ったら、「元料理人ですからね。」と嬉しそうに笑っていた。



それから幸治君がキッチンから出て来て、少し困った顔で私のことを見下ろしてきた。



「一美さん、花瓶ないですよね?」



「花瓶か・・・うん、ここに持ってきてないや。
どうしたの?」



「職場の女の人から何故か花貰って。」



「職場の女の人・・・。」



「ああ、あの人の従妹です。
うちの職場、あの人の従妹しか女の人いないので。」



「所長さんの従妹さんがお花くれたの?」



「そうですね、なんか豪華なやつを。
“ハロウィンだから”っていう意味不明な理由でしたけど、職場のスタッフ達にそんな理由で色んな物を渡してましたね。
“いつも従兄のお世話をして貰っているので”って言って。」



「そうなんだ、花瓶か~・・・。
グラスで代用するしかないかもね。」



「グラス・・・あんなのが入るグラスあるかな。」



「そんなに大きいのなの?」



「はい、後で渡します。
先に食べます?
それとも仮装してから食べます?」



「温かいうちに食べたいから先に食べる!!
幸治君のご飯を食べられるなんてハロウィン凄いね!!」



鞄を部屋ではなくリビングに置いたまま、キッチンで手を洗いスーツ姿のままダイニングテーブルへと座った。
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